岡田准一「白い巨塔」でテレ朝3冠、“陰の立て役者”と評価される2人の俳優の名

 5月22日より5夜連続で放送されたテレビ朝日開局60周年記念ドラマ「白い巨塔」。言わずと知れた山崎豊子さん原作の医学界の腐敗と人間の欲望を描いた傑作で、映画やテレビで映像化されたのは実に7回目(韓国版含む)である。

 なのでストーリーは知っているけど、ついつい見てしまった方も少なくなかったはずだ。視聴率は全話とも2桁を記録して、平均視聴率は13・3%(ビデオリサーチ調べ:関東地区)。しかも、第1夜は12・5%、第2夜は11・8%、第3夜は12・2%、第4話は13・5%、最終夜は15・2%と尻上がりに良くなって、全話が同時間帯で1位に。おかげでテレ朝は、5月第4週(20日〜26日)の週間視聴率で、全日(6〜24時)ゴールデン帯(19〜22時)、プライム帯(19〜23時)、いずれもトップとなり3冠を達成したのだ。

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 この結果を受け、5年連続で年間視聴率3冠王を続ける日本テレビの大久保好男社長は定例会見で「厳しい戦いになる」と漏らし、福田博之編成局長からは「危機感を持ってとらえています。視聴者の皆さんの日本テレビへの期待感が薄くなっているということ。我々の発信する番組が支持されるようにしていきたい」と弱音が出るほどだった。たった1週、3冠を奪われたからといって、それほど重大事なのか。他局プロデューサーが語る。

「それはそうですよ。今年度は4月の第1週に2冠を取とったのがTBS。その翌週から、全日帯ではテレ朝が7週連続でトップを取り続けているのです。これはテレ朝開局以来、初めてのこと。そして先週、ついに3冠を達成したわけですが、見方を変えれば日テレは4月以降、3冠がないということです。しかも先週は圧倒的な差をつけられてテレ朝に破れたのですから、ショックは大きいと思いますね」

 それを牽引したのが「白い巨塔」だったというわけだ。これまでは、主人公の財前五郎を田宮二郎(78年)や唐沢寿明(03年)が演じたフジテレビの作品が有名だが、実は最初にテレビでドラマ化したのはテレ朝(67年:※当時はNET)で、主演は佐藤慶。今回は、約半世紀ぶりの制作である。

 今回、財前を演じたのはV6の岡田准一、財前の同期でライバルの里見脩二には松山ケンイチ、財前の師に当たる第一外科教授に寺尾聰、財前の妻に夏帆、愛人に沢尻エリカ、ほかにも小林薫、岸部一徳、松重豊、椎名桔平、柳葉敏郎、斎藤工、山崎育三郎、高島礼子、市毛良枝、岸本加世子、美村里江……。この顔ぶれを見れば、開局60周年記念ドラマというだけあって、力の入りようがわかるというもの。

■惜しげもない贅沢キャスティング


「フジの唐沢バージョンもかなり豪華なキャスティングでしたが、それを凌駕する主役級の役者たちを、これでもかと集めました。歴代の『白い巨塔』の中で、一番キャスティングが良かったかもしれません。岡田クンは身長が高くありませんが、それを隠さず撮ったことが、コンプレックスを抱きながらも虚勢を張っている原作の財前の姿と重なり、視聴者も引き込まれました。沢尻の愛人役も良かったですね。監督は映画『愛の流刑地』(07年)や『後妻業の女』(16年)で知られる鶴橋康夫。御年79ですが、元々は読売テレビの名ディレクターで、社会派ドラマの名手と言われた方です。女優を綺麗に撮る人でもあるので、沢尻は助けられたと思います。ハッとさせられるシーンもかなりありました」(前出・他局プロデューサー)

 財前に執刀される柳葉敏郎とその妻・岸本加世子の熱い演技も評判となった。

「第2話では財前が権謀術数を尽くして教授に上り詰め、物語も落ち着き、視聴率も弱冠落ちました。第3話にギバちゃんと岸本さん夫婦が登場。関西弁は上手くはなかったが、熱い演技はSNSでも絶賛されていました。ちょっと吉本新喜劇みたいな演技ではありましたが、視聴率を取るためには重要なスパイスとなる。ダレかけた展開が急に引き締まり、新たな展開に話が進む。第4話は医療裁判となり、イケメン弁護士役で斎藤工と山崎育三郎が登場。そして最終回では財前が病に倒れます。これまでの『白い巨塔』では、財前は病名を告知されずに亡くなりましたが、今回はイマドキを意識して告知していました。それでも岡田クンの熱演で最後まで引っ張ったのは大したものです」(同・他局プロデューサー)

 かくしてテレ朝は3冠王となったのだが、無論ほかの番組の奮闘も見逃せない。

「日テレの『イッテQ』(26日)は18・1%と持ち直しましたが、テレ朝の『ポツンと一軒家』はさらに上をいく19・0%。同じく岡田クンが出演した『帰れマンデー見っけ隊』(20日)が10・9%、『10万円でできるかな』(20日)が12・6%、『ナニコレ珍百景』(26日)が12・9%と、いずれも高視聴率。テレ朝の『アメトーーク2時間SP』(24日)が12・3%を取る裏で、日テレは『巨人VS.広島戦』が5・5%で惨敗。いまやプロ野球はキラーコンテンツではありませんが、日テレとしてはお手上げでしょう」(同・他局プロデューサー)

 さて、6月以降、テレ朝VS.日テレの戦いはどうなるか。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月28日 掲載

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