中井貴一が「記憶にございません!」の番宣で見せた“意外な顔” 業界から驚きと賞賛

 9月13日封切りの映画「記憶にございません!」(監督・脚本/三谷幸喜[58])の評判がいい。コメディ映画にもかかわらず、主演が中井貴一(58)という意外性もあるが、公開に先だち、監督はじめ出演者たちも総力を挙げて大宣伝。中でも中井が、インタビューはもちろん、情報番組、バラエティに出ずっぱりだった。これには、業界から驚嘆と賞賛の声が上がっているという。

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 宣伝は、公開1週間前の9月6日から本格化した。中井が出演した番組を挙げてみよう。ちなみに、出演したテレビ局は、14日の「王様のブランチ」(TBS)とレギュラーでナレーションを担当する「サラメシ」(NHK総合)を除けば、すべて本作の製作に入っているフジテレビである。

●9月6日:めざましテレビ
●9月8日:ボクらの時代(三谷、中井、佐藤浩市[58]の鼎談・前編)
●9月8日:サラメシ(※NHK総合)
●9月9日:めざましテレビ
●9月10日:映画「記憶にございません!」9月13日公開準備委員会 特別質疑
●9月10日:めざましテレビ
●9月10日:ノンストップ!(中井が生出演)
●9月10日:サラメシ(※NHK総合)
●9月11日:映画「記憶にございません!」9月13日公開準備委員会 特別質疑
●9月11日:ホンマでッか!?TV
●9月11日:TOKIOカケル
●9月12日:映画「記憶にございません!」9月13日公開準備委員会 特別質疑
●9月12日:めざましテレビ
●9月12日:直撃!シンソウ坂上
●9月12日:サラメシ(※ NHK総合)
●9月13日:映画「記憶にございません!」9月13日公開準備委員会 特別質疑
●9月13日:ダウンタウンなう
●9月13日:Live News it!
●9月13日:直撃LIVE グッディ!
●9月13日:バイキング
●9月13日:情報プレゼンター とくダネ!
●9月13日:めざましテレビ
●9月14日:映画「記憶にございません!」9月13日公開準備委員会 特別質疑
●9月14日:めざましどようび
●9月14日:王様のブランチ(※TBS)
●9月14日:映画「ステキな金縛り」(中井出演)
●9月15日:ボクらの時代(三谷、中井、佐藤の鼎談・後編)

 ざっと調べただけでもこの通り。ちなみに、深夜に10分間放送された「映画『記憶にございません!』9月13日公開準備委員会 特別質疑」とは、国会を模したセットの中で、三谷が出演者たちにプライベートに関する質疑と応答をさせる宣伝特番だ。監督の三谷に至っては、同様に様々な番組に出演しつつ、公開当日の9月13日は早朝4時55分から夜24時55分まで、フジテレビで放送されるすべての番組に登場する、1人24時間テレビの状態であった。


■業界が刮目した芸達者ぶり


 他局プロデューサーは言う。

「三谷さんは元々、テレビに出るのが好きな方ですし、彼の映画全8作はすべてフジと東宝の製作ですからね。一所懸命宣伝するのも当然でしょう。でも、中井さんクラスの大物、主演クラスの俳優が、自分の映画の番宣にこれだけ協力するのは珍しい。しかも、どの番組でも“きっちり”と仕事をしているのには感心しました」

 今年1月に公開した「マスカレード・ホテル」では、主演のキムタク(木村拓哉[46])がやはりフジテレビに出ずっぱりだったが、

「彼はバラエティもこなせるタレントですからね。それに対し中井さんは、純粋な俳優です。ドラマや映画以外では、ほとんどお目にかかることのない人で、バラエティには出ないと思われていました。NHK『サラメシ』のはじけたナレーションや、CM『ミキプルーン』のコメディっぽいところは話題になっていましたが、あくまで台本のある役者の範疇と思っていました。ところが今回、出演番組を見て、あんなに喋れる人だったのかとビックリしました。今後はテレビでも、もっと活躍してほしいと思いましたね」(同・他局プロデューサー)

 業界人が驚くくらいだから、一般の視聴者も似たような感想である。SNSではこんな声が広がった。

〈中井貴一さん気さくでいいな〜…かっこいいし。〉

〈中井貴一の トークが ウケるwww〉

〈中井貴一さん、映画の宣伝で露出増えてるけど、全番組メガネが違う。しかも全部似合ってる。かっこええ。。。〉

 メガネにまで気を使っていたらしい。

 中井が出演したバラエティで目立ったところを紹介すると。

 まずは「ホンマでっか!?TV」では、評論家が「“オノマトペ”を効果的に利用することで記憶に残りやすい」と説明しているところに、中井とマツコ・デラックス(46)がヒソヒソと話し込んでいるところが映し出される。するとMCの明石家さんま(64)が――

さんま:なにゴチャゴチャ喋ってんねんっ!

中井:ごめんなさい。オノマトペって何ですか?

