木村拓哉、新ドラマでシェフ役 これまで演じた職業は23 ベスト&ワースト3を発表

■なぜ“職業”が宣伝されるのか?


 TBSは10月20日、「日曜劇場」(日曜・21:00)の枠で、ドラマ「グランメゾン東京」を放映する。主演は木村拓哉(46)。演じる役は、“型破りだが才能溢れるフランス料理のシェフ”だという。

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 まだ放送予定日まで時間があるが、もう番宣CMなどがオンエアされている。キムタクと「日曜劇場」の相性は悪くない。視聴率の記録を樹立したこともあった。TBSも気合いが入っているだろう。

 視聴率の記録を達成したのは、2000年に放送された「Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜」だった。平均視聴率は32・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)。最終回の瞬間最高視聴率は41・3%を記録した。

 この41・3%という視聴率は長らく、「平成の民放ドラマの視聴率・第1位」だった。ちなみに、それを破ったのも「日曜劇場」のドラマ。13年の「半沢直樹」で最終回の視聴率が42・2%に達したのだ。

 TBSの意気込みは、「東京グランメゾン」のキャスティングでも一目瞭然だ。看板の「日曜劇場」らしい、豪華なものになっている。

 共演には鈴木京香(51)とKis-My-Ft2の玉森裕太(29)を配し、幅広い年齢層にアピールする構えだ。さらに中村アン(32)、及川光博(49)、沢村一樹(52)という人気助演陣が脇を固める。また「日曜劇場」が得意とする“歌舞伎役者枠”には今回、尾上菊之助(42)を選んだ。

 もう公式サイトも用意されている。例えば「はじめに ABOUT」では、以下のような宣伝文句が並ぶ。ポイントを列挙する形で、ご紹介しよう。

《木村拓哉が令和最初に挑むのは、型破りなフランス料理シェフ!!》

《慢心からすべてを失ったカリスマシェフは世界最高の三つ星レストランを目指し、再び立ち上がる》

《(註:木村は)これまで多くの職業の人物を演じ、社会現象を巻き起こしてきたことからも平成を代表する存在であるといっても過言ではない》

 職業に焦点が当たっているのは明白だろう。ファンならお分かりだろうが、“キムタクドラマ”の宣伝では、これまでに何度も繰り返されてきた手法だ。

 例えば18年、木村は「BG〜身辺警護人〜」(テレビ朝日系列)で主演を務めた。ドラマの制作を報じたサンスポは、見出しを「キムタク初ボディーガード役!『ドクターX』後継、高視聴率も守るぞ」(17年10月2日)とし、職業を強調した。

 また記事でも《検事、パイロット、外科医−。さまざまな職業を演じる度に社会現象を起こしてきたキムタクが、今度はボディーガードとなって体を張る》と紹介した。

 木村が新ドラマでどんな職業人を演じるのかは、大げさに言えば“ニューズバリュー”があるようなのだ。そこで、これまで木村がどのような“プロ”を演じてきたのか、表にまとめた。最初は92年から2000年、新人時代の頃だ。

■「若者のすべて」はラーメン屋店員


 実は木村が出演した最初と2作目の連続ドラマにおいては、職業人を演じていない。「高校生」や「大学生」という等身大の役だった。

 だが、徐々に自分自身と離れた架空の役を演じていったことが分かる。次の表は00年から10年。ちなみに木村が工藤静香(49)と結婚したのは00年のことだった。

 意地悪なドラマファンは、キムタクドラマを“職業コスプレ”と揶揄する。その傾向は00年代後半になって強まったことが表から分かる。その頂点が「総理大臣」だろう。

 それでは最後の表だ。11年から18年の主演作品になる。

 13年に放送された「安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜」では、遂にアンドロイドまで演じた。突拍子もない設定が話題になったのは、ご記憶の通りだ。

 なぜキムタクドラマと職業は不可分の関係なのか、SMAPの熱狂的な女性ファンは、その理由を「誤解を恐れずに言えば、木村くんの演技が単調だからです」と指摘する。

「喜怒哀楽がパターン化されている。私たちファンはオンエアを見ながら『あ、パターン演技だね』と見つけることも楽しみです。とはいえ、ゴールデンタイムのドラマはSMAPファン以外の方々もチャンネルを合わせます。残念なことに、木村くんは演技力だけで視聴者を感動させることはなかなかできません。それをカバーするために職業を前面に出す。未知の世界を垣間見る楽しみがありますし、キムタク演技のマンネリ化を防げます」

 表でご紹介したのは27本のドラマだ。その中で、まず検事を演じた「HERO」が第1シリーズと、第2シリーズで重複している。

 他にも「その時、ハートは盗まれた」の高校生、「あすなろ白書」の大学生、「フードファイト」の九官鳥(声のみの出演)を除くと、演じた職業は23業種となる。また「空から降る一億の星」が見習いとはいえコック役を演じている。「東京グランメゾン」のシェフと同じであり、合計数は23業種のままだ。

 そこで先ほどのSMAPファンの女性に「はまり役ベスト3」と「ミスキャスト・ワースト3」を選んでもらった。それでは「ミスキャスト」からご紹介しよう。

◆ワースト3位「人生は上々だ」(最高視聴率:23・1%)無職・大上一馬

 境遇で意外性を狙った役ですね。ウィキペディアには、「定職に就かずギャンブルに明け暮れ借金に追われる若者。元は成績優秀な医大生だったが、自分の心無い発言で恋人(れい子)を自殺させてしまった罪悪感から、医者の道を諦めている」と書かれています。

