「紅白歌合戦」K-POP急増の理由は? 中森明菜、松田聖子のサプライズ出場は「ほとんど絶望的」

「紅白歌合戦」K-POP急増の理由は? 中森明菜、松田聖子のサプライズ出場は「ほとんど絶望的」

『紅白歌合戦』韓流が席巻する背景に、海外へのアピールか 橋本環奈司会にも期待

「紅白歌合戦」K-POP急増の理由は? 中森明菜、松田聖子のサプライズ出場は「ほとんど絶望的」

橋本環奈

 大みそかは家族で紅白といっても、いまや家族全員が楽しめる歌はなく、若者にはテレビをリアルタイムで見る習慣がない。それでもNHKは、家族をテレビの前に、と考えるから無理が生じる。もはやどちらを向こうと迷走するほかない紅白の舞台裏。

 ***

「国民的歌手」や「国民的ヒット」は、はるか昔に失われ、みんなが楽しめる歌も、家族そろって聴ける歌も、もはや存在しない今日このごろ。それなのに大みそかの晩には、日本中の老若男女をテレビの前にくぎ付けにして歌を聴かせようというのだから、無理がある。

 そんな課題を背負ったNHKと担当者には、「ご苦労さま」と声をかけるほかないが、ともかく、11月16日に、紅白歌合戦の出場歌手が今年も発表された。

 選ばれた歌手を巡っては、いまもネット上に不満の声があふれている。だが、国民の多数が支持するような歌手は不在で、そんな曲も存在しない以上、誰を出し、誰を落としても、不満の爆発は避けられないわけで、やはりNHKは「ご苦労さま」なのである。

 で、書き込まれた不満に目をやると、NHK党の支持率が急上昇するぞ、と錯覚するほどである。「韓流とジャニーズばかり」「初出場組の選考基準が不明」「若者にこびすぎている」といった内容が目立ち、指摘はそれぞれ、当たっていないともいえない。


■日韓関係の雪解けムードも影響


 それでも出場歌手の「正解」など存在しない。「別解答」を出しても、同じくらいの不満が寄せられるに決まっているが、とまれ、なぜこの「解答」が導かれたか、「解法」を探っても損はあるまい。

 たしかに、今年の出場歌手には韓流グループが目立つ。紅組には初登場のIVE(アイヴ)、LE SSERAFIM(ル・セラフィム)をはじめ、TWICE、NiziU(ニジュー)と、21組中に4グループが並び、ほぼ5組に1組が韓流関係ということになた。

 これに対し、芸能レポーターの石川敏男氏は、

「NHKはここ数年、紅白の視聴率にこだわって、若者に受ける人選に固執していますが、結果、長く受信料でNHKを支えてきた高齢者層の楽しみが奪われているんですね」

 とご立腹だが、なぜ韓流かというと、

「ここしばらく悪化していた対韓感情が、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領になって雪解けムードなのが関係しています」

 と、さる芸能担当デスクが解説する。

「韓流コンテンツは10~20代の女性に爆発的人気なのに、これまであまり出演させなかったのは、世間や局内の異論に配慮してのこと。雪解けムードを受けて、紅白のスタッフは当初、“ミニ韓流紅白歌合戦”を仕掛けようとしていました。そこで白組も、ポストBTSといわれる13人組の“セブチ”ことSEVENTEENや、7人組のENHYPEN(エンハイプン)、加えて韓国内のオーディション発の日本の11人組、INI(アイエヌアイ)もブッキングしようとしましたが、韓国におもねりすぎという局内の声と、男性アイドルグループを抱えるジャニーズ事務所に配慮。白組の韓流関係は、韓国発の日本人グループJO1(ジェイオーワン)1組と、韓流風のBE:FIRST(ビーファースト)だけになりました」


■紅白を見ない世代の取り込みに必死


 ちなみに、NHKとはあまり縁がない橋本環奈(23)が初めて司会に起用されたのも、ツイッターのフォロワー数が433万と、並み居る俳優のなかでも頭抜けている彼女の、若者への訴求力に期待してのことだという。もっとも、スポーツ紙の芸能デスクは、

「昨年の後半の世帯視聴率が34.3%と過去最低を記録しただけに、なおさらNHKは若い世代の取り込みに必死で、SNS世代に受ける番組作りをしています。でも、その世代がリアルタイムで紅白を見るとも思えないのですが」

 と首をかしげるのだが。なかんずく韓流が席巻する背景には、ほかにも複雑な事情がからんでいるらしい。


■狙いは海外へのアピール?


