立川志らくのTBS『朝の顔』にリスク心配も ライバル局幹部「全面に出ない方が賢明」

記事まとめ

  • 国分太一と真矢ミキMCのTBS『ビビット』が終了して、立川志らくが『朝の顔』となる
  • ライバル民放キー局の幹部は「志らく起用には大きなリスクがある」と、心配する
  • 志らくの新番組は『グッとラック!』で、国山ハセンアナと若林有子アナも出演する

「立川志らく」がTBSの朝の顔に 他局幹部は「全面に出ない方がいい」とアドバイス

■話芸は抜群だが……


 9月2日、スポーツ紙を中心に、落語家の立川志らく(56)がTBSの“朝の顔”となることが伝えられた。

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 TBSが平日の午前8時から放送中の「ビビッド」は終了となる。MCは国分太一(44)と真矢ミキ(55)という大物の二枚看板だったが、近年は視聴率が低迷。以前から番組終了の可能性が取り沙汰されていた。

 9月30日の午前8時からスタートする新番組の名前は「グッとラック!」。志らくをMCに起用し、主婦層に人気があるという国山ハセンアナウンサー(28)がサポートする。

 アシスタントは今年4月に入社したばかりの若林有子アナウンサー(23)を抜擢した。テレビ担当記者がTBSの狙いを解説する。

「視聴率三冠王の座を巡り、日本テレビとテレビ朝日が激しい戦争を繰り広げています。TBSも2強の間に割って入り、何とかして3強を構成したい。ところが、『ビビッド』の視聴率は2%台まで落ちこんでいました。ここまで数字が悪いと、番組をテコ入れしても意味がないと判断したのでしょう」

 TBSの“武器”は平日の午後だ。「ひるおび!」(10:25)、CBC制作の「ゴゴスマ―GO GO!Smile!―」(13:55)、国山アナが出演していた「Nスタ」(15:49)の視聴率は決して悪くない。

「朝5時25分からの『あさチャン!』も苦戦中で、平日の朝はTBSの弱点です。とはいえ、朝に人気番組を作り『ひるおび!』にバトンを渡せば、『Nスタ』の終わる午後7時までTBSを付けっぱなしにしてもらえるかもしれません。全日の視聴率を伸ばせる可能性があるからこそ、TBSは『ビビッド』の終了させたのでしょう」(同・テレビ担当記者)

 ご存知の通り、立川志らくは「ひるおび!」のコメンテーターとして、歯に衣着せない発言で人気を呼んだ。そのためか、志らくは「グッとラック!」が始まってからも「ひるおび!」には出演するという。

 ライバル民放キー局の幹部は、「率直に言って、志らくさんの起用は、大きなリスクがあると思いますね」と心配する。

「『ひるおび!』の志らくさんは、MCの恵俊彰さん(54)にコメントを振られ、絶妙な毒舌を吐きます。まさに噺家ならではというプロの仕事ですが、情報番組でピンMCをこなせるキャラクターではありません。やはりTBSで『news23』に出演している小川彩佳アナ(34)も、サブキャスターとしてはよかったですが、メインキャスターの器ではありません。ですので、志らくさんはあまり全面に出ない方が賢明でしょう」

 そもそも「TBSのキャスティング下手」は今に始まったことではないという。

「TBSの黄金期は、プロも驚く絶妙なキャスティングを連発していました。例えば『クイズ100人に聞きました』(1979〜1992)では関口宏さん(76)、『ザ・チャンス!』(1979〜1986)で伊東四朗さん(82)、『ぴったし カン・カン』(1975〜1986)では局アナだった久米宏さん(75)と、視聴者に新鮮なイメージを与えるMCを次々に登場させ、番組を成功させました」(同・幹部)

 潮目が変わったのは80年代後半から90年代。

「平日午前8時半から放送されていた『モーニングEye』(1984〜1996)は、森本毅郎さん(79)の看板番組として人気でした。ところが、TBSを辞めてフリーになった久米宏さんが1985年、テレ朝で『ニュースステーション』をスタートさせて成功を収めます。これにTBSは焦りました。“朝の顔”として機能していた森本さんを、わざわざ降板させ、午後10時からの新番組『JNNニュース22プライムタイム』にMCとして起用したのです。しかし視聴率は低迷して1年で打ち切りになってしまいました」(同・幹部)

 森本を失った「モーニングEye」の方は、何とか持ちこたえる。当時は局アナだった山本文郎(1934〜2014)と長峰由紀(56)が踏ん張った。更に91年から長峰と交代した渡辺真理(52)も人気を呼んで視聴率の下落を防いだ。

