EXIT「兼近大樹」がTBSで犯罪歴を都合よく語る“矛盾” 今後の活動に悪影響?

EXIT「兼近大樹」がTBSで犯罪歴を都合よく語る“矛盾” 今後の活動に悪影響?

りんたろー。と兼近大樹

■文春はNG、TBSはOK!?


 10月2日、朝刊ラテ欄に「爆報!THEフライデー」(TBS系列・金曜・19:00)の番組内容が記載された。冒頭部分を引用させていただく。

 ***

《緊急!! 芸人EXITが沈黙を破り…全て激白 暴かれた過去の逮捕歴 夜の世界での転落生活 母の前で逮捕…全真相》
(註:読みやすくするため、全角スペースを補った。以下の引用では、デイリー新潮の表記法に合わせた)

 EXITは2017年に結成。ツッコミ担当のりんたろー。(33)と、ボケ担当の兼近大樹(28)という2人組だ。

 芸風は「パリピ口調のチャラ男によるしゃべくり漫才」、「ネオ渋谷系チャラ漫才師」などと解説される。フジテレビの「ネタパレ」(金曜・23:40)がYouTubeにアップした「引っ越し」というネタは、以下のようなやり取りで始まる。

りんたろー。:あのさ、そろそろ引っ越しでもぶっかまそうかなと思っている今日この頃の俺でぇ。

兼近大樹:まじっすかぁ。じゃあカネチがチャラ物件でもご紹介します?

りんたろー。:マジで!? 駅地下の物件とかあんの?

兼近大樹:駅近っつうか、海近でいい?

りんたろー。:海近!? アガるんだけど(笑)。

兼近大樹:海まで徒歩2秒。

りんたろー。:物件で秒って初めて聞いたんだけど(笑)。

 服装も口調もチャラいところが肝だ。「お後がよろしいようで」は「お後がHere we go」となり、「バイブス、いと上がりけり」と並んで流行語になる兆しも見えていた。

 だが、何と言っても兼近大樹に注目が集まったのは、「チャラいけど実は真面目な男」というキャラクターが視聴者の爆笑を誘ったからだ。

 デイリー新潮は7月21日、「今年の上半期は“芸人発の流行語ゼロ”の異常事態 今後は『EXIT』の活躍に期待!?」との記事を掲載した。バラエティ番組に携わるスタッフの指摘を引用させていただく。

《2人がチャラ男に扮してボケとツッコミを繰り広げる漫才もいいのですが、もっと面白いのがフリートークです。『ゴッドタン』(テレビ東京系列・日曜1:45〜2:10)では、相方の不祥事で苦しんだ経験から、チャラい見かけとは正反対の『コンプライアンス遵守』を掲げたり、兼近のアルバイトがベビーシッターで、その真面目な仕事ぶりが高く評価されていることを告白。劇団ひとり(42)や、おぎやはぎの小木博明(47)や矢作兼(47)を爆笑させていました》(註:年齢は記事の公開時)

 いよいよ本格的なブレイクかと思われていた矢先、「週刊文春」9月12日号が、「吉本ブレイク芸人『EXIT』がひた隠す少女売春あっせんで逮捕の過去『吉本から誰にも言うなと…』」を掲載した。この記事で兼近が2011年11月、北海道警厚別署に売春防止法違反容疑で逮捕されていたことが報じられたのだ。

 札幌市の高校3年生の女子生徒(当時19歳)が携帯電話の出会い系サイトを通じて知りあった男性と市内で“いかがわしい行為”などを行い、現金1万5000円を受け取らせた――これが直接の逮捕容疑だったという。

 記者が兼近を取材して「逮捕されたことがある?」と質問すると、兼近は「はいはい。そうです。簡易裁判で、罰金刑10万円で出てきました」と認めた。

 さらに記事は、兼近が窃盗事件で逮捕された事実も報じた。読売新聞が12年8月3日に報じた「盗んだ金庫の金 店開業や外車に 容疑グループ供述=北海道」の記事をご覧いただこう。

《札幌市中央区のマンション一室から現金約1000万円入りの金庫を盗んだとして、北海道警は2日、男4人を窃盗容疑などで逮捕したと発表した。現金の一部を高級外車の購入費や飲食店の開業資金に充てていたと供述しており、道警が裏付け捜査を進める。

 逮捕されたのは、札幌市A(註:原文は住所の一部や、肩書、本名、名前が記載)や同市豊平区中の島1の1、飲食店従業員兼近大樹容疑者(21)ら。発表では、4人は4月22日未明、同市中央区の元ホストクラブ従業員の男性(25)方に侵入し、現金約1000万円入りの耐火金庫(約30センチ四方)やブランド時計など計300万円相当を盗んだ疑い。

 道警の調べに、A容疑者らは、男性宅に多額の現金が保管されていると知人から聞き出し、4人で見張り役などの役割を分担して住民を装い、業者を呼んで解錠させたと供述しているという》

 間違いなく「逮捕」と書かれている。だが文春の取材に対し、兼近は窃盗事件の逮捕については繰り返し否定した。「逮捕はされていないです。事情聴取はされました。従業員全員、事情聴取で持って行かれて」という反論が掲載されている。

 兼近の主張が事実であれば、北海道警は虚偽の広報を行い、それを元に読売新聞が誤報を行ったことになる。兼近の名誉を著しく傷つける重大問題だ。法的措置を講じても、全く不思議はない。

 だが、兼近が北海道警や読売新聞に抗議した形跡はない。率直に言って、彼の「逮捕されていない」という主張には説得力がないと思われても仕方あるまい。


■イメージダウンの可能性も?


