えっ、そうだったの? TBS「ノーサイド・ゲーム」にひっそり出演する吉本芸人の名

 最近のTBS「日曜劇場」といえば、キャスティングにアナウンサーや歌舞伎役者、噺家、そしてお笑い芸人といった異業種から起用するのが名物のひとつ。印象に残る演技をすれば、それがドラマにとっての話題ともなる。なかでも池井戸潤・原作ドラマとなれば、それが顕著だ。ところが、現在放送中の「ノーサイド・ゲーム」では、“異業種俳優”が目立たないのである。話題の吉本興業から、ひっそり出演中の芸人がいることをご存知だろうか。

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 これまでの例を挙げてみると、「半沢直樹」(2013年)では、アナウンサーでは夏目三久、歌舞伎界からはオネエ口調が話題となった片岡愛之助、噺家では笑福亭鶴瓶、そしてお笑い芸人からはダンカン、木下隆行(TKO)が出演し、話題になった。

 同様に、「ルーズヴェルト・ゲーム」(14年)では、強面と暑苦しい演技で注目された噺家の立川談春を筆頭に、アナウンサーでは森本毅郎、平井理央、歌舞伎では坂東三津五郎、そして芸人からはマキタスポーツらが出演していた。

 そして「下町ロケット」(15年、18年)では、ミュージシャンの吉川晃司や世良公則、さらにアナウンサーでは高島彩、古舘伊知郎、福澤朗、お笑い芸人からは談春、恵俊彰、春風亭昇太、バカリズム、イモトアヤコ、古坂大魔王、東国原英夫、今田耕司などが起用された。

「陸王」(17年)には、作家の阿川佐和子や元プロテニス選手でスポーツキャスターの松岡修造、歌舞伎界からは市川右團次、噺家からは桂雀々、お笑い界からは、かしまし娘の正司照枝師匠を筆頭に、ヒール役に徹した小籔千豊、キム兄こと木村祐一らが起用された。

 これに続くのが「ノーサイド・ゲーム」というわけだが、どういうわけか今回は異業種枠が少ない。第6話(8月18日放送)に橋幸夫が登場し、西郷輝彦に加えて“元祖御三家”のうち2人が並び立った。あとは舟木一夫がいつ出るか……といった話題がある程度か。他局プロデューサーが語る。

「やはり主演が、芸人をも喰う大泉洋ということもあって、芸人も少ないですね。でも全く出ていないわけでもありません。歌舞伎界からは中村芝翫さんも出演しています。また、大泉がGMを務める社会人ラグビーチーム・アストロズの選手として、林家正蔵の長男である噺家の林家たま平、ブルゾンちえみのユニット『ブルゾンちえみ with B』のB(ブリリアン)の片割れ、コージが起用されています。また、チーム行きつけの居酒屋の女将を演じているのは元宝塚のトップスター凰稀かなめ。他にもホラン千秋がゲスト出演したり、スポーツ界では現役の力士や吉田沙保里なども出演しましたが、これまでと比べるとかなり地味なメンツですね」


■工場長にリットン調査団


 だが、まだ異業種俳優はいるのである。チーム・アストロズの職場、トキワ自動車の工場長を演じている藤原光博(57)だ。え、ご存知ない? お笑いコンビのリットン調査団の片割れである。

「いやー、全く話題にならないので、すっかり忘れてました。出ているんですよ、リットン調査団。でも、彼らを知らない方もいるかもしれません。以前、『水曜日のダウンタウン』(TBS)で、“未だにバイトをしている最も芸歴が長い芸人”として紹介されたこともありました」(同)

 つまり、売れていないわけである。昨年は「モヤモヤさまぁ〜ず2」(テレビ東京)で高円寺周辺を紹介したところに、バイト中の藤原が登場。番組では、“藤原さんは現在、はかせのみせ(註:水道橋博士が経営)と居酒屋と清掃員のバイトをしています”とも説明されていた。

「色んなバイトをしているようですが、その働きっぷりが評価され、職場の鍵を任され、重役会議にも出席、社内報にまで掲載されたという逸話があるそうです。元々、ダウンタウン司会のオーディション番組をきっかけにデビューしたため、年下の彼らに可愛がられています。松ちゃんや後輩芸人たちが、愛情を持ってイジる、“出川哲朗的芸人”です。ダウンタウンや関西のお笑いファンには知られるベテランコンビで、“売れないけれど消えない”吉本芸人の代表格ですね」(同)

 本業で食えずにバイトをするしかないのなら、例の闇営業問題では、発言するチャンスもあったはず……。

「彼はそういうタイプではありません。売れるつもりがないというのは、後輩芸人の間でもネタになっていますし、本人も吉本に対して物申す立場にない、そんなレベルの芸人ではない、と思っているのだと思います。また、ドラマや共演者に迷惑をかけたくないという気持ちが先に立つのでしょう」(同)

 改めて「ノーサイド・ゲーム」を見返してみると、ああ、あの工場長かと思うほど、自然な演技が光る。愛之助や談春のように、「ここで注目されないと」という力みがない。むしろ、長い下積みを経て、ようやく日曜劇場に出演できたバイプレーヤーのような風格さえある。

「『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)にもゲスト出演したことがありますし、役者としてもやっていけるかもしれません。志賀廣太郎さんや温水洋一さんタイプの個性派俳優として大化けする可能性だってあります」(同)

 ちなみに、芸人としての得意技は、エロ小話だそうである。

週刊新潮WEB取材班

2019年8月25日 掲載

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