「沢尻エリカ復帰の可能性」を口にするのは本人のためになるのか

 MDMAの所持で逮捕された沢尻エリカについては、供述内容とされる情報が連日伝えられるだけではなく、その評価についても様々な議論が繰り広げられている。代表的なものは11月17日の「サンデージャポン」(TBS系)におけるテリー伊藤氏と杉村太蔵氏の口論だろう。

 簡単に言えば、「いずれ復帰しますよ」と早々に「復帰」の可能性を口にするテリー氏に対して、「この時点でそれを言いますか」と杉村氏がヒートアップした、という構図だ。番組内では司会の太田光も芸能界復帰の可能性を口にしていたものの、ネット上ではむしろ杉村氏のほうに支持が集まっていたようだ。

 同じ業界にいると、沢尻の才能や魅力を評価したくなるのかもしれないが、彼女のことを親身になって考えた場合、果たして軽々しく復帰待望論を語ることが良いのかは疑問である。

 これまでの先例から考えて、おそらくそう遠くない時期に、彼女は「反省」と「謝罪」のコメントを発表するだろう。

 薬物事犯で逮捕された多くの芸能人が、何らかの形でそうしたコメントを発表し、しばらく謹慎し、そのうちテレビ以外のところから復帰してくる。これはいつもの流れである。

 実際に、彼らは何らかの反省はしているのかもしれないし、関係者に謝りたいという気持ちも持っているのかもしれない。

 だが、安易な反省は逆効果になりかねない――数多くの犯罪者の更生に尽力してきた岡本茂樹氏は、著書『反省させると犯罪者になります』の中で、そう主張している。

 どういうことか。以下、同書をもとに見てみよう(以下、引用はすべて『反省させると犯罪者になります』から)。

「悪いことをして、何度も反省させられて、最後に犯罪を起こしてしまう者の『代表者』が、刑務所に収容されている受刑者です。受刑者は、幼いときから周囲の者に何度も叱られ、反省を繰り返しています。それでも、また悪いことをするのです。それがエスカレートした結果が犯罪です。問題行動を起こしたとき『すみませんでした』『二度とやりません』などと涙を流して固く誓っておきながら、同じ過ちを繰り返し、最後に犯罪を起こすのです」

 つまり、長年受刑者と接してきた経験から岡本氏は、更生のためには「反省させてはいけない」という結論に至ったということだ。

 犯罪者に必要なのは、来歴を振り返って、自分が犯罪を起こすに至った問題に自ら気づくことである。本当の反省は、その後にしかやってこない。岡本氏は、受刑者たちとの面接などを繰り返すことで、彼ら自身に真の問題に気づかせ、結果として反省に導いてきた。つまり心からの反省は、強制させられてできるものではないし、簡単なものではないのだ。

 だから反省文を書かせることも要注意だ、と岡本氏は指摘する。たとえば万引きをした女子高生に反省文を書かせたとする。

 そこにはもっともらしい言葉が並ぶことだろう。

「大変恥ずかしいことをしました」「謝って許されることではありません」「自分がいかに甘くて駄目な人間かわかりました」「多くの人にご迷惑をおかけしました。お店の方、両親、先生方に申し訳ない気持ちでいっぱいです」「本当に申し訳ありませんでした」等々。

 こういう反省文は、読む側の受けは良い。「この子は反省している。立派な反省文だ」と受け止めるのだ。

 しかし、岡本氏は経験上、実際の受刑者の感想は異なるのだという。この手の模範的な作文を読んだ彼らの多くは「早く謹慎を解いてもらうために書いたウソの文章。上辺だけだ」と受け止めるのだという。

 繰り返すが、反省そのものは大切な行為である。しかし、その前のステップを抜きにしては上辺だけの反省になってしまう危険がある。女子高生の例でいえば、なぜ万引きをしたのか、徹底した自己分析が抜けているのだ。

「反省させるだけだと、なぜ自分が問題を起こしたのかを考えることになりません。言い換えれば、反省は、自分の内面と向き合う機会(チャンス)を奪っているのです。問題を起こすに至るには、必ずその人なりの『理由』があります。その理由にじっくり耳を傾けることによって、その人は次第に自分の内面の問題に気づくことになるのです」

 自身が持つ心の問題、抱えている闇を直視させる。そのうえでの反省でなければ意味がなく、同じ過ちを繰り返しかねない、と岡本氏は説く。

 そして、そうした作業は決して数日でできるものではない。そんな人はそもそも犯罪をおかさない。仮に沢尻が薬物に溺れた原因が、芸能界の仕事との相性に関係があるとすれば、復帰どころか足を洗うほうが本人にとってプラスということだってある。

 安易に「更生」「復帰」を口にする人たちは、実は再犯の可能性を高めている可能性があることは、知っておくべきだろう。

デイリー新潮編集部

2019年11月22日 掲載

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