浜崎あゆみドラマ「田中みな実」快演・怪演のヒミツ、ほぼ毎日共演した人物が明かす

浜崎あゆみドラマ「田中みな実」快演・怪演のヒミツ、ほぼ毎日共演した人物が明かす

田中みな実

 局アナ時代は嫌われキャラだった田中みな実。独立後は才能が開花し、タレント業は引く手あまたで写真集は大ヒット。話題のドラマ「M 愛すべき人がいて」では、堂々の快演・怪演で女優としての存在感もアピールした。その才能について、1年半に亘ってほぼ毎日共演した経験のある徳光正行が明かす。


■どこで礼香が出てくるの?


 3月から続く新型コロナ禍において、連日放送されるニュースやワイドショーに、辟易している方も多いことでしょう。

 そんな中、コロナ騒動などはお構いなしに(そもそもニュースとドラマではテレビ内での存在意義が違うので当たり前ではありますが)、異彩を放ち耳目を集めるドラマが、毎週土曜日の深夜に放送されています。「M 愛すべき人がいて」(テレ朝系)……。第1話の放送から話題を呼び、毎回放送終了後には、SNSがざわつく事態が発生しているそうです。

 私などの昭和生まれの人間からすると、主にTBS系で放送されていた大映テレビ制作のドラマ(堀ちえみ主演「スチュワーデス物語」やいとうまい子主演「不良少女と呼ばれて」などが代表作)やフジテレビ系で放送されていた昼ドラ(高木美保主演の「華の嵐」や横山めぐみ主演の「真珠夫人」などが代表作)を彷彿とさせるわかりやすい愛憎劇が時を経て再び脚光を浴びていることに嬉しさを感じるのですが、なんでも10代や20代の若者からの支持も得ているとのことだそうです。

 我々世代の既視感とは違い、彼ら世代にとっては本能むき出しの大きな芝居やわざとらしい演出(褒め言葉)が新鮮に思えて夢中になっているのかな?と、足りない頭ながら推考してしまいます。

 原作もさることながら、脚本を担当している鈴木おさむ氏は、そのあたりもしっかりと考察しセリフに落としていることでしょう、流石でございます。

 そしてこの「M 愛すべき人がいて」の中でひときわ存在感を放っているのが姫野礼香役を怪演している田中みな実さんではないでしょうか?(眼帯キャラって、昭和の悪役プロレスラーじゃないんだから)

 初めはその出で立ちに嘲笑し、ツッコミも入れたくなったのですが、回を重ねるごとに彼女こそがこのドラマのキモになっているのでは?と思うほどの迫真の演技を目の当たりにし、「どこで礼香が出てくるの?」と礼香探しをしている自分に気付かされた時、彼女は私にとってのかつての共演者ではなく、女優田中みな実なのだと思わされる次第であります。

「かつての共演者?」そう感じた方が多いかと存じますが、田中みな実さんと私はTOKYO MXで放送されていた「ひるキュン!」(2016年10月〜2019年3月末)というお昼の情報番組で2017年10月〜2019年3月末まで月曜日〜金曜日ほぼ毎日共演させていただいていたのです。

 わずか1年半ではありますが、ここからは私が間近で見てきた田中みな実さんについて感じたことを記させていただきます。


■容姿で損をしていたんだな


 2017年夏のある日、彼女がメインMCを担当していた「ひるキュン!」にアシスタントとして参加させていただく旨を伝えるために挨拶に伺いました。以前他番組で共演したことはあったのですが、しっかりと目を合わせ会話をするのはその日が初めてでした。

「10月から宜しくお願いします」と私が会釈すると「こちらこそ、宜しくお願い致します」と丁寧に返してくださったのですが、抱いた印象は、どこか目の奥が暗い…、といったものでした。丁度、雑誌『an・an』の表紙を飾ったくらいの時で、順風満帆な芸能生活を送っていると思っていたので、あの目の暗さは少々意外にも感じました。

 その頃、田中みな実さんは仕事面においての葛藤が自身では整理できないくらい混沌としていた時期で、物事に対して真摯に向き合い100%全力で挑む大変真面目な性格の彼女は、思ったことや感じたことを真正直に口にしビジョンを語ると、周りとの軋轢を生み、孤独を感じることもあったみたいです。

