「有吉ゼミ」の人気で民放のバラエティ番組に“激辛ブーム”が到来 今後を心配する声も

「有吉ゼミ」の人気で民放のバラエティ番組に“激辛ブーム”が到来 今後を心配する声も

ギャル曽根

■「チャレンジグルメ」が大人気


「テレビの激辛企画に疑問」――北海道新聞は2019年12月29日の朝刊で、「読者の声」という投稿欄に、こんなタイトルの一文を掲載した。執筆したのは旭川市に住む56歳の主婦。“テレビの激辛人気”を批判した部分を引用させていただこう。

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《超激辛料理の完食を目指しタレントやスポーツ選手らが挑戦するバラエティー番組があります。

 これでもかというぐらい激辛の香辛料を入れた真っ赤な料理は、一口でむせたり汗が噴き出るほどで挑戦者たちは「舌がしびれる」などと言いながら涙目になって食べていきます。その様子にスタジオの出演者たちは笑ったり、時には気の毒そうな表情をするのですが、見ていて不快感を覚えます》

 主婦は《視聴率のためならどんな企画も続けるテレビ局の姿勢に疑問を感じざるを得ません》と結んだのだが、投稿は《バラエティー番組》としか書かれておらず、具体的な番組名は伏せられている。

 テレビ業界を担当する記者に投稿を見せたところ、「批判されているのは『有吉ゼミ』(日本テレビ系列・月曜・19:00)で間違いないでしょう」と指摘した。

「番組名を明記するほど放送内容に問題があるわけではない。しかし、番組名を伏せることで読者が勘違いしてしまい、無関係の番組に悪影響が出ることは避けたい――これが北海道新聞の本音だったと思います。そのため投稿には、目立たないようヒントが書いてあります。『スポーツ選手らが挑戦する』という文章がそれで、読者の多くは“『有吉ゼミ』では激辛料理をスポーツ選手が食べていた”と思い出す仕掛けになっていました」

 有吉ゼミの放送が開始されたのは2013年。長寿番組とは呼べないにしても、なかなかの歴史を持っている。そして最近は「チャレンジグルメ」というコーナーが人気を呼び、勢いに乗っている。

 このチャレンジグルメは、「大食い」と「激辛」の2パターンが存在する。どちらも視聴者が「完食できるのかな?」と興味を持たせることに成功しており、それが人気の理由なのだろう。

 コーナーの人気を裏付けるように、番組は1月27日、チャレンジグルメのスペシャル版を放送した。公式サイトに掲載されていた次回予告を見てみよう。

《1月27日月曜よる7時〜有吉ゼミチャレンジグルメSP▼ギャル曽根VS純烈&ラグビー軍団▼激辛SixTONES&Snow Man》

 番組の内容も紹介されている。こちらもご覧いただく。

《(1)超デカ盛りわんぱくカレーにコント王者どぶろっく&紅白スター純烈小田井&後上が爆食
(2)爆盛りタイ風ラーメンに元ラグビー日本代表と偽稲垣&偽リーチマイケルが参戦!
(3)超激辛ソーキそばVSジャニーズ初同時デビューSixTONES田中とSnow Man渡辺が激闘!沢田亜矢子&河相我聞ももん絶!》


■藤原竜也は「ハバネロソフト」に悶絶


 何となく雰囲気は理解いただけたのではないだろうか。そして《元ラグビー日本代表》とスポーツ選手が出演している。

 ちなみに出演したのは伊藤剛臣(48)と大西将太郎(41)の2人。90年代から00年代にかけて代表に選出され、ラグビー日本代表が苦しんだ時代を知っている世代だ。

 この「有吉ゼミ」が“渋い”スポーツ選手を出演させることを、マツコ・デラックス(47)が絶賛したことがある。

 19年3月に「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系列・金曜・20:00)でマツコは『有吉ゼミ』の「チャレンジグルメ」を熱心に視聴していると言及。他局の放送を評価したということで、ネット上でも話題となった。

「北海道新聞が掲載する投稿ですから、誰も知らないマイナーなテレビ番組の批判を取り上げるはずもありません。番組名を伏せても、少なからぬ読者が“『有吉ゼミ』だな”と分かるくらいに人気がないと意味がないわけです。そういう観点から56歳主婦の投稿を読み直してみると、『大食いチャレンジ』の激辛バージョンに相当なインパクトがあることが分かります。事実、激辛料理を取り上げているテレビ番組が増えています」(同・記者)

