「えみちゃんねる」突然の終了がどれだけ異例のことか 過去のケースと比較すると…

「えみちゃんねる」突然の終了がどれだけ異例のことか 過去のケースと比較すると…

7月24日、いきなり終了した「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ放送HPより)

 7月24日、いきなり終了した「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ)。関西ローカルの番組とはいえ、25年も続く人気番組で、MCは西の女帝・上沼恵美子(65)だ。番組内での発言もスポーツ紙で度々取り上げられていた。ところが、最終回は通常通りに進行したものの、上沼から肉声の挨拶も無いまま幕を下ろした。これには東京のテレビマンたちも驚きを隠さない。

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 関西テレビ(カンテレ)から番組終了の発表があったのは最終回の3日前、21日のことだった。民放プロデューサーは言う。

「バラエティ番組の打ち切りといえば、視聴率が取れないか、ヤラセなど不祥事の発覚した時と、相場は決まっています。たとえ低視聴率であっても、期末まではなんとか放送するものです。対して『えみちゃんねる』は、番組存続に関わるような不祥事は聞きませんし、むしろカンテレの中では唯一と言っていいほどの人気番組です。カンテレがやめさせたいはずがないのですが、新聞各紙の取材に対し、カンテレ広報は『7月に25周年を迎え、番組として一定の役割を果たすことができた』などと答えていました。それなら、なおのこと総集編なり、特番なりを放送しなければ不自然ですが、それも無く突然終了とは……」


■夫はカンテレの元常務


 さらに、不自然と感じるのは、カンテレの番組だったということだ。

「彼女の旦那さんは上沼真平(73)といって、関西テレビの元プロデューサーで同社の常務取締役まで務めた、関西人なら誰でも知っている有名人です。すでに会社を退職しているとはいえ、カンテレとは切っても切れない縁があったはず。にもかかわらず、上沼さんはカンテレ唯一のレギュラー番組だった『えみちゃんねる』を降りたわけです。今やカンテレにも彼女に物言える人がいなくなったということでしょうか」(同)

 上沼といえば一昨年、M-1グランプリで彼女の審査に不満を抱いた若手芸人が、ネット動画で不満をぶちまけて、大問題に発展したことがあった。その際、ダウンタウンの松本人志(56)は「彼らは勉強不足。上沼さんが、どれだけの人か分かってない」と苦言を呈したが、どれだけの人なのだろうか。上方芸能に詳しい業界人は言う。


■上沼恵美子とは


「上沼さんは姉と2人で、海原千里(上沼)・万里として姉妹漫才をやっていたんです。彼女は中学生の時から高座に上がってましたが、正式にデビューしたのは高校生になった71年。彼女は子供の頃から“のど自慢”荒らしとして有名で、後の天童よしみと優勝を競っていたと言うほどの実力の持ち主。それで、当時人気だった天地真理や南沙織、欧陽菲菲などをネタにした歌まね漫才として人気になったんです。もちろん、話術も巧みでしたから、あっという間に売れました」

 彼女たちの漫才を覚えている方は、相応の年になっているという。

「漫才師として活動したのはわずか6年。『日曜ドキドキパンチ』(カンテレ)という番組出演した際に、ディレクターだった上沼氏と出会って、77年に22歳で結婚し、解散してしまいました。もっとも、翌年、長男を出産してすぐに、やはりカンテレの料理番組のアシスタントとしてピンで芸能界に復帰しました」(同)

 ビートたけしや島田紳助らを輩出した80年代の漫才ブームの時には、いなかったということか。

「そういうことですね。彼女たちが売れたのは、まだ漫才がブームになる前でしたから。彼女がピンの主婦タレントとして人気になったのは、漫才ブームが去った85年にスタートした、“四角い仁鶴がまあるくおさめまっせ”の『バラエティー生活笑百科』(NHK)の相談員として出演してからです。“実家が大阪城”といったホラ吹きが番組名物となりました。NHKのおかげで全国区の知名度となり、講演をこなすことで、さらに話術を高めていったのです」(同)

「笑百科」は大阪NHKの制作だ。東京に進出しようとはしなかったのだろうか。

「結婚後、復帰するに当たって、旦那さんから『泊まりはNG』『現場は、東は滋賀、西は姫路まで』と約束させられたとは、彼女もよく言っていますね。実際、その通りにしていて、東京で唯一見られる彼女のレギュラー番組『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)も朝日放送の制作です。例外は、94年、95年の『NHK紅白歌合戦』の紅組司会でしょう。そして95年に、『おしゃべりクッキング』と『えみちゃんねる』がスタートし、西の女帝として君臨していったわけです」(同)


■大御所らしからぬ降板


 先の民放プロデューサーは言う。

「『えみちゃんねる』もそうでしたが、現在、彼女が持つレギュラー番組は全て冠番組です。いかに彼女の名で数字が取れるかを物語っており、いずれも長寿番組となっています。関西では確かに大御所ですが、実際に会ってみると、決して悪い人ではないですよ。M-1の暴言事件に対しても、余裕の対応を見せていましたしね。だからこそ、6月にキングコングの梶原雄太(39)が『えみちゃんねる』とラジオ『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)の降板した理由が、彼女に執拗な叱責を受けたというのは、信じられません。そして、彼女自身が『えみちゃんねる』を降りてしまうなんて……」

 一説には、上沼とスタッフ間で揉めたためとも言われる。いずれにせよ、人気番組の突然の打ち切りは前代未聞である。過去に似たようなケースはあっただろうか。

「思い出されるのは『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)ですね。篠原涼子の出世番組で、エキセントリック少年ボウイなど、特殊キャラを次々と生み出して、絶大な支持を受け、裏番組の『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ)を潰したほどのでした。ところが、97年9月に予定されていた2時間スペシャルを、ダウンタウンに通告すること無く、プロ野球のヤクルトのリーグ優勝決定試合の生中継に差し替えた。これに松ちゃんが激怒し、番組が打ち切られたということがありました。ただし、翌週には2時間スペシャルを放送し、その後も傑作選などで、ひと月ほど伸ばしてから終了しました」(同)

 後継番組も考えねばならない。それだけに今回の突然の終了には驚くという。

「大御所だからこそ、時にはスタッフとも揉めることもあります。それでも大御所と呼ばれる方たちは、たとえキレても、長年の経験から自分のマイナスになるようなことは避けてきました。例えば、『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)の初代局長・上岡龍太郎さんには、上岡局長激怒事件というものがあります。大嫌いなオカルトものリポートに激怒してスタジオから退出。翌週の収録にも来ず、番組降板という流れができてしまった。プロデューサーが土下座し、なぜか『上岡龍太郎にはダマされないぞ!』(フジテレビ)で経緯を放送。上岡さんから『実はいたずらですよ』と言われてプロデューサーがホッとするというオチで丸く収めました。大御所はそこまでやるものです」(同)

 しかし、「えみちゃんねる」にはそれがなかった。

「上沼さんは最終回でも、自分のことを『コロナ鬱』と言っていましたが、確かに以前のようなトークではなくなっていたように思います。観客を入れていないせいもあるのかもしれませんが、『おしゃべりキッチン』も最近の放送では話術にキレがなくなっている感じがします。旦那さんとは別居中だそうですし、何かあったのではないかと心配です」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年7月30日 掲載

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