日韓関係は最悪でも「韓流ドラマ」は大健闘 コスパ最高、苦情受付はメールで

■韓流ドラマのオンエア数は?


 日本における韓流ドラマブームの原点は2004年だという。読売新聞オンラインに「平成16年(2004年)読者が選んだ10大ニュース」の記事がある。確かに韓流ブームを伝えるニュースがランクインしている。(註:引用部分はデイリー新潮の表記法に合わせたほか、敬称略とした)

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 第1位は「新潟県中越地震」だった。マグニチュード6・8の巨大地震、死者は68人に達した。

 2位から5位を並べてみると、「アテネ五輪メダルラッシュ」、「プロ野球界大揺れ、50年ぶり新球団(註:東北楽天ゴールデンイーグルス)」、「イチローが大リーグ年間最多安打記録更新」、「小泉首相再訪朝、拉致被害者家族が帰国」となった。

 そして第8位に「『冬のソナタ』など韓流ブーム」が入っている。実は前年の2003年にNHKはBS2で放送していたのだが、「地上波で放送してほしい」と視聴者が要望。2004年にオンエアすると、社会現象となるほどのヒットを記録した。

 ランキングから世相が見えるが、当時は小泉純一郎(77)が首相で、03年12月に自衛隊をイラクに派遣した。イチロー(45)は現役のメジャーリーガー。北島康介(36)の「チョー気持ちいい」が流行語となり、堀江貴文(46)の肩書きは「ライブドア社長」だった。

 この04年以降、テレビ局で多くの韓流ドラマ放送されていく。ところが10年ごろから“潮目”が変わっていく。まず11年7月に俳優の高岡蒼佑(37)がツイッターを使い、以下のように投稿した。

《正直、お世話になった事も多々あるけど8は今マジで見ない。韓国のTV局かと思う事もしばしば。しーばしーば。うちら日本人は日本の伝統番組求めてますけど。取り合えず韓国ネタ出て来たら消してます^^ ぐっばい。》

「8」とはフジテレビを指していた。高岡はこれを皮切りにフジテレビと韓流ドラマやK-POPへの批判を展開。所属事務所を解雇される騒動へと発展する。

 一方、自民党の総務部会は、フジテレビの韓流偏重批判に一定の理解を示した。8月には衆議院議員だった片山さつき(60)が、民放連会長だった広瀬道貞(83)(註:肩書はいずれも当時)に、フジへの批判を考慮するよう要請を行ったことも話題になった。

「冬のソナタ」がブームとなった04年、韓国の大統領は故・盧武鉉(1946―2009)だった。それから李明博(77)、朴槿恵(67)を経て、現職の文在寅(66)に至る。

 日韓関係の悪化が影響し、最近はすっかり韓流ドラマをテレビで見なくなった。こうお考えの方も多いだろう。


■BSやCSでは今も“キラーコンテンツ”


 確かに、いわゆる“民放地上波”で、韓流ドラマを目にする機会は少ない。だが、NHKや民放キー局が運営するBS局まで視野を広げると、まだまだオンエアされている作品は多い。表にまとめてみた。

 地上波ではNHK総合とテレビ東京が韓流ドラマを放送している。それ以外は次の【下】の表を含めて、すべてBSだ。

 全部で10本。もちろんBSの専門放送局やCSまで広げると、本数は更に増える。例えばWOWOWの公式サイトを見ると、10月改編期の新作も含め、9本の韓流ドラマが紹介されていることが分かる。

 民放キー局が運営するCSの場合なら、TBSチャンネルやテレ朝チャンネルの公式サイトを見てみると、1週間に10本を超えるドラマが紹介されている。地上波という“表舞台”からは姿を消したように見えても、まだまだファンは強固に存在することが分かる。

 反韓や嫌韓というトピックが注目されることが少なくないにもかかわらず、テレビ局の関係者は「まだまだ韓流ドラマは充分なビジネスになっています」と明かす。

「BS放送で韓流ドラマは最悪でも視聴率1%、いいものは3%近くに達します。特筆すべきは放映権料の安さで、だいたい1話10万円から始まり、高くても15万円で全国放送が可能です。宣伝費をかける必要もなく、まさに“ローコスト・ハイリターン”のお手本ですから、テレビ局にとっては貴重な収入源になっています」

 地上波でも、思わぬ“高視聴率”を獲っているドラマがあるという。テレビ東京が朝の8時15分から放送している「ハンムラビ法廷」だ。

「ビデオリサーチが調査した9月6日の金曜日、関東地区の視聴率を見てみると、何とテレビ東京の『ハンムラビ法廷』は3・2%を記録したのに対し、TBSの『ビビッド』は3・1%しか獲れていません。国分太一さん(45)と真矢ミキさん(55)のギャラ、取材が必要な情報番組の制作費を考えると、『ハンムラビ法廷』の効率の良さは注目に値しますね」(同)

 テレビ東京の公式サイトによると、「ハンムラビ法廷」は《理想主義の新米判事×原則主義の超エリート判事が繰り広げるリーガル・ヒューマンドラマ》ということになる。

 配役は、《原則主義の超エリート判事》をアイドルグループ“INFINITE”のメンバー、エル(27)が演じ、《理想主義の新米判事》はベテラン俳優のソン・ドンイル(52)が担当している。つまり若くて冷徹なキャリア官僚と、苦労に苦労を重ねた人情派のノンキャリ役人のコンビという感じのキャラクターなのだろう。これに女優のAra(29)が演じる新人判事が加わる。

 既にNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンからDVDが発売されているが、こちらのタイトルは「ハンムラビ法廷〜初恋はツンデレ判事!?〜」と、アイドルのエルとAraが演じる恋愛ドラマを前面に押しだしたものとなっている。

 政治情勢はどうであれ、現在も韓流ドラマのファンは健在であり、テレビ局にとっても手堅いビジネスとして今も機能している――わけだが、やはり世論の反発は相当なものがあるという。

「ワイドショーも韓国報道を扱うと視聴率が上がりますが、韓流ドラマも相変わらず人気だと思います。ただし、このご時世ですから、韓流ドラマを放送していると、視聴者からのお叱りをかなり受けます。そのためBSでは、電話での苦情は受け付けず、もっぱら公式サイトやメールからのみ受け付けています」(前出・テレビ局関係者)

週刊新潮WEB取材班

2019年9月28日 掲載

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