NGT48山口真帆事件で更迭「今村前劇場支配人」が明かした裏の裏

 あれだけ隆盛を誇ったAKBグループがひとりのアイドルの「告発」によって大揺れに揺れている。いまだ鎮火する気配がない炎上騒動について、沈黙を守り続けた名物「支配人」が初めて口を開いた。芸能マスコミを巻き込んだ狂騒劇を「大人」はどう観るべきか。

 都内の自宅から姿を現した「男」は、予期せぬ記者の直撃に動揺を隠せなかった。AKBグループのファンであれば誰もが知る渦中の人物――。

 新潟を拠点に活動する「NGT48」の前支配人・今村悦朗氏(59)である。当初は取材を固辞した今村氏は、しかし、ついに重い口を開いた。

「今年1月に事件が表面化してからの4カ月あまり、僕は何の発信もさせてもらえず、自ら動くこともできませんでした。ただ、2015年にNGTを立ち上げてから、数多くのファンや新潟市の皆さんに支えられてきた僕には説明責任がある。何より、“山口”とはもっと丁寧に話し合って誤解を解く努力をすべきだった。彼女には本当に申し訳なかったと感じています……」

 本誌(「週刊新潮」)が今村氏に接触した前日、「山口」ことNGT48の山口真帆(23)は、他のメンバー2人と共に卒業公演に臨んでいた。

 昨年12月、彼女は自宅マンションで2人の男性ファンに襲われ、刑事事件へと発展した。犯人は直後に逮捕されたが、被害者である彼女はその後の運営側の対応について動画配信サイトで「告発」するに至った。

 そのなかで、〈今村さんだってクリーンなNGTにするって言ったのに、新しいNGTにするって、悪いことしてる奴らだって解雇するって言ったくせに、なんも対処してくれてなくて〉と名指しされたのが、この「前支配人」だった。

 事実上の「更迭」処分を受けて支配人を退いた今村氏は、それ以降、固く口を閉ざしてきた。

 その間、山口はSNS上で運営側への批判や、NGTメンバーと犯人たちとの「つながり」、つまりプライベートでの接触について言及し続け、ネット上だけでなく、芸能マスコミも彼女を擁護する声で埋め尽くされている。彼女が言わんとしたのは、自分を嫌うメンバーが実行犯と裏で共謀していたということ。疑いの目を向けられたメンバーへの脅迫が相次ぐ事態も勃発。今月20日にはメンバーの荻野由佳(20)に殺害予告を送りつけた男が逮捕されるなど、事態は深刻さを増すばかりだ。こうした現状に今村氏は、

「僕にとっては山口も他のメンバーも同じように大事な存在なんです。怖い思いをした山口はもちろん、NGTに残ったメンバーが標的にされるのも本当にやり切れません。山口を襲った犯人たちにはいまも憤りを覚えますし、証拠もないまま疑われ続ける他のメンバーへの脅迫も決して許されるべきではないと思うんです」

 と語気を強めるのだ。

 では、この騒動を「大人」はどう観るべきなのか。

 まずは、すべての発端となった昨年12月8日の「事件」について、今村氏の言葉に耳を傾けてみよう。

「あの日、スタッフと食事をしている最中にマネジャーから電話がありました。“山口が暴行されたようなのですぐに来てください!”と。衝撃でした。すぐさまタクシーに飛び乗って、現場に着くまでの間は山口がケガでもしてないかと気が気じゃなかった。途中でマネジャーから“山口が警察を呼んでほしいと言ってるんですが”と連絡があったので“分かった! すぐに警察を呼んで”と伝えました」


■複数のメンバーに聴取


 今村氏が現場のマンションに駆けつけると、山口やマネジャーは近くの公園にいた。実行犯の2人はすでに2台のパトカーに分かれて乗せられていたという。

 ネット上では、今村氏が犯行に及んだファンたちと癒着していたのではないかとも囁かれたが、

「パトカーを覗いて2人の顔を確認しましたが、全く見覚えはなかった。僕が彼らと知り合いだった、しかも、癒着していたなんて絶対に有り得ません。握手会やイベントでファンと会話することはあっても、メンバーが嫌がる行為をすれば叱りつけ、出禁にしたこともあります」