マツコ:今、そう言われたのでご説明をしていて……。

中井:“ホニャホニャ”って言うんですか。

マツコ:そうじゃない、そうじゃない。

評論家:川がサラサラ流れるとか、音を繰り返して作る擬態語、擬音語のことです。小学校2年生ぐらいで習うんですけど。

中井:ああーあれか(虚空を見つめる)。

――全く知らなそうな中井に、スタジオからは爆笑が起き、出演者からは「嘘つけー」の声がかかる。

中井:なんで、それをオノマトペって言うんですか?

評論家:オノマトペって、実は古代ギリシャ語からあるんですけど……。

さんま:ギリシャ語で何という意味なんですか?

評論家:“新しい言葉を作る”という意味なんです。

 スタジオ、出演陣から、“へぇー”の声が上がるとすかさず、

中井:ホラ、結局みんな知らないじゃないですか! みんな、オノマトペ、オノマトペって知ってるように言ってたけど、知らないじゃないですか! なんで知ったような顔すんの、みんな! 俺はずっと、そこに引っかかってたんですよ。フワフワとかモフモフはいいんですよ。なんで、みんな知ってんだろうと思って。

さんま:ごめんなさい。俺もフワフワとかモフモフとか言う人やと思ってました。

――“お笑い怪獣”さんまをもツッコむ力を持っていた。


■実はキャラの認識違い


 続いて「TOKIOカケル」(フジ)では、ノリツッコミまでかます。国分太一(45)から「4対4の合コンに誰呼ぶ?」との質問が出ると、

中井:自分の他に、弁護士、医者、会社社長かな。

松岡昌宏(42):大人のやらしさが見える……。

中井:確かに……。やらしいもん! 大体、合コンがやらしいだろ! やらしさしかねーだろ! (少し落ち着いて)会話が一色になるのが面白くないから。芸能人ばかりで、芸能の雰囲気出すとね……。

TOKIO:それで、弁護士、医者……。

中井:お前ら、それ、なぞるなよ! (考えを改めて)三谷幸喜、佐藤浩一、俺、そして(映画共演し、中井と一緒にゲストの)濱田龍臣(19)。同世代の中で、どれだけ女子が濱田に行くんだろう。

国分:でも、本当は、医者……。

中井:太一! 言うんじゃない!

――その後、中井が通う名店を紹介。中でも京都の“牛ハリハリ鍋”はスタジオで中井自身が調理。

長瀬智也(40):やっぱりこういうお店には、医者とか弁護士……。

中井:俺が京都で仕事してる時に、医者とか弁護士、いるわけねーじゃねえか!

 ツッコまれても自在なのである。さらに「直撃!シンソウ坂上」(フジ)ではボヤキ芸も見せた。出世作「ふぞろいの林檎たち」(TBS)の思い出話になり、鬼演出家と言われた鴨下信一氏(84)について坂上忍(52)が話を振ると。

中井:朝9時に“はじめまして”と顔合わせ、脚本読み、それから立ち稽古……家に着いたのは(夜)11時。この間、怒鳴られっぱなし。俺、その時に引退を考えたもん。(それに比べると)今の子たちは、ズルいよ。(みんなが)優しいもん。働き方改革とかさあ、パワハラ、セクハラって何なんだよ! もっと早く作れよ!

 この変幻自在な芸風に、とまどった方も少ないくなかったのではないか。中井のデビューは、映画「連合艦隊」(81)での特攻隊員役である。「ふぞろいの林檎たち」(83〜97)では三流大学の生真面目学生がハマっていた。NHK大河「武田信玄」(88)では知将・武田信玄を演じて、平均視聴率39・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は歴代2位。真面目な印象が強いのだ。なにより二枚目俳優・佐田啓二(1926〜1964)の息子である。

 だが、それが思い違いだったと知ることになるのは、「ボクらの時代」の後編(9月15日)だった。三谷と佐藤、そして中井の鼎談で、三谷が「記憶にございません!」撮影時に見た、2人の違いについて語り出す。

三谷:現場に入った時に空気感とか、5分以上の2人の長回しシーンの違い。浩市さんはイメトレをしっかりしてくるんだけど、想像していた場所と違うと、1人残ってシミュレーションをして本番に。

佐藤:意外にそういうタイプじゃないと思われがち……。

三谷:(佐藤に向かい)そうなんだよね、この人はすごく考える人だなと思って。(それから中井に向かって)あんまり考えない……。

中井:本当にその通り。俺らは見た目と逆なんです。俺は緻密さで売ってるような……。

三谷:自分でそう思ってたんですね。

中井:ある意味、いい加減、そのままポーンといくタイプ。

三谷:緻密な佐藤、行き当たりばったりの中井。

中井:もうちょっと、言い方ない?

 実は、そういう人らしい。ならば、支持率がたった2・3%しかない史上最低のダメ総理が、投石が当たって記憶喪失となり、悪徳政治家から善良なおっさんへと変わる映画「記憶にございません!」は、ある意味、ハマリ役なのではないか。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月19日 掲載

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