 芸能記者が説明する。

「NHKは来年10月、受信料を過去最大の約1割値下げします。また、今年9月末時点の契約総数は4135万件で、昨年から20万件近く減りました。だから穴埋めが必要で、そのための改革の一環に番組の海外展開があります。現在、NHKには『ワールド・プレミアム』という海外向けの有料チャンネルがあって、世界100以上の国や地域に、衛星やCATVを通して番組を提供しています。事実、海外の熱心なアイドルファンは、ホテルに泊まりこんで紅白で年越し、なんてこともあるそうです」

 韓流グループを増やした背景には、そんなこともあるという。また、

「『ONE PIECE』のウタことAdoも、海外の視聴者に向けた目玉として選ばれたと思われます。『ONE PIECE FILM RED』は国内外を問わず大ヒットしているので、海外のアニメファンに向けたアピール材料になるわけです」(同)


■テーマが「周年」なので


 ただ、韓流のなかには、必ずしも海外で人気があるとはいえないグループもあって、スポーツ紙の芸能担当によれば、

「TWICEは3年ぶり4回目で返り咲きですが、韓国国内での人気は低く、進出を図ったアメリカでも受けず、日本でしか人気がありません。NiziUと事務所が一緒なので、NiziUに出てもらうためのバーターなのかもしれません」

 ともあれ、韓流出場の割を食ったのが、

「櫻坂46、旧欅坂46です。乃木坂46と日向坂46は出ますが、櫻坂は人気がイマイチ。文春オンラインが報じたグループ内のいじめ問題や、『六本木クラス』に出演したOGの平手友梨奈の現場でのイマイチな評判など、問題があり、改名してもイメージは好転しませんでした。キャプテンの菅井友香も、11月の東京ドーム公演を最後に辞めましたし」

 一方、白組は韓流がらみを絞ったぶん、ジャニーズ事務所の男性アイドルグループが6組出場するが、これには「周年」も関係しているという。先の芸能記者が説明する。

「今年の紅白は“周年”をテーマにしています。工藤静香(52)が24年ぶりに出るのは、デビュー35周年だからで、同様にKinKi Kidsは25周年、関ジャニ∞は20周年なのです」


■矢沢永吉とユーミン


 周年の話におよんだところで、まだ発表されていない今年のサプライズ枠に触れておかなくてはなるまい。前出のスポーツ紙芸能デスクの見立てでは、

「まずキャロル結成50周年の矢沢永吉(73)。永ちゃんが最後に出たのが10年前で、可能性が高いと見られています。40周年で、それを記念したライブも盛況だった安全地帯は、出場が内定したと報じられました。ユーミンこと松任谷由実(68)も50周年で、2022年度の文化功労者に選ばれ、11月16日には日本レコード大賞の特別顕彰受賞が決まったので、出場機運が高まっていますが、18~20年まで出ているので、サプライズにはなりませんね。あとはX JAPANが結成40周年のYOSHIKI(57)もサプライズ候補でしたが、口説けなかったようです」


■松田聖子と中森明菜は絶望的?


