闇営業、薬物芸能人……危ない時事ネタで攻めまくるナイツ“地雷漫才”の評価

闇営業、薬物芸能人……危ない時事ネタで攻めまくるナイツ“地雷漫才”の評価

ナイツの2人

■昔は爆笑問題の独壇場


 時事ネタを得意にする漫才師といえば、どんなコンビ名が浮かぶだろうか。ツイッターで検索すると、爆笑問題、ナイツ、そして批判的な文脈も含めてウーマンラッシュアワーといった面々が表示される。

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 だが、最も完成度の高い時事ネタの漫才を披露したコンビとなると、ナイツという声が多いようだ。民放キー局でバラエティ番組の制作に携わる関係者が言う。

「もともとナイツは時事ネタの漫才を得意にしていますが、年末年始は各局のネタ番組で、『吉本の闇営業問題』と『薬物タレント』という、オンエアが難しいはずの漫才を披露していました。この手の危ないネタは、かつてなら爆笑問題さんの独壇場でした。売れっ子の2人が羽目を外してライブで暴走、それをファンが喜んでいたわけです。爆問さんの凄いところはテレビ用にソフトバージョンも用意、オンエアできるギリギリを狙ってくるところでした。まさに爆問だから許され、爆問だからこそ笑いを取れていたのです」

 一方のナイツが年末年始に披露した漫才は、「本当は危ないネタのはずなのに、しっかりと漫才のフォーマットに落とし込まれている」ものだったという。

「感心したのは薬物タレントというネタが堂々とオンエアされ、普通に視聴者が笑っていたことです。闇営業問題なら吉本の芸人さんも笑いに変えていました。しかし舞台ならいざ知らず、全国ネットの地上波で薬物ネタが流れたというのは驚くべきことだと思います。爆問さんは危ない発言を行うことで笑いを取りますが、ナイツの2人は時事ネタをイジる感度が高いんですね。地雷ネタであるはずなのに、普通に面白いネタに変えてしまうんです」(同・関係者)

 ナイツは、ボケの塙宣之(41)と、ツッコミの土屋伸之(41)の2人組。共に創価大学に進み、落語研究会に入って出遭った。4年生の時にコンビを結成し、漫才師としては内海桂子・好江の内海桂子(97)に弟子入りした。このエピソードも、今やすっかり人口に膾炙している。

 ブレイクのきっかけとなったのは2008年の「M−1グランプリ」(朝日放送テレビ制作:テレビ朝日系列)。最終決戦に進んで大きな注目を集めた。ちなみに結果は優勝がNON STYLE、2位がオードリー、そして3位がナイツという順位だった。

 そのナイツの「薬物ネタ」だが、期せずして爆笑問題と“対決”が実現した番組がある。昨年12月8日にフジテレビ系列で放送された「THE MANZAI 2019」だ。放送開始は午後7時からで、完全なゴールデンタイム。コンプライアンスの要求レベルは最も高いと言えるだろう。

 ところがナイツと爆笑問題の2組は、MDMAの所持などで逮捕された沢尻エリカ被告(33)の名前を出して笑いを取りにいく。ここで比較を行ってみよう。最初はナイツからだ。


■ナイツの漫才をご紹介


塙:やっぱりショックだったのが、あの人の逮捕かな、僕は一番、今年。

土屋:あの人の逮捕とか、そんな話していいの?

塙:ちょっと「ピー」入れますからね。

土屋:「ピー」入れてくださいよ、本当に。

塙:ピーエル瀧さんが捕まった。

土屋:意味ねえだろ。全部、言っちゃってるよ。

塙:絶対「ピー」ですから。

土屋:どこに「ピー」入れてるんだよ。

塙:絶対「ピー」ですから。

土屋:1つも意味がない。

塙:シラフの声をやってたんでしょ。

土屋:オラフだよ、あれは。シラフって言ったら別の意味が出てくるでしょ、なんか。

塙:今、2(ツー)やってますけど、「粉と紙の常用」っていうね。

土屋:全然違うから。1個も合ってないのよ。何て言った?