 更にTBSは、午後のリニューアルにも成功する。この時間帯は長らくワイドショー『3時にあいましょう』(1973〜1992)が人気を集めていたが、さすがにマンネリ化も否定できなかった。

 そこで92年から「スーパーワイド」(1992〜1996)をスタートさせるが、MCは作家の亀和田武(70)と当時はタレントだった蓮舫(51)という思い切った布陣。“キャスティングのTBS”の伝統が遺憾なく発揮されたのだろう。

「2人は視聴者からも高評価で、番組は好調なスタートを切りました。翌93年4月からは日本テレビが『ザ・ワイド』をスタートさせ、草野仁さん(75)という強力なライバルが出現します。確かに苦戦はしましたが、視聴率が低迷するなんてことはなかった。番組は続けられるはずだったのですが、思わぬ大事件が勃発します。95年に『TBSビデオ問題』が発覚したのです」(同・幹部)


■「TBSは今日、死んだに等しいと思います」


 ビデオ問題の原点は89年。「スーパーワイド」の前番組にあたる「3時にあいましょう」の取材班は、坂本堤弁護士がオウム真理教を批判するインタビューを収録。次にオウム側へ取材を申し込むが、交渉の過程で坂本弁護士のインタビューを収録したビデオテープを試聴させてしまう。

 そして坂本弁護士一家殺害事件が発生。坂本弁護士だけでなく、当時29歳の妻と、1歳2か月の長男までもが殺害された。

 95年に地下鉄サリン事件が発生、教団への捜査でビデオ問題も発覚。最初は否定していたTBSも最後は謝罪し、処分を発表したが、世論が許すことはなかった。

「結果、TBSはワイドショーの放送を止め、制作を担当していた社会情報局を解体してしまいます。そして報道部門が仕切るようになりました。とはいえMCの人選は、たとえ報道番組であっても、芸能界や芸術家なども取材対象にしている社会情報局のほうが、一枚も二枚も上手なのです」(同・幹部)

 この時期にTBSが力を入れていたのが、朝の報道・情報番組である「おはようクジラ」(1996〜1999)だった。当時は日本テレビ系列の「ズームイン!!朝!」(1979〜2001)の一強時代。視聴率は常に20%台だった。

「打倒『ズームイン』を目指したニュース番組の初代MCとして渡辺正行さん(63)が抜擢されたのですが、これは視聴者の評判が悪かったですね。当時の渡辺さんはプレーボーイというイメージも強く、朝という時間帯に合わなかった。98年にリニューアルを行いますが、今度のMCはスポーツライターの青島健太さん(61)で、こちらは真面目だけれども知名度がイマイチ。視聴率がゼロコンマいくつという記録的な低視聴率を記録しました。TBSがおかしくなったのは、この頃からでしょう」(同・幹部)

 こうした過去から導き出される教訓は、「好感度だけでキャスティングすると、えらい目に遭う」だ。

「時間帯が変わっただけでも視聴者の反応が違う。森本毅郎さんという大ベテランでも跳ね返すことはできなかった。視聴者はずっと毎日、そのMCと顔を合わせるのです。それでも飽きないと思わせてこそ、プロのキャスティングです」(同・幹部)

 このライバル民放キー局の幹部によると、「日中のワイドショー」で成功したMCには共通点があるという。視聴者は圧倒的に主婦層が多い。どういう男性が、彼女たちに評価されたのだろうか。

「例えば、現役MCなら『モーニングショー』(テレ朝系列・平日・8:00〜9:55)の羽鳥慎一さん(48)と、『シューイチ』(日テレ系列・日曜・7:30〜9:55)の中山秀征さん(52)、OBなら『ザ!情報ツウ』(2002〜2006)の峰竜太さん(67)に、『ルックルックこんにちは』(1979〜2001)の2代目MCを務めた岸部四郎さん(70)という顔ぶれになると思います」

 ニュースを扱う番組なのだが、4人とも“気鋭のジャーナリスト”というキャラクターではない。

「柔らかさと優しさをベースに、どこか弱さや情けなさも感じさせる。イケメンの路線ではなく、気のいいお父さんの路線が大切なんです。そして、これまで多くの芸能人や有名人がワイドショーのMCを担当してきましたが、その中でナンバーワンの適任者は井ノ原快彦さん(43)だったと思います。ご存知の通り、井ノ原さんは2010年から18年まで『あさイチ』(NHK総合)のMCを務めました。あれこそがお手本です」(同・幹部)

 立川志らくは4月18日の「ひるおび!」で、子供を幼稚園に送ってからTBSに向かっていることや、夜のミルクを担当していることなど、子煩悩な日常生活を明かしている。果たして、視聴者は彼を“気のいいお父さん”と思うかどうか。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月11日 掲載

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