やらせ浮上「レンタル家族」社長を直撃!  NHK以外にも怪しい番組が…

■「レンタル家族」社長に恩を仇で返された「NHK」(2/2)


 客の依頼に応じ、家族や恋人を演じる代行スタッフを派遣する「ファミリーロマンス」は、国内外のメディアが注目する、いま話題の会社だ。ところが同社の元スタッフは、レンタル家族の利用者を追ったドキュメンタリー番組にて、サービスの依頼者を演じた、と証言する。つまり、番組は“やらせ”だったというのだ。

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 問題の番組は、NHKの海外向けサービス「NHKワールドJAPAN」で放送された「HAPPIER THAN REAL」。元代行スタッフの鈴木剛志さん(仮名)によれば、同社の石井裕一社長(38)が依頼者のフリをしてNHKと打ち合わせしたという。制作サイドは騙されてしまった格好だ。

「もう一件、私が関わった撮影で首を傾げざるをえない番組があるんです。それは、昨年8月にフジテレビ系列で放送された『訳あり人の駆け込み寺』。私は出演していませんけれど、NHKのときとは別の家族のはずなのに、使われているのは私の自宅。NHKと同じ家なのです。石井社長から“自宅を貸してほしい”と相談されて貸しました」(鈴木さん)

 制作は関西テレビ。サービスを利用する依頼者については、

「モザイクがかかっていましたね。こちらも代行スタッフだったと思います。証拠はありませんが、そもそも、撮影の数日前、関西テレビのスタッフが私の家にロケハンに来たときに立ち会ったのは“依頼者”ではなく、私なのですから」

 細かい話ではある。しかし、少なくとも自宅は“仕込み”だったわけだ。


■番組に問い合わせると…


 では、それぞれの番組に関する事実関係はどうか。

 NHKに訊ねると、泡を食ったのか、石井社長や出演者に軒並み連絡。挙げ句、朝から数人で出演者の自宅を訪れ、撮影時の手続きに瑕疵がなかったかどうか幾度も確認する念の入れよう。

 4年ほど前、看板番組の「クローズアップ現代」でやらせがあったことを放送倫理・番組向上機構(BPO)に指摘されたことが尾を引いているのか。いずれにしても、NHK広報局は、

「現在、事実関係を調査中です」

 と、当初の取材には歯切れが悪い回答を寄せる。その後、事実関係を認め、謝罪した。

 一方の関西テレビは、いささか開き直り気味である。編成局東京宣伝部によると、

「番組では、男性(註・依頼者)の自宅での撮影が不可であったために、別の場所で撮影に協力をいただきました。それに伴い、番組内で『男性の自宅』とは表現していません。また、番組の企画意図は男性とレンタル家族の方とのやりとりをお見せすることで、撮影場所によってその本質をゆがめてもおりません」

 とはいえ、鈴木さんの打ち明け話を裏づけるかのように、「NHKワールドJAPAN」も関西テレビも、本誌(「週刊新潮」)の問い合わせ後、それぞれの番組をHPから削除していることを付け加えておきたい(フジテレビは掲載中)。


■お先です!


 さて、石井社長ご本人はなんと言うか。待ち合わせに、千葉県内の、とある駅前を指定されたため、近くにあったカラオケボックス内で話を聞いた。

「NHKさんからも電話で訊かれましたよ。とにかく、鈴木さんはリアルな依頼主です。レンタル家族って月に何十件と依頼があるんですけど、そのなかの、お客さんの一人に過ぎません。マジです。スタッフなどではないので、もちろん鈴木さんに業務連絡メールを送ったこともない。僕は同じことしか言えない。お先です!」

 と、急に立ち上がって部屋をあとにする。それからは無言を貫き、駅前のロータリーでタクシーを拾うと去っていった――。

 口を閉ざしたのは、石井社長がNHKの撮影前日に鈴木さんへと送った、

〈母親役のスタッフさん、今回は鈴木さん(註・以下実際は実名)が実はスタッフということは事前に知らせときました。そのほうが互いにやりやすいと思うので〉

 というメールを憶えていたからか。それとも鈴木さんのアドレスが〈代行スタッフ:鈴木剛志〉なのを思い出したか。それだけでなく、NHKとほぼ同じ“設定”で臨んだドイツの番組の撮影前にも、

〈母親役のスタッフ、ドイツの取材クルーは本当の依頼主と思っています。仕込みと知っているのは鈴木さんと当日、レンタル息子役をさせてもらう石井の2人だけとなります〉

 こんな内容の、「ファミリーロマンス」関係者からのメールが鈴木さんに届いていたのだ。鈴木さんは言う。

「レンタル家族というビジネスにはきちんと実体があり、世の中に必要としている人がいる。私自身、カップルの、事情を抱えたほうの親を演じることが多かったのですが、少しはお役に立てたとの自負があります。石井社長はいま、多くのメディアに取り上げられ、それにホイホイ乗せられている感じがするのです」

 石井社長の名を広めるのに、メディアが一役買ったのはたしかだ。NHKをはじめ、メディアは、その恩を仇で返された格好である。

「週刊新潮」2019年6月6日号 掲載

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