 後にその話を聞いた時、「容姿で損をしていたんだな」と、私や同じタイミングで加わったスタッフはそう口を揃えました。

 我々が籍を置くメディア業界は最先端をいっていると思われがちなのですが、「可愛いいんだから人形でいれば良いんだ。意見なんかするな」というような前時代的な思考の方も若干残っていまして、女性が、特に愛らしい方が、自己主張すると容姿以外の能力に関しては必要としてないと言わんばかりに疎まれることがあるのです、情けない話ではありますが。

 さて、私もテレビで知る彼女の印象はそこまで良いものではなかったのと、そもそも私の存在などほぼ知る由もなかったみな実さんとの共演が始まり、お互いに疑心暗鬼というか探るような日々はあったのですが、打ち解けるまでにそんなに時間を要さなかったと思います(私だけが思ってる可能性も大)。

 私は番組内での彼女の言動や瞬発力に感銘を受けましたし、放送前後の打ち合わせにおける発想力や目配り心配りに大いに感心しました。

 彼女も彼女で「徳光さんは私がどんなに毒づいてもニコニコ笑い飛ばしてくれて、嫌な顔をしない。いつも私の意見を尊重してくれる、ただのイエスマンかと思う時もあるけど」なんて言ってくださるようになりました。

「いや別に自分の価値観の中で、みな実さんが番組内で吐く毒が効果的で的を射てると思ったから笑ってたのだし、番組に対する考えや意見も筋が通ってて正しいと思ったから賛同したのだけど」とは思いましたが、嬉しいことでありました。

 まあテレビ番組出演時の彼女の優秀な能力に関しましては皆さんも承知の通りだと思いますので、それ以外で印象的な出来事を少し……。


■プレゼントを買いに行きましょう


 まずはスタッフの名前をしっかりと覚え、分け隔てなく声をかけること。これはただ挨拶をするとかではなく、しっかりと「日常会話」をするというのがとても大切でありまして、自然にそれができる方でした。

 メインMCである彼女にそういったことをされたら、男性スタッフも女性スタッフも「みな実さんのために頑張ろう、番組をさらに素晴らしいものにしよう」と、やる気が起きるわけです。若い女性スタッフなどは「憧れのみな実さんが」なんて目をキラキラさせてました。周りを虜にする才が秀でているのです。

 さらに共演者のインストアライブがあった時のことでした。社交辞令で「行くよ〜」なんて言って行かない人は多々見てきましたが、彼女は番組反省会が終わると「徳光さん何時に待ち合わせます?」と楽屋を訪ねてきました。「あっ、本当に行くんだ」と私がニヤニヤ返すと「だって行くって約束をしたのだから当たり前です」とさらに真顔で返してきたので、穿った見方をした自分を恥じました。

 そして当日、待ち合わせをして、私の車に乗り目的地に向かっていると「徳光さんと撮られたら笑えますよね」と軽口を叩いてきたので「もしそんなことがあったらあなたの両親に申し訳ないので冗談でも止めよう」と言うと「誰も信じないし、なんとも思いませんよ」と言ってケラケラ笑っていました。

現地に到着しライブを鑑賞し終えると「〜〜くん、頑張ってたし、誕生日も近いから、プレゼントを買いに行きましょう」とフットワーク良くショップを見つけ、しっかりと吟味し、彼女が1点私が1点プレゼントを購入したなんてこともありました。私はその共演者の誕生日も失念していたので、彼女の気配りには頭が下がるばかりでした。

 これ以外にも多々素敵なエピソードはあるのですが、またの機会にと思います。

 バラエティを制し女優に活路を見出した彼女に、たまたま年上に生まれてたまたま共演しただけの私ごときが恐縮ながら言わせてもらいますと、是非近い将来、ニュース番組のメインキャスターもなどと切望しております。

 これが実現しますと、テレビ界類を見ない3冠の達成になるということもありまして……。そして田中みな実さんなら絶対に可能だと思います。

徳光正行
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。司会、タレント業。主な著書に『伝説になった男〜三沢光晴という人〜』『怪談手帖シリーズ』など。4月27日には岩井志麻子氏との共著『凶鳴怪談』が出版された。

週刊新潮WEB取材班

2020年5月17日 掲載

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