 スターであるキムタクがやりそうもない役を演じてもらうことで、話題性を高めようとしたのでしょう。

 でも率直に言って、木村くんは器用な役者ではありません。あまり奇をてらった役だと、パターン演技が目立ってしまいます。私たちファンにとっても、あまり楽しめない作品になってしまいました。

◆ワースト2位「ギフト」(瞬間最高視聴率:23・0%)届け屋・早坂由紀夫

 これも3位の「人生は上々だ」と理由は同じです。「記憶喪失の届け屋」という難しい役でした。制作陣の「ありきたりのキムタクドラマは作らない」という強い意思が伝わってきます。

 女性より男性の視聴者を念頭に置いた、ストーリーと演出だったと記憶しています。バタフライナイフがドラマに登場し、放映中に殺人事件が発生するという不幸な経緯もありました。しかし大好きな作品だという方も、もちろんたくさんいらっしゃるのでしょう。

 ただ、SMAPファンにとっての「意外な役」といえば、例えば映画「十三人の刺客」[2010年:三池崇史監督(59):東宝]で、(稲垣)吾郎ちゃん(45)が演じた松平左兵衛督斉韶という飛びきりのものがあります。

 桁外れの悪役。私たちファンの度肝を抜いただけでなく、日刊スポーツ映画大賞や毎日映画コンクールで助演男優賞を獲るなど、大変な評価を受けました。

 でも、この映画は「吾郎ちゃんに変わった役をやらせよう」と考えてキャスティングしたわけではないと思います。彼の演技力を信じて、重要な役を任せたのでしょう。

 木村くんの「奇をてらった役」が失敗するのは、順番が逆だからではないでしょうか。変わった役を演じてもらうことが最優先で、肝心要である配役の必然性が二の次になってしまうところがあると思います。

◆ワースト1位「華麗なる一族」(最高視聴率:30・4%)鉄鋼会社専務・万俵鉄平

 ファンの間では、「木村くんが演出に納得できなかったドラマ」として有名です。実際、ラストシーンを巡って、演出担当と相当な議論をしたという報道は当時、話題になりました。

 木村くんが納得していない演技ですから、ファンも感動できるはずもありません。しかも山崎豊子さん(1924〜2013)の原作は、木村くんのお父さん役・万俵大介が主役です。ドラマでは北大路欣也さん(76)が演じました。

 私たちSMAPファンも、むしろ原作通りの配役で見たかったという想いがあります。北大路さんが主役で、脇役が木村くんのほうがよかったのではないでしょうか。


■ベスト3は、こんな顔ぶれ


◇ベスト第3位「CHANGE」(最高視聴率:27・4%)総理大臣・朝倉啓太

 数あるキムタクドラマの中でも、最もリアリティの低い役でしょう。「35歳で憲政史上最年少の内閣総理大臣に就任した」元小学校教師。現実のモデルも存在するはずがありません。

 そんな滅茶苦茶な役だからこそ、木村くんとの相性は良かったと思います。実際、木村くんが政治家に転身すれば、首相になるのは間違いない(笑)。一本調子のキムタク演技が、首相という役柄に不思議な説得力を与えました。キムタクドラマ史上、最も愛すべきキャラクターだと思います。

◇ベスト第2位「ロングバケーション」(最高視聴率:36・7%)ピアニスト・瀬名秀俊

 もし何かの機会があったら、ぜひ見返してください。今でも素晴らしいドラマだと再認識され、驚かれると思います。本当に昔のテレビドラマはレベルが高かったんですね。

 どうして木村くんが日本屈指のスターになったのか、その理由もこのドラマが説明してくれます。素晴らしい脚本と演出で、木村くんが光り輝いています。

 役どころは、意外に大胆です。一般的にはピアニストと書かれます。それは事実ですが、華麗な要素は全くありません。大学院入試に失敗し、ピアノ塾の講師で生計を立てている。そんな境遇に、誰よりも自分が納得していない。そんな役です。

 陽の当たらない場所で、くすぶっている。鬱屈とした感情を内面で抱えていますが、表面はクール。毎日を全力で、真っ正直に生きます。“バブリーな月9ドラマ”と誤解している人も多いと思いますが、実は大人のほうが楽しめるドラマです。

 そもそもSMAPの魅力って、「努力は報われる」というメッセージ性だと思うんです。彼らの歌やダンスは最初から上手かったわけではない。文字通り猛練習で成長しました。魅力が花開いたコントやMCの才能も、最初から持っていたわけではない。スタッフさんたちと一致団結して何度もリハーサルを重ねて、生み出したものでしょう。

 瀬名秀俊にも、そういう真面目さやストイックさがあります。SMAP精神を体現しているキャラクターだと思います。だからこそ、私たちをいつまでも感動させてくれるんです。

◇ベスト第1位「Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜」(最高視聴率:41・3%)美容師・沖島柊二

 はまり役と言えば、これ以上のものはないでしょう。“カッコいいキムタク”の最高傑作だと思います。もうひたすらにカッコいい。あの頃の木村くんに、美容師という職業はぴったりでしょう。職業の選択が完璧でした。

 ただ、単にカッコいいだけの主人公ではないことは、特筆すべきことだと思います。男性の持つ性欲みたいなものも、しっかりと描かれている。リアリティも充分で、現実にいそうだけど、やっぱり存在するはずもないイケメン。そのバランスが抜群ですね。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月6日 掲載

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