「BG」「MIU404」「未満警察」……ドラマのトレンドはバディもの 3つの名作が原点

「BG」「MIU404」「未満警察」……ドラマのトレンドはバディもの 3つの名作が原点

(右から)勘だけで突っ走る綾野剛と冷静沈着な星野源という典型的な凸凹コンビ(「MIU404」公式Instagramより)

 コロナ禍で放送開始が延びていた春ドラマがようやくスタートしたが、気がつけばバディものばかり。冬ドラマは医療モノ6本もあったが、なんでこんなに重なるの?

 ***

 今期のバディ・ドラマを挙げてみよう。

●未満警察 ミッドナイトランナー(日本テレビ)土曜22時
 警察学校生の中島健人(Sexy Zone)と平野紫耀(King & Prince)によるバディもの。まだ警察官じゃないが、理論派と体力派の2人が難事件を解決する。6月27日より放送開始。

●BG〜身辺警護人〜(テレビ朝日)木曜21時
 一昨年1月期の放送時は、ボディガードのチームプレイが描かれたが、シーズン2となった今回は木村拓哉と斎藤工のバディものへと変化。6月18日より放送開始。

●MIU404(TBS)金曜22時
 警察官ではあるが、新設された“第4機動捜査隊”のバディもの。勘だけで突っ走る綾野剛と冷静沈着な星野源という典型的な凸凹コンビ。6月26日より放送開始。

●SUITS/スーツ2(フジテレビ)月曜21時
 敏腕弁護士の織田裕二と驚異的な暗記力をもつ中島裕翔(Hey! Say! JUMP)とのリーガル・バディ。2話まで4月に放送したが、放送再開は7月27日に。

●探偵・由利麟太郎(フジ系/カンテレ)火曜21時
 地上波連ドラ初主演の吉川晃司が頭脳明晰な探偵に。ミステリー作家志望の青年・志尊淳を助手に、横溝正史の世界を現代版にして描く。6月16日スタートは当初からの予定通り。

●竜の道 二つの顔の復讐者(フジ系/カンテレ)火曜21時
 裏社会に生きる兄・玉木宏とエリート官僚の弟・高橋一生の双子バディの復讐劇。4月14日スタートの予定だったが、上記の「探偵・由利麟太郎」を先に放送し、7月28日放送開始に。

 紆余曲折あったものの、再スタートを含め、6月から7月にかけて、6本もの「バディドラマ」が放送される。民放プロデューサーが言う。

「ドラマのプロデューサーは、同じことを考える人種が集まっているんですかね。不思議なことに、同じ時期に同じような色のドラマが重なることがよくあります。前クールは医療ものが集中しましたが、これまでも“学園もの”“刑事もの”“ナースもの”“推理もの”など、シーズンを同じくして放送されてきました。バブル期などはチャラい恋愛ものばかりでしたしね」

 今回のバディものは、職業で括ったわけではない。警察学校生、ボディガード、機動捜査隊、弁護士、探偵&助手、ヤクザ&官僚、とバラバラだ。

「警察・刑事のバディものは避けた結果なのかもしれません。18シリーズも続いている『相棒』(テレ朝:水谷豊&反町隆史)の存在は大きすぎますからね。ただ、主演の水谷さんは変わらなくても、脇の相棒がコロコロ変わるので、バディものと呼べるのかどうか……」(同)


■「傷だらけの天使」の原点とは


 では、バディものの原点といえば? 50代以上の世代にとって、水谷豊で思い出されるのは「傷だらけの天使」(日テレ:74〜75年)だろう。

「50代以上といえば、テレビ局の編成幹部やドラマのベテランプロデューサーの世代ですね。彼らがリスペクトしているドラマのNo.1と言っていいでしょう。探偵のバディもので、主人公のオサムちゃんを演じたのはショーケンこと萩原健一。脇の相棒・アキラを演じていたのが水谷さんでした。このコンビがカッコよくて、しかも面白かったんです。『アキラ!』『ア〜ニキィ』の掛け合いも良かったですしね。大野克夫(演奏・井上堯之バンド)の曲に合わせて、起きがけのショーケンがトマトとコンビーフを囓るオープニングは、今見てもワクワクします。日本のバディものの最高峰と言って良く、ドラマを作る上で意識せずにはいられない作品だと思います」(同)

 テレビドラマにもかかわらず、監督には深作欣二、恩地日出夫、神代辰巳、工藤栄一など、そうそうたる顔ぶれの連ドラだった。他の名作バディものといえば、

「“あぶ刑事”(「あぶない刑事」日テレ:86〜87年)でしょうね。ダンディ鷹山(舘ひろし)とセクシー大下(柴田恭兵)の破天荒な刑事を描いてヒットしました。“関係ないね!”は、いまもモノマネされているほど大流行しました」(同)

 日テレが多いのだろうか?

「かつて日テレは、『太陽にほえろ!』(72〜86年)に代表されるように、刑事もの、探偵もののドラマが多かった。必然的にバディものができたのだと思います。松田優作と中村雅俊の刑事バディもの『俺たちの勲章』(75年)もありました。『刑事貴族』(90〜92年)では、Part2の後半からバディものに軸を移しました。水谷さんと寺脇康文さんのコンビです。水谷さんの演技も軽く、寺脇さんも『ア〜ニキィ』とか呼んでいましたからね。このコンビがそのままテレ朝の『相棒』となったわけです。もちろん、キャラクターも物語も変わっています。名作といわれる『傷天』も数字が取れずに打ち切り説があった中、視聴率的に成功したバディものと言えば、『噂の刑事トミーとマツ』(TBS:79〜82年)でしょう。国広富之と松崎しげるの刑事バディものですが、内容的にはコメディ。弱虫の国広に“おとこおんなのトミコ!”と怒鳴りつけると、一瞬にして悪をなぎ倒す、どちらかというと変身ものに近い刑事ドラマで、お茶の間で人気でした」(同)

 こうしたバディものは、何を参考に生まれたのだろう。

「一説には、米ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』(75〜79年)や『白バイ野郎ジョン&パンチ』(77〜83年)に影響を受けているのではないかとも言われています。しかし、それだと『傷天』のほうが先に放送されていますから説明がつかないんです。以前、ショーケン自ら『萩原健一、「傷だらけの天使」を語る。』(BS12 トゥエルビ:17年2月)でその謎を明かしたことがあります。彼は、自分の作品には結構首を突っ込むタイプでしたからね。『太陽にほえろ!』や『傷天』に井上堯之バンドを推したのも彼ですしね。バンド時代の仲間ですから。『傷天』の原点について彼は、ジーン・ハックマンとアル・パチーノの共演で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを獲得した映画『スケアクロウ』(73年)に刺激を受け、探偵もののロードムービーにしたいと思っていた、と話していました」(同)

「スケアクロウ」は、日本の多くのドラマに影響を与えたと言われる。鎌田敏夫が脚本を手掛けたNHKドラマ「十字路」(78年:千葉真一、草刈正雄)も、その1つといわれる。パルムドールを獲った作品が、日本のバディものの原点だったとは。果たして今季のバディものは、どれが高評価を得るだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月11日 掲載

関連記事(外部サイト)