 ほかに、NHKはいまからでも口説いて出てもらいたいが、ほとんど絶望的なのが、松田聖子(60)と中森明菜(57)だという。先の芸能担当デスクの話。

「聖子は19年に紅白に出演した際の演出でNHKともめたことを持ち出したようです。もっとも、その後も20年に出場し、21年も、12月18日に娘の神田沙也加さんが亡くなるまで出る予定だったわけですが……。聖子が一番嫌がっているのは、出演したばかりに沙也加さんの話題に触れられること。表向きは“新曲も出していないので出場しません”と言って断っているようです。加藤英明チーフ・リードは“交渉は続けていく”と話していますが、われわれは難しいとみています」


■「取材の窓口すら分からない」


 では、デビュー40周年の今年こそ、紅白への復帰にもってこいの明菜は、どうして出ないのか。

「たしかに明菜は、今年8月に新事務所を設立し、再始動を宣言しました。でも、前事務所のマネージャーで、彼女の恋人といわれた男性の妨害に遭って、かなりのゴタゴタに見舞われています。ファンクラブの運営権など権利関係の引き継ぎも進んでいません。明菜には弁護士はついていますが、あくまでも権利関係を引き継ぐために動いていて、歌手活動には一切タッチしない。つまり、いまの明菜にはマネージャーも不在で、所属レコード会社とのやりとりも明菜が一人でやっているのが現状です。だからレコード会社も及び腰だし、芸能マスコミでさえ、彼女の取材の窓口がどこなのかわかりません」

 そもそも明菜の新事務所立ち上げは、今年の紅白を見越してのものだったといわれているが、

「ですから本人は心身ともに不安定で、とても歌える状態ではない。可能性があるとしても、せいぜいVTR出演などを模索するしかないでしょう」(同)

 そこで、先のスポーツ紙芸能デスクが言うには、

「やはり40周年の小泉今日子(56)もサプライズ候補として残っています。ただ、あくまでも聖子も明菜もダメだったときの保険、という見立てですが」


■演歌界のしがらみを嫌った?


 ところで、前出の石川氏は演歌枠について、

「毎年削られて、今年に至っては石川さゆり(64)、坂本冬美(55)、天童よしみ(68)、水森かおり(49)、三山ひろし(42)、山内惠介(39)。特別枠の氷川きよし(45)を加えても7組だけです。われわれのような、昭和の演歌や歌謡曲を聴きたい高齢者のことは、もう眼中にないんですかねぇ? いまやリアルタイムでテレビを見るのは高齢者。われわれはコタツに入って、年越しそばを食べながら紅白を見るのが楽しみなんだ。そういう視聴者に支えられていることを、忘れないでもらいたいものですよ」

 と、NHKに恨み節だ。さる芸能関係者に聞くと、

「昨年、五木ひろし(74)は紅白に出ませんでした。20年に出場した際、“みなさまに支えられてたどり着いた50回連続出場。私にとっても大きな区切りの一つとして、万感の思いを込めて歌います”と語り、50回という節目をもって紅白を卒業した、ということになっています。でも本当は、北島三郎(86)の51回という記録を超えたい、という希望が五木にはあるのですが、NHKが聞き入れないのです。演歌枠は削っていく、ということなんですね」

 NHKにとっては、別種の面倒もあったという。

「演歌の世界は、特に以前は強烈な縦社会でしたから、局側も楽屋へのあいさつなどで手を抜けない。NHKとしては、そういうしがらみも嫌っていたのではないかと思います」(同)

 演歌側にも敬遠される理由があった、というのである。


■「今年の目玉は氷川きよし」


 しかし、こうして演歌が斜陽のわりには、前出の芸能記者は、

「今年の目玉は、やっぱり氷川きよしでしょう」

 と、言い切るのである。

「この紅白が休養前のラストステージで、NHKが三顧の礼で、紅組でも白組でもない特別企画枠で出てもらうことになった。事実上の“ジェンダーレス枠”で、いったいどんな姿で登場するのか興味津々ですし、芸能マスコミも大きく取り上げるに違いありません」

 そうであるなら、演歌歌手や演歌好きには朗報ではないか、と思えば、さにあらずだという。

「すでにステージでも、性別だけでなく、音楽のジャンルを超えたパフォーマンスを披露してきていた氷川なので、演歌にスポットが当たることにはならないのでは。一方で、演歌歌手は彼の陰に隠れてしまうわけですから、演歌組が紅白にかけるモチベーションが下がっている、という話が聞こえてきます」

「週刊新潮」2022年12月1日号 掲載

関連記事(外部サイト)