塙:「粉と紙の常用」

土屋:どんな映画? どんなストーリー、それ?

塙:♪少しも眠くないわ(薬の影響で目が見開いたマネをしながら歌う)。

土屋:やってんじゃねーかよ。めちゃくちゃやってんじゃねーかよ。全然シラフじゃねーじゃねーか。

塙:そのアナのお姉さまがエリカさまって言う。

土屋:エルサ。入れてくるな新人を!

塙:NHKの「大麻」どうなるんですかね?

土屋:大河! 大麻ドラマやったら終わりだよ。

塙:「麻取が来る」っていうドラマね。

土屋:全然違うよ。「麒麟がくる」だよ、もう全然違うだろ。


■爆笑問題の漫才は?


 一方の爆笑問題だが、こちらが太田光(54)と田中裕二(55)のコンビなのは、あまりにも有名だ。日本大学藝術学部演劇学科の在学中に出会い、中退後の1988年にコンビが結成された。

田中:スポーツも流行語が色々ありました。

太田:ありましたね。

田中:女子プロゴルファーの渋野日向子さん。

太田:これは明るいニュースでよかったよね。

田中:「スマイリングシンデレラ」なんて言われてね、「しぶこ」ってのも(流行語大賞のランキングに)入りました。

太田:そうそう。あと沢尻エリカの「シャブ子」って……。

田中:やめなさい、やめなさいよ、そういうこと言うんじゃない、(ランキングに)入っていないから、本当に。

太田:「失言シンデレラ」。

田中:「失言シンデレラ」じゃない、言われてない、そんなこと!

太田:「笑わない女」。

田中:「笑わない男」だよ、入ったのは。

太田:あれも凄かったね。

田中:まあしかしね、沢尻さんの逮捕、皆さんびっくりしたでしょ。あの人の持っていた麻薬っていうのが合成麻薬っていってね。

太田:SAGA……。

田中:佐賀だよ、それじゃ。MDMAな。

太田:公表してねえ。

田中:公表しねえだろ、そりゃ、当たり前だろ。そのMDMAを飲んで、クラブか何かで踊っているんです。

太田:そうですよ、M!(西城秀樹のYMCAの振り付けをマネ)

田中:分かりやすすぎるだろ!

太田:D!

田中:Dとか言うか、YMCAか!


■評価に塙は困惑?


 前述の関係者は「地雷ネタを笑いに変える能力に限定すれば、ナイツさんは爆問さんを超えたでしょう」と断言する。

「今後、ナイツはこの手の危ないネタで勝負してくると思います。他のコンビでは真似できない、彼らだけの得意技になる可能性があるからです。当然ながら世の中にヤバいニュースが起きないことはなく、ネタがなくなることもありません。新しい段階に入ったナイツに、特に今年は要注意です」

 ちなみにナイツの塙は、2019年8月にマイナビニュースの取材に応じ、「ナイツが大切にする“新鮮さ”―時事ネタ漫才の反響『理解できない』」のタイトルで配信された。時事ネタに関する部分を引用させていただく。

《――話題になったといえば最近、事務所ライブや大阪ドームの試合前に披露した時事ネタ漫才もかなり反響がありました。反響の大きさについては、どう感じましたか。

塙:なんであれがあんなに反響があったのか、いまいち分からないですね。寄席芸人なんてみんなあんなのやってますから。だからよっぽどみんな漫才をやっていないんだなと思いますけどね。漫才師が100人いたら80人くらいはやってもいいようなネタです。あれを「すごいね」とか「やるんだ」と言われることがあんまり理解できないですね。当たり前の感じでやっていましたから》

 ちなみに記事にある「試合前に披露した時事ネタ漫才」は「吉本の闇営業」だったのだが、謙遜というよりは、本当に困惑しているようにも読める。

 実のところ地雷ネタと考えているのはテレビ局と視聴者だけで、当の2人にとっては、ごく当たり前のネタなのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2020年1月20日 掲載

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