「山里亮太&蒼井優」が行った結婚会見の絶大な効果、芸能人はこうでなくっちゃ

 時代が令和に入ってから陰鬱なニュースが続いた。無垢な子供らが犠牲になった川崎市の通り魔大量殺傷事件、元農水省事務次官による長男刺殺事件、高齢ドライバーによる死亡事故の多発――。そんな中、久しぶりに明るい話題となったのが、南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太(42)と若き名女優・蒼井優(33)の結婚だろう。近年は結婚会見を開かない芸能人が大半だが、2人はそれも行い、世間に幸せを分けた。芸能人は夢を売る仕事でもあるので、天晴れと言っていいだろう。

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「(蒼井の)笑っている姿が素晴らしいので、ずっと家に帰っても笑わせられたら」(山里)

「私はとても山里さんのお父さんとお母さんも、お二方のことがすごく好きで、山里家の一員になれるということに、もう一つ心強さというか、『結婚ってこういうことなんだ』と思いました」(蒼井)

 6月5日、ヒルトン東京(東京・西新宿)で結婚会見に臨んだ2人は終始、喜色満面。質疑応答は計75分間にもおよび、記者たちの質問にたっぷり答えた。

 芸能人同士の結婚は珍しくないが、会見を行うカップルは昭和期と比べて激減した。2人そろっての会見は、2016年3月の片岡愛之助(47)と藤原紀香(47)以来、途絶えていた。ほかのカップルはというと、各マスコミへのファックスやホームページなどでの報告に留めていた。

 だから2人の会見は、より目立った。また、暗いニュースが続いていた中で行われたので、意義深かった。結果的に「芸能人とは何か?」までを考えさせた。芸能人という職業は、世間に夢を与えたり、感動させたり、幸せな気分に浸らせるものであるはず。その点、この会見は満点だった。

 会見効果もあったのか、ツイッターのトレンドでは「山ちゃん」と「蒼井優」が世界で1位と2位に。日本の芸能人が上位になることはまずないので、いかに世間が注目したかがうかがえる。

 そのツイッターには「まだ信じられない」「なぜなんだ」といった言葉がずらりと並んだものの、2人の結婚を真っ向から否定的するような意見はほとんど見受けられなかった。この結婚を世間の多くが祝福しているのだろう。


■「トニー谷」タイプの山里


「人間、顔じゃない」と誰もが言うが、イケメンや美女が得するのは事実。にもかかわらず、美しい蒼井は「ブサイク芸人」と称されてきた山里を愛した。まるでドラマ「101回目のプロポーズ」(フジテレビ、1991年)のようだ。それに世間は快哉を叫んだ部分もあるのではないか。

 山里がナレーターを務める日本テレビのワイドショー「スッキリ」の司会者・加藤浩次(50)は番組内で「こんなリアル『美女と野獣』みたいなのある? どれだけいろいろな人を勇気づけるか」と声を強めていたが、そのとおりに違いない。

 リリー・フランキー(55)も仕事先で感想を求められた際、「才能ある人同士なので、すごくよいカップル」と語っている。大人なら、イケメンを選べばいいわけではないことが分かっているのだ。

 そもそも山里は世間に好かれている。現在、レギュラー番組が19本もあるのだから。超売れっ子である。嫌われていたら、ここまではレギュラーを持てない。

 山里は2005年、ワンマントークの面白さを競う「R-1ぐらんぷり」に出場した際、「ケーシー高峰さんのように体全体からにじみ出るコミカルさを出したかった」と語ったそうだ。憧れの人だったらしい。だが、そのキャラクターは、故・トニー谷さんのほうが近いのではないか。メガネがトレードマークだったところ、少しキザなところが共通する。

 山里は関西大学文学部教育学科卒のインテリ芸人だが、トニーさんも東京府立第三中(現・都立両国高)を中退した頭のいい人で、「さいざんす」「家庭の事情」などの流行語を次々と生んだ。ただし、全盛期は長くは続かなかった。キザな芸風が行きすぎてしまい、嫌味になってしまったからだ。

 山里は違う。うまく計算し、嫌味になっていない。地の性格の良さもあるのだろう。また、今のお笑い芸人の多くは他者への悪口など毒舌を武器にしているが、山里は他者が傷つくまでの毒は吐かない。「寸止め」する。他者を責める前に、先に自分が謝ってしまう。嫌われないはずである。


■女優の結婚、映画監督から芸人へ?


 さて、昭和期や平成期は、女優が映画監督と結ばれるケースが多かった。身近な存在でありながら自分とは違った才能を持つところに惹かれるようだ。一例を挙げる。

●1955年 故・松山善三監督と故・高峰秀子
●1957年 故・谷口千吉監督と八千草薫
●1960年 故・大島渚監督と小山明子
●1967年 篠田正浩監督と岩下志麻
●1996年 周防正行監督と草刈民代
●2002年 青山真治監督ととよた真帆
●2011年 園子温監督と神楽坂恵

 一方、お笑い芸人と大物女優の結婚はというと、明石家さんま(63)と大竹しのぶ(61)=92年離婚=、深沢邦之(52)と田中美佐子(59)、とんねるず・木梨憲武(57)と安田成美(52)同石橋貴明(57)と鈴木保奈美(52)、陣内智則(45)と藤原紀香=09年離婚=らの例があるが、これからはもっと増えるのではないか。やはり「身近な存在」でありながら、自分とは違った才能を持つからだ。

 また、映画界は構造が一変し、コンスタントに作品が撮れる監督が激減したが、お笑い芸人は平成期に激増した。活動領域も広がり、高収入の者も多い。山里もレギュラーが19本もあるのだから、数千万円単位で得ているに違いない。

 一方、蒼井優のほうはというと、文句なしにうまい女優だ。どんな役柄であろうが、その役になりきってしまう。そして僅かな心の動きまで表現できる。年齢を重ね、叙勲適齢期になったら、紫綬褒章は間違いなしといったところである。

 巨匠・山田洋次監督(87)が「東京家族」(13年)などに起用し、大切にしていることでも名女優であることが分かる。山田監督は「小さなおうち」(14年)ではやはり評価の高い黒木華(29)を使ったが、うまい人しか自分の作品に出さない。間違ってもアイドルなんて起用しない。

 たとえ縁のない相手であろうが、人の不幸は辛い。子供であれば、なおさら。一方、幸せそうな2人の姿は、見る側の心を和ませた。入籍は3日だったそうだが、2人による初仕事は大成功だったと言えるだろう。

高堀冬彦/ライター・エディター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年6月9日 掲載

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