「時効警察」が復活に12年もかかったワケ 新シリーズの見所を制作責任者が全部語る

 オダギリジョー(43)と麻生久美子(41)のコンビで大人気を呼んだ、コメディーミステリー「時効警察」(テレビ朝日)が帰ってくる。なんと12年ぶりに……。

 10月11日にスタートする、第3シリーズ「時効警察はじめました」。しかし、この12年の間に、現実社会では重大犯罪の時効は廃止された。ならば、時効になった事件を捜査する時効警察はどうなるのか、復活までになぜこんなに時間がかかったのか、最初のシリーズから番組に携わってきた、横地郁英ゼネラルプロデューサーに話を聞いた。

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――9月29日には「時効警察・復活スペシャル」として2時間ドラマが放送された。そもそも第1シリーズの「時効警察」(2006年)も第2シリーズの「帰ってきた時効警察」(07年)も、放送された時間帯は深夜の「金曜ナイトドラマ」枠(23時15分〜)だった。第3シリーズも同じ枠だが、なぜ突然、2時間スペシャル?

横地:当初は、新シリーズの第1話として作り始めたんですよ。まず、脚本・監督の三木聡さん(58)が、武田真治さん(46)が演じた“美魔王”というアイデアを持っていたところからプロットが作られました。ところが、とんでもなく長かった。面白いんですけど、とても1時間に収まりそうにない。そこで編成に相談して、2時間の枠になったというわけです。

――12年ぶりの復活とあって、前シリーズを知っている視聴者は少なかったのでは?

横地:意外にもF1層(20〜34歳の女性)が多かったんです。以前のシリーズでは、F1、F2(35〜49歳の女性)、M2(35〜49歳の男性)のドラマ好きの方が多かったんですけど、前作を知らないはずの世代にも見てもらえたようです。

■出演陣も復活を望んだ


――「時効警察」は、すでに時効が成立した事件を、改めて捜査する警察ドラマだ。もっとも、総武警察署・時効管理課の霧山(オダギリ)と交通課の三日月(麻生)コンビは、あくまで“趣味”として事件を追う。犯人にたどり着いたところで、“この件は誰にも言いません。”と書いたカードを手渡して一件落着となる。謎解きはもちろんだが、そこにたどり着くまでに連発されるパロディーなどの小ネタ、背景に映り込むシャレの効いた小道具がドラマ好きにウケた。今回のスペシャル版でも、その味は存分に発揮され、SNSにも〈時効警察あいかわらずでなによりでした〉、〈放送時間の7割無駄な展開で占められてるところにキュンとしちゃう〉といった満足の声が多かった。出演陣の見た目も雰囲気も変わらないことに驚いた声も少なくなかった。

横地:そうですか。そう思ってもらえるのは嬉しいです。今回、初日は、時効管理課のセットでのリハーサルでした。三木さんはリハーサルでも実際の衣装を着て行うのですが、リハをやってみると最初はちょっと違和感がありました。さすがに、12年も経つと、かつてのキャラクターと少しずれている方もいました。でも三木さんの演出を受けて、2、3回演じているうちに、皆さんすぐ元に戻りましたね。

――なぜ復活に12年も経ってしまったのか。

横地:実は、これまでも復活の話はありました。テレ朝開局55周年の時にもトライはしましたが、うまくいきませんでした。今年はちょうど開局60周年で、それに合わせて再チャレンジしてみようと。今回、調整を始めたのは約2年前。オダギリさん、麻生さん、三木さんも復活には賛成してくれて、皆さんそれぞれが、「みんなが揃うのであれば」と。ちょうどこの時期ならスケジュールも合い、ようやく実現できたんです。

――そもそも、オダギリが映画で組んだ三木監督と連ドラを作りたい、ということでスタートしたドラマと聞く。

横地:そうですね。それで三木さんと企画を作り始めたのが2004年から2005年くらいです。何か新しいミステリードラマができないかと、いろんな案を話す中、時効前ギリギリに解決するドラマはあっても、時効後に捜査するドラマはないよなあ、といった話から始まったんです。いまではコメディエンヌとしても評価が高い麻生さんは、当時は連ドラもコメディーもやったことがありませんでした。確かオダギリさんが、「麻生さんがいいのでは」と言い出した。当時、透明感ある映画女優というイメージがありましたが、実際にお会いしてみると、意外にもくだけたキャラで、明るい。三日月のキャラクターには麻生さんの素顔が少し反映されています。