 その1点を除けば、兼近は取材に対して丁寧に、冷静に回答したようだ。記事には以下のようなコメントも記載された。

「正直、いつか絶対バレることなんで、吉本にはずっと話していて。絶対に誰かが気付くんで。それが今、文春さんが知ってくれたっていうことで正直嬉しかったです」

「過去と他人は変えられないんで。未来と自分だけ変えていくんで。ヒュイゴー(Here we go)しましょう、未来に!」

 兼近のコメントで“オチ”が付いたのかと思いきや、記事が出ると所属事務所の吉本興業は強硬な態度を示した。スポーツ報知が9月6日に報じた「『EXIT』の兼近大樹が売春斡旋容疑での逮捕歴を認め謝罪」からご覧いただく。

《所属する吉本興業は同日、公式HPで見解を公表。デビュー前の事件で前科を報道する公益性がないこと、未成年時の前科であること、一部報道に事実でないことがあることから「大変遺憾に考えており、強く抗議するとともに、民事・刑事上の法的処置についても検討して参る所存です」としている。

 一方、「週刊文春」も公式サイトで兼近が当時未成年だったとする主張に反論したうえで「兼近さんが取材に対して、『やっと話せる』『すべてをさらけ出してほしい』と説明されたことを踏まえて、記事を掲載しました。記事は逮捕の過去によって現在の兼近さんを否定するものではありません」などとした》

 こういう経緯を経て、10月2日に「爆報!THEフライデー」が放送された。基本は文春の報道をなぞったものだったが、いきなり2度目の逮捕が「事実」に変わっていた。これが関係者の注目を集めている。

 サンスポ(電子版)が10月4日に報じた「EXIT兼近、2度の逮捕を激白『過去で人を裏切った』 自伝小説も執筆中」は以下のように伝えた。

《札幌で起きた1000万円の窃盗事件への関与を疑われて再び逮捕されていたことも明かされた。母・照美さんの目の前で逮捕されたといい、番組の取材に応じた照美さんは「思い出してもあれなんだけど、玄関で…この子逃げないから手錠はかけないでくれって(言った)。あのときの出来事が一番つらい」と涙ながらに語った。この事件では、10日間勾留された末に不起訴処分で釈放された》

 兼近は文春の取材に「ないっすね。逮捕はされてないです」と断言したのは先に見たとおりだ。それを母が涙ながらに語った、と美談仕立てで報じられても、やはり違和感は拭えないだろう。

民放キー局でバラエティ番組を制作するスタッフは、「率直に言って、大失敗だと思いました」と手厳しい。

「大前提として兼近さんの前科は過去の話であり、償いも済み、更生を果たしたわけでしょう。だからこそ吉本興業は、文春に抗議したはずです。“忘れられる権利”は錦の御旗で、誰も反論できません。しかし今回、吉本興業はTBSの人気番組が取り上げてくれたことを喜んだのか、前科を全面的に伝える番組制作に協力しました。文春に対する『大変に遺憾』という抗議は何だったのでしょうか。窃盗容疑による逮捕を、しれっと認めたことも含め、都合がよすぎますよね」

 東スポ(電子版)も10月5日、「EXIT兼近の逮捕歴の真相全告白に違和感『ドラマ仕立て』『美談にするな』の声も」と報じた。記事中の厳しい指摘をご覧いただこう。

◇窃盗容疑について、番組では「関与が疑われた」とだけ伝え、本人の説明はなく、“沈黙を破り全て激白”とは程遠い内容。

◇兼近がコメントするたびに「え〜」と驚嘆する“効果音”付きの再現VTRには「やりすぎ、演出しすぎ」の感が否めない。最後の母からのメッセージにいたっては「ドラマにするのか」「美談にするのはどうか」と厳しい声も寄せられた。

「文春に抗議した時点で、騒動は鎮静化したはずなのです。それにもかかわらず、吉本興業は『寝た子を起こして』しまいました。さらに番組は、兼近さんが犯罪に手を染めてしまった理由や背景、事件の詳細など、掘り下げなければならない点をぼかしていました。一方で、美談にしよう、視聴者の同情を買おうという演出意図は過剰で、反感を覚えた視聴者もいたのではないでしょうか。東スポさんの報道は、決して大げさなものではないと思います」(同・番組制作関係者)

 この関係者は「EXITや吉本興業は、選択ミスを犯したと言われても仕方がないでしょう」と指摘する。

「『爆報!THE フライデー』は2011年から放送されている長寿番組です。爆笑問題の2人がMCを務めている安定感もあります。しかし結論から言うと、あの番組内容だったら、記者会見を行ったほうが良かったですね。EXITの2人の言葉で、報道陣に語りかけたほうが、好感度アップにつながったのは間違いありません。それが番組のせいで、EXITの魅力であるチャラ男のキャラクターにさえ悪影響が出てもおかしくない状況です」

 その兼近は10月4日、Twitterを更新し、「自伝的小説」を上梓することを明かした。やはりこの問題についても、SNS上では賛否両論が渦巻いている。

 いつの間にか兼近が炎上芸人に近いポジションになってしまっている。EXITが披露する普通の漫才やトークをテレビで素直に楽しめる日は、来るのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月14日 掲載

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