 今村氏はメンバーに常々、「特定のファンと深くつながったら、真剣に握手会やイベントに来てくれるファンを裏切ることになるんだよ」と諭してきたそうだ。

 実際、ファンとのLINEのやり取りが発覚したメンバーを叱り、ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)に返信することも禁じていた。それだけに、山口と一緒に新潟署で事情を聞かれた前支配人は、彼女の発言に驚いたという。

「僕としては、何よりも山口を襲った犯人を“しっかり調べて起訴してほしい”と考えていた。一方で山口は“犯人を差し向けたメンバーを調べてください”と繰り返していました。事件直後のやり取りを知らなかった僕が“そういう話になっていたのか……”と感じたのは事実です。新潟署では翌日の早朝4時半頃まで事情聴取が続き、被害届も提出しています。後になって僕が被害届を取り下げさせた事実もありません」

 実は、今村氏が到着するまでの山口と犯人側とのやり取りを録音したテープがある。そのなかでも彼女は、〈○○はどう関わってるの?〉〈つながってるんでしょ、なんでそんな嘘つく必要あんの、じゃあ?〉と、特定のメンバーと犯人との関係を追及し続けている。

 身内に「共犯」がいたとなれば、山口が憤りを覚えるのも当然だろう。もちろん、「現場責任者」である今村氏も彼女たちの安全を軽視してきたわけではない。

「新潟市内にある複数のマンションを選んで、極力メンバー同士の部屋をまとめて住まわせていました。メンバーが外出する時にはマスクを着けるように指導して防犯ブザーも持たせた。近隣の交番を回って事情を伝え、パトロールに力を入れてもらえるようお願いしています」

 しかし、それでも「事件」は起きてしまった。メンバーが住むマンションの同じフロアに犯人たちが部屋を借り、しかも、山口が事件に巻き込まれるという最悪の事態を招いた。アイドルでなくとも、若い女性が自宅の玄関前で見知らぬ男2人組に襲われるのは恐怖以外の何ものでもあるまい。

「だからこそ、警察には徹底的に調べてもらったんです。山口にも“メンバーが事件に関係している証拠が出たらきちんと処分する”と約束した。警察は犯人たちを20日間勾留して詳細に取り調べてくれたと思います。同時に、犯人との関係を疑われたNGTのメンバーも署で聴取されました。彼女たちは携帯電話のデータも調べられ、なかには何度も署に呼ばれて話を聞かれたメンバーもいました。それとは別に、僕も山口が訴えているメンバーの関与や、普段のファンとのつながりを証明する証拠がないか1期生全員に聞いています」

 その上で、警察は昨年末、今村氏に「NGTのメンバーがファンと組んで事件を起こした証拠は出なかった」と報告し、検察は犯人を不起訴処分としている。不起訴となった理由は今村氏も聞かされていないという。

 今村氏の聞き取りでも、ファンとの若干の関係を告白したメンバーはいたが、今回の事件への直接的な関与は確認できなかった。

「暴行事件の被害者となった山口がこの結論を受け入れられなかった気持ちはとても理解できます。しかし、証拠がない状態でメンバーに処分は下せません。1月9日に彼女が“告発”した後、僕は翌日の3周年公演で経緯を説明して騒動になったことを謝罪すると決めていました。ただ、まもなくこの件は会社が引き継ぐことになって、支配人も降りてほしい、と。あの時もっと食い下がるべきだったと後悔しています」

 それ以降、今村氏は沈黙を続けることとなった。

 確かに、山口が許しがたい事件の被害者となったことは紛れもない事実だ。だが、新潟県警が犯人を満期まで勾留して捜査を続けた結果、メンバーの関与が裏づけられなかったのもまた、事実である。

 他方、第三者委員会による調査で、12名のメンバーがファンとの「つながり」を指摘された以上、今回の犯人グループと隠れて接触していた可能性も完全には否定できまい。

 こうした白黒つけがたい状況を抜きに同情論ばかりが膨れ上がり、新たな「殺害予告」事件まで誘発したこと、それこそが最大の問題ではないだろうか。今村氏は最後にこう語る。

「卒業する山口真帆、菅原りこ、長谷川玲奈には夢に向かって頑張ってほしいと心から願っています。そして、ファンや新潟の皆さんには心からお詫びします。どうか残されたNGTのメンバーについても温かく見守って頂きたい」

 過熱の一途を辿る騒動が、行き着くところに落ち着くにはまだ時間がかかりそうである。

「週刊新潮」2019年5月30日号 掲載

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