――ナレーションが歌手の由紀さおり(70)というのも意外だった。

横地:三木さんが書いたオープニングナレーションが「よろしくお願いします」で終わっていることもあり、三木さんから「女性で丁寧な口調で話せる人」という希望で、由紀さんに。今回ももちろん、担当していただいています。由紀さんもこのドラマに愛着があり楽しみにされていたようでした。今回は、SNS(Twitter)で「時報警察」という遊びもやってるんですが、そのナレーションもやっていただきました。出演者の皆さん、このドラマを愛してくださっているようで、二つ返事で受けていただきました。サネイエを演じる江口のりこさん(39)も、まだ復活が本決まりでない頃、たまたま会った際、「やるかもよ」と言ったら、「ホンマですか!」って嬉しそうでした。

――だが、復活にはハードルもあった。現実社会では、2010年の刑事訴訟法改正により重大事件の時効が廃止されたからだ。

横地:そうなんです。でも「時効警察」ですから、時効になっていない事件を扱うわけにはいかない。以前は時効になった直後の事件を捜査したのですが、今回は時効の廃止以前に時効になった古い事件を扱うということにしました。

――総武署の廊下として使用されていた、築地市場の水産物部事務棟も取り壊された。

横地:そうなんです。ま、総武署は改装したということで……。


■新シリーズの新味とは


――前シリーズでは、三木監督の他、園子温監督(57)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(56)、オダギリ、時効管理課課長役の岩松了(67)らも脚本・監督を務めた。今回はどうなるのか。

横地:今回も様々な方にお願いしています。映画「銀魂」シリーズの福田雄一監督(51)は、時効警察フリークで、脚本を書いてもらっています。監督もやりたがってらしたんですが、どうしてもスケジュールが合わず。「勝手にふるえてろ」の大九明子監督(50)、恋愛映画の旗手・今泉力哉監督(38)、ソフトバンクの白戸家CMなどの森ガキ侑大監督(36)も加わってもらいました。やはり旧作のイメージを残しつつも、新しいものを作りたいですからね。

――12年ぶりの再開で、大きく変わる点は?

横地:テレビの置かれた状況が変わりました。前作の頃は、タイムシフト視聴率もなかったし、見逃し配信なんてなかったですから、当時は放送時間にテレビの前で見てもらえました。それが今では、ネット配信も当たり前で、配信ドラマもたくさんある。今回は「時効警察とくべつへん」として、鑑識課・又来康知(磯村勇斗[27]:主演)と刑事課・彩雲真空(吉岡里帆[26]:主演)の特別ドラマを、AbemaTVとビデオパスで配信します。どちらも、力が入っています!

――前作のヒットで周りの対応も変わったという。

横地:以前はゲストに出演交渉のため所属事務所に台本を渡しても、「読みましたけど、なんですか!? この台本」と剣もほろろに断られることもあった。でも、今回は、「何でもいいから出たい」と大物の役者さんからお声がけいただけるようになりました。メインでなく、出ていただいた方もいらっしゃいます。

――前作はアドリブ満載に見えたが。

横地:時効警察はアドリブ満載のように見えるかもしれませんが、実は三木監督の回は、アドリブが一切ありません。三木さん以外の作品はアドリブありですが、出演者が考え抜いたアイデアとしてのアドリブだったりします。どのセリフが台本にはないアドリブか想像しながら見ていただくのも面白いかもしれません。

――撮影に使われる小道具も気になるが。

横地:そうですね。光石研さん(57)が見せる趣味の写真は、スペシャルの時は「パチンコみなみ」の“パ”が消えている物でしたが、あれは三木さんが実際に見つけてきた構図。第3シリーズの第1話には、「ライオンに見える写真」が出てきます。これは三木さんの私物。謎解きに絡んできたりするので、どこでどう使われるか、よく見ていただければ。

――第1話のゲストは小雪(42)である。
10月11日(金)よる11時15分(※一部地域を除く)

週刊新潮WEB取材班

2019年10月11日 掲載

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