YouTuberへ戦略的「都落ち」した宮迫博之 必要なのはドヤ顔を貫く覚悟?

YouTuberへ戦略的「都落ち」した宮迫博之 必要なのはドヤ顔を貫く覚悟?

宮迫博之

 女優復帰はないと裁判で言い切った沢尻エリカ。逮捕時に復帰を望む声があれだけ多かったにもかかわらず、潔い引き際である。一方で、復帰待望論がさほど盛り上がらないのに復帰を「強行」した雨上がり決死隊・宮迫博之。反社会集団の宴席参加と闇営業により、謹慎処分を受けてから約半年。YouTubeで謝罪動画をアップしたが、批判の声も少なくないようだ。ロンドンブーツ1号2号の田村亮の復帰会見と同じ日というタイミングも疑問視されている。ダウンタウン松本人志やナインティナイン岡村隆史ら、同業界の仲間たちも首をかしげているとのこと。吉本からの契約解除後、明石家さんまの個人事務所預かりの状態だというが、現時点でさんまからの公式コメントは出ていない。

 謝罪動画には歓迎の声もありつつも、うさんくさい、嘘くさいといったコメントも多い。目を細めて遠くを見るような表情、言いよどむようにためる妙な間。でも服装は袖をまくったジャケットにデニム姿である。ようやく絞り出したかのように「……お笑いが好きなんですよ」と切なげに訴えるも、どこか違和感が漂う。なんと公式チャンネルの開設は昨年11月中と、謹慎処分期間まっただ中であったことも明らかになった。言葉が下手な不器用な俺、でもお笑いが好きな純粋な俺。だから、批判は受けると思うけど許してください、というトーンで構成された謝罪動画も、これでは演技と思われても仕方ないだろう。いやむしろ、そんな演技やシチュエーションに酔っているかのような面の皮の厚ささえうかがえる。

 しかし、彼の持ち味はまさにこの面の皮の厚さではなかったかと思う。お笑い芸人として活躍する一方、俳優としての出演歴も多く、歌手ユニット「くず」でも人気を博した。そうした芸人以外の活動をする彼を見るたび、「本当はこういうことやりたかったんだろうな」という印象を受けたものである。自分のキャラは三枚目ではなく、実は二枚目だ。そんな自意識がはみ出てくる気がしたのだ。

 そしてその自信が芸人としての押し出しの強さだったり、活躍の場を広げることに役立ってきた側面はあるだろう。ひな壇芸人としての使い勝手の良さや、「アメトーーク!」などでの番組回しは確かに優れていた。演技も歌も上手い方だったと思う。だからこそ業界内でも重宝され、「自分の復帰を待ってくれている大好きなスタッフ」も多いと感じていたはずだ。それは彼の自意識を、より強固にする拠り所になったに違いない。


■加藤紗里、前澤友作、炎上キャラたちのYouTube戦国時代 「下剋上」を狙うならドヤ顔を貫くが勝ち?


 自身をテレビの人間と言い、YouTubeは敵でした、と言うのもYouTubeユーザーには微妙な印象を与えただろう。その敵のふんどしを借りて、テレビという土俵への復帰に挑むとは、図々しいと思う人も多いのではないか。またテレビ局側も、確かにYouTubeを「格下」メディアとみていた向きもあっただろうが、変な形で代弁されては迷惑だったろう。

 とはいえ、YouTubeで注目を集めてテレビ出演、そして全国区の顔へ、という「下剋上」システムは確かにまだ有効だ。炎上は炎上で再生回数も上がり、金にもなるし注目度も上がる。事実、加藤紗里や前澤友作社長など、意識的に炎上企画を上げるヤマ師も多い。同じお笑い芸人でアンチも多い、キンコン西野も大活躍中だし、オンラインサロンも大盛況だ。二匹目のどじょうを宮迫も狙っていないとも限らない。

 テレビ側の意図で編集されず、周囲の人間に気を使ったりする忖度の必要のないメディア。そこは確かに自由な場所である一方、有名無名含めてライバルだらけでもある。そんな戦国時代を勝ち抜くには、いい人ぶっていても仕方がない。むしろ彼の持ち味・面の皮の厚さを武器に、ドヤ顔をし続ける方が宮迫ならではの財産を有効活用できるのではないかとさえ思う。

 宮迫のような芸人が求めるのは「面白いから好き」と言う賛辞だろうが、いま狙うのはその領域ではない。好感度の高い人間枠は、テレビではもう満席だ。下剋上を狙うなら、「面白いかもしれないけど嫌い」と反発を呼び続けることなのかもしれない。

 すでに公式チャンネル「宮迫ですッ!」は登録者数48万人。復帰は時期尚早かもしれないが、それだけ注目度は高いことを示している。毎日のように更新される動画も次々に100万回再生を超えている。宮迫も「ドヤ顔」に拍車がかかるだろうが、このドヤ顔をどこまで貫けるのかが正念場ではないだろうか。

(冨士海ネコ)

2020年2月7日 掲載

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