 今年に入って話題となった“激辛番組”を少し紹介してみよう。ネットやツイッターで検索すると相当な数になるが、厳選して3本にした。

 日付順で、トップバッターは1月7日に放送された「ウチのガヤがすみません!」(日本テレビ系列・火曜・23:59)だ。

 この週は吉高由里子(31)がゲスト出演したのだが、彼女の大好物は何と激辛料理。スタジオで唐辛子をふんだんに使った料理が調理され、他の出演者が試食すると悶絶。ところが吉高は涼しい顔で平らげ、「美味しいです」と余裕の微笑を浮かべた。

 1月15日の「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」(日本テレビ系列・水曜・19:56)は2時間SP。「超人気者が行く!ダーツの旅スペシャル」には藤原竜也(37)が出演し、福島県の平田村を訪れた。

 村民から「しばざくらの里 道の駅ひらた」の「ハバネロトッピングソフト」が名物だと教えてもらったため、藤原とスタッフが訪問する。

 駅長は「この後、撮影にならないかも」と再考を要請するが、藤原は最も辛い「地獄級」を選択。すると職員が「自らの意思と責任で食べた」という内容の“念書”にサインを求めた。

 実物が登場すると、匂いをかいだだけで藤原は咳き込む始末。ほんの少量を口にしても動けないほどのダメージを受ける。最後に藤原はスタッフに一口ずつ試食させると、阿鼻叫喚の大騒動となった。


■健康被害が生じる懸念


 最後は1月18日に放送された「にじいろジーン」(関西テレビ制作/フジテレビ系列・土曜・8:30)。MCの山口智充(50)と劇団EXILEの町田啓太(29)が上野を散策したのだが、「中国人も絶賛! 本場顔負け うま辛グルメ」として、四川料理の店が登場した。

 民放キー局で番組制作に携わる関係者は、「どの民放キー局でも似たような“激辛企画”が目白押しで、明らかに“激辛ブーム”です」と言う。

「テレビ東京さんの『全国大食い選手権』を筆頭に、90年代から00年代にかけてテレビの世界では大食いブームが起きました。10年代に入ると、ややブームは終息したようにも見えましたが、大食いYouTuberが出現するなど、大食い番組は一定のニーズに支えられてきました。ところが最近は、激辛という要素が加わって、ブームが再燃したようです。実際の外食産業でも唐辛子だけでなく山椒をふんだんに使った『第4次激辛ブーム』が起きているそうで、そうした動きともマッチしたということでしょう」

 ブームが波に乗ると、鈴木亜美(37)や水原希子(29)が“激辛クイーン”として注目を集めた。ちなみに後者は1月20日の「有吉ゼミ」で爆辛ファイヤーカツ丼に挑戦したがギブアップしてしまい、ネット上でバッシングが起きたことがある。

「テレビ局としては新しい大食いスターを求めて今も試行錯誤をしているのですが、激辛という新しい要素が加わっても、結局はギャル曽根さん(34)が引っ張りだこになっています。彼女は食べ方が綺麗ですし、美味しそうに食べる姿が視聴者に好印象を持たれています。彼女のライバルが早く登場してほしいのですが、単なる大食いでは駄目ですから、なかなか難しいのかもしれません」(同・関係者)

 プロのテレビマンとして懸念もあるという。YouTubeの世界では、早食い動画で死者が出たことが取り沙汰されているが、テレビも「マネをする視聴者」に心配するようになってきたという。

「一般の方々が無謀な激辛チャレンジを行い、健康被害が生じたりすると、テレビ局も自粛せざるを得ない事態になるかもしれません。そのため今後は、放送する際に注意書きが字幕で表示されることになるのではないでしょうか。例えば『医師や専門家の立会いの下、撮影しています』という具合です」(同)

 懸念は、もう1つある。

「インパクトを求めるあまり、要求される激辛度はどんどん上がる一方です。そのためスタッフは店に頼み込み、通常で最も激辛なメニューを選ぶだけでなく、撮影用として更に辛くしてもらうケースが増えています。辛くする方法を店の調理担当に教える場合もあります。一応、テレビの現場でこうした行為は“演出”の範囲内だとされていますが、お店の人からすれば“やらせ”に思えるかもしれません。気分を害してツイッターなどSNSに暴露される危険性があります」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年2月2日 掲載

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