「EXIT」が牽引する第二次チャラ芸人ブーム オリラジ藤森との共通点は?

 お笑いコンビ・EXITの勢いが止まらない。大柄の髭面でワイルドな外見のりんたろー。と、爽やかな正統派イケメンの兼近大樹の2人組だ。服装も言葉遣いもとにかくチャラいという異色のキャラクターが注目され、いまやテレビで見ない日はないというほどの人気ぶりだ。

 芸人が「チャラ男」というキャラクターで売れたのはこれが初めてではない。元祖チャラ男芸人と言えば、オリエンタルラジオの藤森慎吾である。藤森はやたらとノリが良くて軽薄なチャラ男芸人として2011年に大ブレーク。「君、かわうぃーね」などの流行語を生み出した。いわば、藤森が起こした「第一次チャラ芸人ブーム」に続いて、現在ではEXITによる第二次チャラ芸人ブームが進行しているのだ。

 藤森がチャラ男として覚醒したきっかけは、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)で共演していたタモリに「お前はチャラチャラしているな」と指摘されたことだった。言われたことに従って、バラエティ番組でもテンションを上げてチャラい男を演じていると、やたらと反応が良かった。むろん、それは無理矢理演じているわけではなく、藤森の中にもともとあったものが発掘されただけだった。

『ショーバト!』(日本テレビ系)では、日本一チャラい女性宴会芸ユニット「あやまんJAPAN」とコラボしたミュージックビデオ風のVTRが大評判になった。その後、藤森は彼女たちと組んでCDデビューも果たしている。『しゃべくり007』(日本テレビ系)出演時には、勢いに乗せられて今まで口説いた女性芸能人の名前を暴露する、という決死のパフォーマンスで爆笑をさらった。

 そんな藤森とEXITにはいくつかの共通点がある。第一に、オシャレで清潔感のある外見であることだ。芸人としてどんなに面白くても、服がダサかったり不潔に見えたりすると、女性には敬遠されてしまう。軽薄そうなキャラクターを打ち出しているからこそ、見た目までだらしないと思われてはいけないのだ。

 また、りんたろー。はさておき、藤森と兼近は単純にルックスがいい。イケメンがチャラ男を演じるからこそ、そのギャップが魅力的に見えるのだ。


■チャラいけど根は真面目


 さらに、チャラいキャラクターの裏に真面目な部分が垣間見える、というのもポイントだ。藤森はチャラ男芸人になる前から、オリエンタルラジオとして数多くの番組に出ていた。その頃には相方の中田敦彦の方が目立っていて、藤森はむしろ実直で真面目な印象の芸人だった。

 そんな藤森が突然、チャラ男キャラを開花させて「君、かわうぃーね!」「シクヨロでーす!」などと言い出したところが衝撃的だったのだ。表面上はチャラい振る舞いをしていても、根底の部分にある真面目さを視聴者はすでに知っている。だから安心して見ていられる。女性にだらしないようなことを言っていても、女性にとって敵ではない感じがするので、好感度が落ちないのだ。

 一方のEXITもかなりイメージがいい。りんたろー。は老人ホームで介護の仕事をしていたことがあり、相方の兼近はベビーシッターのアルバイトをしていて子供好きの一面もある。彼らはもともと深夜のお笑い番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)に出たことがきっかけで売れたのだが、このときにすでに「チャラいけど根は真面目」という部分を発掘されていた。

 さらに言えば、EXITはいまや若手のご意見番としても頼もしい存在だ。吉本騒動の渦中には、兼近はチャラい文体で事務所に物申すようなツイートをしていた。りんたろー。は、自分が育ってきた吉本の劇場「ヨシモト∞ホール」に活気がなくなっていることを憂い、それを立て直すために芸人やファンたちから意見を募集した。集められた意見を事務所側に持ち込み、改善策を話し合っていくつもりだという。2人とも逆風を恐れない行動力があり、そういう部分も含めて支持されている。

 結局のところ、チャラ芸人ブームを支えているのは、本人たちの根っからの真面目さである。一見矛盾するようだが、真面目だからこそチャラくなれるのだし、真面目だからこそチャラ男として愛されるのである。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月25日 掲載

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