池江璃花子選手、小泉ファミリー、山口組組長…著名人が続々なべおさみに幻惑される理由

■「池江璃花子」に取り憑いた怪人「なべおさみ」(2/2)


 白血病で闘病中の池江璃花子選手(19)と、タレントのなべおさみ(80)の奇怪な“めぐり合い”――。「施術」「気を送る」などと称した自身の行為を、なべはこれまでも著作で紹介してきた。その人脈は政界から裏社会まで広がり、今回、吉本興業に所属するに至った背景にも、安倍首相の存在が見え隠れする。

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 永田町関係者によれば、

「なべは小泉進次郎代議士とも接点がある。今年春には小泉純一郎元首相の秘書から神奈川県議になった牧島功氏の選挙の応援を進次郎氏と一緒にやっていました」

 なべの自著『スター万華鏡』では、小泉純一郎元首相の選挙を応援する場面も描かれる。小泉元首相の姉の信子さんと秘書の飯島勲氏がなべの自宅で選挙のための〈作戦会議〉をした、と本にはあるが、当の飯島氏に聞いてみると、

「何で小泉信子と私が(なべの家に)行かなきゃいけないのかね。それはあり得ないです。自分の名前を売るために人の名前を使っちゃってるだけじゃないの。私は相手にしませんよ」

 なべに“書かれた側”からの困惑の声はこれだけではない。なべの著書『やくざと芸能と』では、参議院議員・鈴木宗男氏の83年の衆院選をなべが手伝う場面が出てくる。そこで、なべの人柄について宗男議員に尋ねると、

「全く知りません。なべさんは、選挙に出る時に大変お世話になりましたけど、替え玉受験事件以降、一切連絡をとっていないので、私は全くわかりません」

“恩人”であるはずのなべについて、なぜか頑なに口を噤むのだ。宗男議員とのエピソードは同書が文庫化された時にばっさりと削られているが、逆にその際、加筆されたのが、伊達忠一・元参議院議長を巡る話だ。

「なべさんが本を書いている時期に、そういえば伊達は参議院自民党幹事長にまでなっているなと思って、書いて下さったんじゃないかと思うんです。書いて下さるのは嬉しいですよ」

 と、伊達元議長の妻。

 本の中では、2013年の参院選の際、なべが安倍総理にメールしたおかげで伊達元議長に自民党の公認が出たように書かれているが、

「それは違いますね。あの時は道議を中心に立候補希望者が主人も含めて5名いて、札幌市議や北海道議などで投票を行い、主人がトップだったので公認を得られたのです」(同)


■「身を引いてもらいたい」


 困惑の声は政治家の周辺以外からも聞こえてくる。なべは本の中で、山口組3代目の田岡一雄組長の娘の田岡由伎さんを、桜を見るために皇居内へ案内していたところ、当時の天皇皇后両陛下にお会いした、というエピソードを紹介しているものの、

「田岡由伎さんは“あんなことまで書いてしまうなんて……”と困った様子でしたよ」(知人)

 前出の『スター万華鏡』で、なべは田岡組長の息子の田岡満氏の〈命の延長〉を行った、と書いている。なべと満氏、両者を知る関係者によると、

「満さんが体調を崩した時、なべは“気を送っている”と言っていましたね」

 入手し得る限りの資料に当たったところ、なべはそうした「力」について、複数の著作よりも早い段階で、月刊オカルト情報誌「ムー」で明かしている。

〈でね、これは公にはいってないことなんですが……今日、初めていっちゃいます。僕は、ただひとつだけ天から授かった才能があるんですよ。それは病を治すことができる力です。人の命の間尺が見えるんです。いくつまで生きるか、いま病気だとか〉(12年2月号)

 といった具合だが、大学時代からなべのことを知る旧友によると、

「古くから知ってる僕らになべは、気が使えるとか、寿命が見えるとか言ったことは一切ないし、実際にそんな力があるように見えたことも全くない。そもそも、気を送って病気が治るはずがないでしょう」

 もちろん、普通の人が“気”などと言い出しても信じる人はいないだろうが、なべの場合、著名人までもがいとも簡単に幻惑されてしまうのはなぜなのか。

「なべは話がうまくて物を書くのも上手。それは昔からずっと変わらない。だから、それがなべの本質。みんな、伝説を作ろうとしているなべの話術やストーリーテリングに乗せられているのです」(同)

 医学博士の中原英臣氏が言う。

「私が池江さんの主治医なら“一緒にご飯を食べて、なべさんに励まされる程度なら問題ないけど、深入りするのは良くない”と言いますね。民間療法に頼った結果、病院での診察が遅れてしまった小林麻央さんのようなケースもあるわけですから。なべさんには、池江さんが民間療法に入り込みすぎないようにするためにも、身を引いてもらいたい」

 目下のところ、順調に進んでいるとみられる池江選手の治療。しかし、気をつけなければいけない。なべは、それを自分の「手柄」のように語る恐れがある――。

「週刊新潮」2019年9月19日号 掲載

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