松岡茉優に土屋太鳳……「ゆとり世代」女優たちが鼻につくワケ

「これだからゆとりは」。いま20代半ばから30代前半の世代は、そう言われて年上の世代から疎まれてきたことも多いのではないか。芸能人も例外ではないというべきか、松岡茉優に土屋太鳳など、ここのところ嫌われるタレントの名前に上がるのもその世代が多い。

 松岡と土屋はともに1995年2月生まれ。小学校1年生から中学校3年生まで通年でゆとり教育を受けた、いわばど真ん中のゆとり世代だ。

 マナーがなっていない、すぐ損得勘定で考える、飽きっぽく打たれ弱い……仕事においてそう評されがちな、マイペースで効率主義の「ゆとり世代」たち。といっても新人はいつ生まれたにせよ、年長者に小言を言われるのが常である。ゆとり世代に限ったことではないはずだが、どうも槍玉にあげられがちな不運な世代とも言える。

 松岡も最近では、生意気、可愛げがない、バラエティをわかってる感が鼻につく……と、散々な言われようだ。ちょっと前まで好感度の高い若手女優だった気がするが、ここへ来て突然の逆風が吹いているようにも思える。

 嫌われているのは世代のせいじゃない、彼女の性格によるものだ、という声もあるだろう。ただ松岡に限らず土屋や同世代の人気タレントたちを見る限り、この世代ならではの苦悩もあるのでは、と勝手に深読みしてしまう。それは、「バラエティ受け」を徹底して叩き込まれてきた世代だということである。

■芸能界のゆとり世代は、バラエティのスパルタ教育世代? ブレイクを左右する本業以外のプレッシャー


 松岡や土屋と同学年のタレントといえば、川栄李奈や広瀬アリス、朝日奈央、ぺこ&りゅうちぇる夫妻がいる。思えば、彼ら彼女たちを一躍スターにしたのは、本業よりもバラエティではなかったか。モデルやアイドルとして活躍はしていたものの、名前が全国区になったのは、バラエティでの振る舞いが面白かったから、というメンツが多いのである。おバカキャラの川栄やりゅうちぇる、NG無しでバラエティに挑む朝日。広瀬アリスも、どちらかといえば妹・すずの人気が先行していたものの、オタクぶりが買われてブレイクした印象が強い。他にもももいろクローバーZの百田夏菜子に元乃木坂46の生駒里奈といった、そうそうたるアイドルたちも同学年だ。でも彼女たちが人気を博したのは努力家というだけでなく、バラエティ映えする“愛嬌”も大きかったようにも思うのである。

 そう、「バラエティをわかっている」ことは、ゆとり世代のタレントたちの必須科目ではなかったか。年齢は前後するが93年生まれのグラビアアイドル・小島瑠璃子がのし上がったのも、バラエティでの振る舞いが秀でていたからだ。女優としてすでに様々な賞を受賞していた94年生まれの二階堂ふみだって、「全国区で名前を売りたいから」と「ぐるナイ」の「ゴチになります!」メンバーになったほどである。そして冒頭に挙げた土屋も、やはり現役の「ゴチ」メンバーだ。今年の夏、最下位になって「お金がない」と涙を流して批判を浴びたのも、もはや伝統芸の域にすら思える。

 松岡もフジテレビ系「ENGEIグランドスラム」ではアシスタントを務め、お笑いやバラエティに対する自負は強いと見える。広瀬アリスがトーク番組の司会やバラエティでも活躍していることに対し、「若手女優バラエティ枠って私じゃないの?」との発言もあった。しゃべりの力量は確かに、あの伊集院光も認めたほどだという。

 本業で頑張るだけでなく、親しみある振る舞いと、空気が読める嗅覚。それが当たり前のように求められるようになったゆとり世代の女性タレントたち。ゆとりどころか、バラエティのスパルタ教育に放り込まれた哀しき運命を背負ってきたともいえないだろうか。裏返せばバラエティ感覚がわかるということは、空気が読めるということでもあり、繊細さがなければつとまらない。松岡だって「ゆとりですがなにか?」と言わんばかりの「生意気」な顔の陰には、デリケートな感受性も持ち合わせていることだろう。

 実は優秀、とも評されるゆとり世代。本業だけでなく、バラエティでも活躍する94〜95年生まれタレントたちも、正に高い能力の持ち主だらけだ。ツッコみたがって煙たがられる松岡、ボケっぷりがあざといと言われる土屋。彼女たちの炎上力は、バラエティ教育の高さでもあり、弊害とも言えるのかもしれない。これまた95年2月生まれの川口春奈も、一昨年あたりからブルゾンちえみのモノマネをしたり、「笑ってはいけない」に出たりと体を張り始めた。ここにもバラエティ詰め込み教育の犠牲者が……と、個人的には彼女の行く末にもハラハラしている。

(冨士海ネコ)

2019年10月22日 掲載

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