アリババ創業者ジャック・マーと「燃えろアタック」荒木由美子の知られざる親交

 ヒグマ落としにUFOサーブ。奇怪な魔球を繰り出すバレーボール少女たちを描いたスポ根ドラマ、1979〜80年放送の「燃えろアタック」で主役を務めたのが荒木由美子(59)だ。その可憐なブルマ姿に男たちは夢中になったが、虜になったのは日本男児だけではなかった。あの中国のカリスマも“萌えて”いた。

 誰かといえば、その男の名はジャック・マー。そう、中国のネット通販企業「アリババ」創業者にして、さる9月10日、時価総額50兆円にまで成長した自社の会長職を55歳の若さながら引退すると発表、話題を撒いたばかりの人物である。

 経済部記者によれば、

「マー氏が築いた個人資産は4兆円を超えるといわれ、まさに立志伝中の超有名人。ちなみにビジネスマンに転向する前に英語教師をしていたマー氏は、今後は教育などの慈善活動に専念していくと表明しています」

 そんなマー氏との数奇な出会いを振り返ってくれるのが荒木由美子本人である。荒木は「燃えろアタック」の放送が終わった3年後、歌手の湯原昌幸と結婚し、23歳の若さで芸能界を引退。それから20年。40歳を過ぎて子育てや義母の介護を終え、家庭を守る主婦として一息ついていたある日、知人を通じて奇妙な電話を受けたそうだ。

「中国のある会社経営者が私に会いたがっているという話でした。最初は怪しいと思って返事を保留したのです。すると、その方は中国から分厚い会社資料を送ってくださった。そこまでしていただいたのだから、一度お会いしてみようかと、指定された赤坂プリンスホテル(当時)に向かいました」

 そこで待ち受けていた男こそがマー氏だったのだ。

「そのころのアリババは急成長の最中で、日本ではマーさんも今ほど有名ではありませんでした。マーさんは私と会えて本当に嬉しそうにしてくれて“来日するたび、あなたを探していました。小鹿ジュンがいたから今の自分があるんです”と熱く語られました」

■いきなり逆立ち


 小鹿ジュンとは荒木が演じた主人公の役名だ。

「『燃えろ』は中国で視聴率が80%を超えていたと聞いています。しかも、2000年代初頭まで繰り返し再放送されていたので、幅広い世代に馴染みがあるドラマなのです。マーさんは中国での放映当時、大学受験に2度も失敗し、精神的にドン底にいたと。そんな時、どんな苦境にもめげず、立ち上がってコートに向かうジュンを見て励まされたと語るのです。そして、“事業で成功し、あなたを自分のお金で中国に招待することが私の長年の夢でした。中国に来てくれませんか”とまで言って、頭を下げられるんですよ。その後も人を介して熱心なラブコールをいただいたので、ありがたくお受けすることにしたわけです」

 1カ月後、上海空港に降りたった彼女を待ち受けていたのは、垂れ幕を掲げた、ロビーを埋め尽くさんばかりの人だかりだった。

「今もみんなジュンのことを覚えてくれているんだと感激しました。翌日、マーさんの出身地の杭州市でマーさんと再会。会社で盛大な歓迎セレモニーを開いていただきました。社内を案内してくださったマーさんは、私をある部屋に連れていってくれたんです」

 そこは、机も椅子もないだだっ広い部屋だったが、

「そこでマーさんは数人の社員とともに、いきなり逆立ちを始めたのです。“ジュンもやっていたでしょう。わが社ではここを『逆立ち部屋』と名付けているんです”と言ってね。私は胸が熱くなって……。ドラマで困難にぶつかると、いつもジュンは逆立ちする。それをマーさんは真似るばかりか、社員の方々にも勧めていたと言うんですから」

 彼女もマー氏との出会いで人生が変わったという。

「中国で私を歓待してくれた人たちを見て、こんな私でも、まだ人を喜ばせることができるかもしれないと思い、帰国後、仕事に復帰しました。今の私があるのも、マーさんが『燃えろ』を観ていてくれたおかげ。心から感謝しています」

「週刊新潮」2019年10月3日号 掲載

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