三浦春馬さん訃報で三吉さん・生田さんへのSNS中傷…悪質な韓国の場合は?

■泣き寝入りの多かった芸能人だが、最近は告訴を決心するムキも


 俳優・三浦春馬さんが亡くなり、交際相手だったとされる三吉彩花さんや共演歴のある生田絵梨花さんらが、SNSを通じて誹謗中傷にさらされ続けている。「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんも心ない言葉に追い詰められて亡くなった。他方、世界一のIT大国を自負する韓国でも、ネット上による誹謗中傷は後を絶たず、芸能人はこれに悩まされ続けている。

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 韓国では悪質な誹謗中傷を「悪プル」、悪プルを繰り返して書き込む人を「悪プラー」と呼ぶ。スマホの出現により時と場所を問わずニュースを見られるようになり、人々は芸能人の記事を読んでは、気軽にコメントを書き込む。大衆がストレス発散で書いた何気ない悪プルにより芸能人は傷つき、うつ病になったり死を選んだりする。

 最近、韓国では芸能人の記事にコメントを付けられないようにするサイトが増えた。悪プルを防ぐためだ。中傷コメントを付けた際の法律上の措置も厳しく、誰かをおとしめる意図を持ってコメントを残した場合は告訴される。インターネット名誉毀損に抵触すれば、3年以下の懲役、または3000万ウォン以下の罰金刑となる。それでも悪プルは減らない。

 以前は泣き寝入りの多かった芸能人だが、最近は少し様相が違う。人気グループ・スーパージュニアのメンバー、キム・ヒチョルは悪プラーとの戦争を宣言した。彼は7月24日午後2時、数十人を告訴するため江南警察署に出頭した。「善処はない」とインスタグラムに書き込むとともに、ソウル中央地検に提出した告訴状の写真を載せている。

 キム・ヒチョルといえば、TWICEの日本人メンバーモモとの交際が報じられたことから、日本でもよく知られている。ヒチョルは自分だけでなく、知人や後輩たちも人身攻撃などの悪プルに苦しめられていることから、告訴を決心したのだという。

■「悪プル」は芸能人だけにとどまらない


 2019年にガールズグループfxのソルリさんが、誹謗中傷により自殺した。その42日後にKARAのク・ハラさんも亡くなり、世界中の韓流ファンは衝撃を受けた。そんな2人の親友IUも悪プルに悩まされていた。ドラマ「愛の不時着」で挿入歌を歌っている歌手だ。

 IUは2008年にデビューして以来、さまざまな悪プルに悩まされてきた。過去に「いかなる場合も善処しない」として悪プラーを告訴し、強硬対応に出ている。ヒチョルもそんなIUを見習ったようだ。

 Fin.K.L.の元メンバーでミュージカル俳優のオク・ジュヒョンも、悪プルに苦しめられてきた。10年ほど前に「私は歌手だ」という番組に出た際も、アイドルグループ出身の彼女のせいで番組の質が下がったという誹謗中傷に苦しめられた。他の番組に出演して心境を語りながら泣いたこともある。つい最近では「ファントム・シンガー3」というサバイバル音楽番組の審査員を務め、ある出演者を故意に脱落させたとして悪質なDMを受け取った。彼女は悪プラーを絶対に許さないという強硬姿勢を取っている。

 ネット大国だからこその弊害もある。韓国ではライブ配信サイト「AfreecaTV」が人気だ。ここで個人放送を行う人たちは「BJ」と呼ばれる。パク・ソウンさんは有名なBJの1人だったが、誹謗中傷に苦しんだ末にこの世を去った。

 ソウンさんの死が故人の妹によって告げられたのは、2020年7月13日。ソウンさんは享年28。月6000万ウォンを稼ぐ人気BJだった。ハスキーで愛嬌のある声、魅力あふれる美しい彼女は、トークもダンスも上手で、活発な活動を行っていた。それだけに悪プルも多かった。

 自殺の原因となったのも、もちろん悪プルだ。事の起こりはソウンさんの元彼と名乗る男が、オンラインコミュニティーで彼女の私生活を暴露したことだ。有名男性BJのセヤという人物とソウンさんが肉体関係を持ったという内容が書かれていた。

■死後も故人を苦しめる「悪プル」


 セヤは自分の番組で慌てて弁明する。ソウンさんに彼氏がいるのを知らなかったとか、関係は強制的ではなかったとか。当分放送を休むと宣言。だが、ソウンさんはこのことで人身攻撃を受け、苦しんだ結果、究極の選択をしてしまう。その後、彼女の死はセヤのせいだという悪プルが集中し、セヤも苦しんでいるようだ。

 チン・ウォーレン・バフェットさん(享年40)は2020年7月8日に自殺した。警察によると、20階建てマンションの最上階へ行き、その通路から飛び降りる様子が監視カメラに映っていたとのことだ。

 バフェットさんは、アメリカの伝説的な投資家の名前に自分の名字を付け加え、改名を申請するも失敗。放送用のニックネームとして使用することにした。

 彼は「AfreecaTV」で活動する元祖お騒がせBJとして有名だった。だが、視聴者へのセクハラ、女子校の前へ行ってフリーハグを要求する、裸でプラカードを持ってのパフォーマンスなどの奇行を繰り広げて立件される。そのせいで「AfreecaTV」では永久アカウント停止になってしまう。2012年にBJ仲間のキム・イブに対するストーカー行為で懲役1年6ヵ月の実刑判決を受け、出所後はユーチューブで放送を再開した。

 自由奔放な人で、自殺するようなやわな人間とは思えないが、バフェットは争い事が嫌いだった。ユーチューバー仲間が公開した遺書によると、自殺の原因はユシンというBJだ。1年半にわたり、バフェットはユシンから執ような攻撃を受けていた。批判や嘲笑、告訴などの圧迫を受けてきた。本人だけでなく彼の知人まで中傷や告訴、職場の前での嫌がらせなど、バフェットは執ように追い回されて攻撃された。そのストレスから彼は自殺という道を選ぶ。

■こういうときこそ執ように過去を問い詰める国民性を


 ちなみに、このユシンなる人物は「AfreecaTV」や「カカオTV」などで他のBJを攻撃する放送を中心に行っていた男だ。結局はアカウント停止となり、現在はユーチューブで時事トークを行っている。

 問題は、バフェットの自殺が知られた直後だ。バフェットが麻薬事犯として懲役3年を言い渡されたために自殺したといううわさが、ポータルサイトやニュースサイトに出回った。彼のアンチが悪意的にデマを作り、さまざまなコミュニティーの掲示板に書き込んだことからニュースの記事にまでなってしまった。バフェットは死後、悪プラーの犠牲になったのだ。

 ソウル市長だったパク・ウォンスンは自殺により、秘書のセクハラ事件はうやむやになりそうな気配もある。だが、被害者がいるのだから、事件をそのままにしてはならないだろう。悪プラーたちの犠牲になった人たちも、死んだからといって事件を終わりにしてはならない。こういうときこそ執ように過去を問い詰める国民性を発揮してほしいものだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月29日 掲載

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