国民的キャラになりたがる藤原紀香 峰不二子やサザエさんよりヤワラちゃんに通ずる自意識と生き様

 平成は峰不二子、令和ではサザエさん。女性像としては真逆だが、共通点は国民的人気があるところ。そして藤原紀香が、「自分に似ている」と称するキャラクターである。

 血圧、筆圧、などの熟語があるが、紀香は「画圧」が強い。日本人離れした容姿はもちろん、画面に出た時の「みんなはこう思っているだろうけど、実はわたしって〇〇なんです」と押し出してくる自意識がとにかく強いのだ。そういった意味で、今月から始まった舞台「サザエさん」でのサザエ役への抜擢は、紀香としてもやりがいのある役どころのはずだ。国民的な人気を誇る女性でありながら、お茶目でおっちょこちょい。事実、「サザエさんか!」と実生活でもツッコまれると会見では語っていた。

 ミス日本から島田紳助の番組アシスタントを経て、CanCamモデルで全国区の顔となりブレイク。「紀香カット」と呼ばれたヘアスタイルは爆発的人気を誇り、瞬く間にCMやドラマにひっぱりだことなった。日テレの音楽番組「FUN」では、今田耕司・松任谷正隆とともにメインMCを担当。ゲストのライブに合わせて踊りだす彼女をこれでもかと映していた。個人的に思い出す紀香の画圧エピソードは、「いなかっぺ大将」の主題歌「大ちゃん数え唄」をノリノリで歌う姿である。そこには「すごい美人でスタイル抜群なのに、こんな選曲をしちゃう庶民的な私」「ただのモデル上がりとみんな思ってるだろうけど、歌も踊りもけっこういけちゃう私」という2重のアピールが押し出され、げっぷが出そうだった。

 最近でも「ダウンタウンなう」出演の際、「カメラがあるとカッコつけてしまう」と語っていた矢先、中森明菜を思い切り歌い上げていた。はやし立てられてしぶしぶ、という流れだったものの、「気さくでバラエティの流れもわかる私アピール」というまんざらでもない印象は拭えず、令和になっても紀香は紀香、と思ったものである。

 こうした紀香がちょいちょい繰り出す「ギャップのある私」語りについては、うさんくさい、わざとらしい、というイメージを持つ人も多いようだ。某誌の「嫌いな女ランキング」で名前を見かけることも増えた。うっかり口が滑ったように使う関西弁も含めて、その過剰な自意識を、友近は持ちネタにまで仕上げている。おそらく幼い頃から注目され続けてきた美貌ゆえ、「国民的スター」としての自意識と振る舞いが身についているのだろう。


■「国民的スター」としての自意識 ヤワラちゃんを思い出す生き様


 現代は炎上社会、ちょっとでも大きな口を叩けばすぐさま批判が殺到する。芸能人も例外ではなく、SNS疲れを口に出すタレントも増えた。しかし紀香は違う。炎上騒ぎはあったものの、どこ吹く風のノリノリ紀香なのである。この図太さ、見覚えがあると思ったらヤワラちゃんこと谷亮子であった。

 まさに元・国民的アスリートであり、注目され続けてきた女性。「国民的スター」としての自意識と、素の可愛い私とのギャップを見せたがる点もそっくりだ。かつて生中継されたヤワラちゃんプロデュースの結婚披露宴は、紀香と並ぶ実に画圧の強い企画だらけだった。雄ライオンのようなウェディングベールに巨大な地球儀形ケーキ、本人による再現ビデオ。さらに新婚旅行にもテレビクルーを同行させ、「金メダルを取るほど強いアスリートなのに、女性らしい可愛さもあるわたし」を抜かりなく写させる。このあたりの自意識、紀香とまさにいい勝負ではないだろうか。

 そのヤワラちゃん、元国会議員であり、紫綬褒章まで受賞している。もはや国も認めた「国民的スター」と言える。オリンピック連覇を自ら「前人未踏」と言ったり、PR商法的な結婚式中継には眉をしかめた人も多かったが、結婚中継の視聴率は17.2%を記録。「国民的スター」による「国民的エンタメ」と化していた。

 そう考えると、炎上社会に風穴を開ける「国民的エンタメ」は、「国民的自意識」を持つ人間から生まれると言えないか。ヤワラちゃんであれば、紫綬褒章につながった五輪連覇や輝かしい戦績を経ての、「日本を代表するアスリート」という自意識。一方紀香だって、ミス日本の栄冠と、歌舞伎界の一端を担っているという「日本を代表する美女」という自意識があるだろう。だからこそ紀香もヤワラちゃん同様、「国民的エンタメ」として炎上を恐れず、過剰な自意識を見せ続けて欲しいものだと思うのである。

 国民的人気漫画のキャラクターに並々ならぬ共感を寄せ続ける紀香。考えてみれば「ヤワラ」も、国民的人気を誇るマンガのヒロインだった。紀香演じるサザエさんの舞台が「国民的エンタメ」となるかはわからないが、これでダメなら最後は手塚治虫マンガあたりに手を出すのだろうか。「昔からわたし、火の鳥っぽいって言われてんねんな……あっ、言われてます」といつもの画圧と唐突な関西弁で言われても驚かない。いや、それでこそ「国民的エンタメ」の紀香である。そしてそのモノマネをする友近までセットで見える。むしろ、見たい。

(冨士海ネコ)

2019年9月25日 掲載

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