収録で全治3か月のトレエン斎藤 フジの謝罪文は“ここがおかしい”と指摘する声

■監修者はいたのか?


 お笑いコンビ・トレンディエンジェルの斎藤司(41)が収録で大けがを負い、「でんじろうのTHE実験」(フジテレビ系列・金・20:00)の公式サイトには、以下のような“お詫び”が掲載されている。

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《10月8日(木)、番組収録中にトレンディエンジェル・斎藤司さんがけがをされたことについて、斎藤さんをはじめ、関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます》

《今回は“お尻の下に敷いたエアバッグを作動させ、体が宙に浮くかどうか”という実験の収録を行っておりました》

《制作スタッフがシミュレーションを重ねるなど、さまざまな安全対策を講じてはおりました》

《より一層、番組制作において安全対策に万全を期して参ります。なお、今回の実験はでんじろう先生の監修のもとに行ったものではございませんでした》(註:デイリー新潮の表記法に従い、全角を半角に改めるなどした:以下同)

 スポニチアネックスが同日に配信した「トレンディエンジェル・斎藤司 フジテレビ番組ロケで背骨圧迫骨折の重傷、全治2〜3カ月」では、より詳細な経緯が報じられている。

《スタッフの事前検証時には30センチも浮かなかったが、斎藤は1メートル以上も浮き上がり、着地するタイミングで右手から落下し、左腰を強打した》

《病院に搬送され、背骨の圧迫骨折と右手首捻挫で全治2〜3カ月と診断された》


■93年には死亡事故


 またか、と呆れた向きも少なくないのではないだろうか。バラエティ番組で事故が起こるたび、出演者、特に芸人が体を張るという企画が、「安易」「低レベル」と視聴者から批判される。

 だが、民放キー局は、こうした企画を止めない。視聴者の“喉元が過ぎる”と、いつの間にか再び放送される。これまでに起きた主な事故をまとめて表にしてみた。

 香港の人気ロックバンド「BEYOND」のリードボーカル、黄家駒[ウォン・ガークイ](1962〜1993)の痛ましい死亡事故は、日本だけでなく香港のファンもフジテレビに激しく抗議したことをご記憶の方もおられるだろう。

 この死亡事故のため、「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」(フジテレビ系列・1990〜1993)は打ち切りとなった。

 2つの表を見ていただくと、テレ朝とTBSは少ない。だが、これは取捨選択の結果ということは附記しておきたい。


■とんねるずの番組で多発?


 一方、とんねるずの番組で事故が多かったのは間違いない。長寿番組だからという可能性は考えられるが、バラエティ番組の事故を減らすためには、改めての検証が必要なのかもしれない。

 民放キー局でバラエティ番組に携わるスタッフは、「テレビ業界でも『またか』と騒ぎになっていますが、フジテレビさんの釈明も問題視されており、業界で波紋が広がっています」と明かす。

「スポニチさんの報道では、スタッフが事前にテストした際、30センチほど浮いたとのことです。もし、これが事実なら、この時点でボツになっても不思議ではないと思いました」

 実は「お尻の下でエアバッグを炸裂させる」という動画は存在し、欧米のネットメディアを中心に広く紹介されている。

 日本ではAOLオンライン・ジャパン「Aolニュース」が2015年2月、「自動車のエアバッグをお尻の下に敷いて炸裂させるとどうなるか?【動画】」の記事を配信している。


■事故は防げた?


 記事によると、チャレンジした人間は確かに吹き飛ばされている。リンク先の動画はすでに削除されて見られないが、動画をキャプチャーした写真が掲載されている。

 だが記事本文には《予想以上に強かったエアバッグによる衝撃で、彼は脊椎を負傷してしまった》と結果が伝えられ、《くれぐれもこうした行為を真似しないで頂きたい》と注意喚起を行っている。

「フジテレビの番組スタッフは、ひょっとすると、こうした動画や記事を見たのかもしれません。

 そして安全性について考えず、『これは面白い』と安易に採用したのではないでしょうか」(同・スタッフ)

 もっとも、スポニチアネックスの報道によれば、30センチしか飛ばなかったという。これは制作スタッフにとって「面白くない」絵になる。

 ここで止めておけば、斎藤が大けがをすることもなかった。だが、番組スタッフは撮影に踏み切った。


■監修者は誰?


「フジテレビがしっかり説明すべきなのは、過剰演出があったかどうかです。30センチしか飛ばなかったのなら、斎藤さんがあそこまでのケガをするわけはないでしょう。

 より高く飛ばそうと細工したのではと疑われてもおかしくない状況ですから、フジテレビには説明義務があるはずです」(同・スタッフ)

 おかしな点は他にもある。フジテレビの文書にある《なお、今回の実験はでんじろう先生の監修のもとに行ったものではございませんでした》という点だ。

「米村でんじろうさん(65)が監修していないとしたら、一体、誰が監修していたのでしょうか? エアバッグの実験を行う際、専門家の視点から安全面の配慮をスタッフに指示したのは誰だったのでしょうか?

 他の専門家に頼んでいたとしても、おかしな話です。でんじろうさんが監修を行うのが番組の看板なのです。

 たとえご本人ではなかったとしても、関係のある方が撮影に立ち会っていないと理屈に合いません。

 こうなると、実はでんじろうさんなどの専門家の監修を受けず、スタッフがこれまでも独断で撮影を行ってきたのではないかという疑惑が浮上します」(同・スタッフ)


■フジテレビの“お詫び”


 ある意味で監修の問題は、斎藤のケガよりも深刻な疑惑だという。

「米村でんじろうさんが監修をしていないことは分かりました。ならば誰が監修していたのか、フジテレビは説明を果たす義務があるはずです」(同・スタッフ)

 東スポWebは10月9日、「トレエン斎藤 ロケで全治3か月骨折 注目されるフジテレビの“おわびの仕方”」を配信した。

 この記事では、斎藤がコメンテーターを務めていた「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系列・2015〜2020)が終了したことに触れている。

《斎藤といえば、フジの情報番組「直撃LIVE グッディ!」でコメンテーターを務めていたが、周知の通り同番組は先月で終了した。

「大けがをさせたし、フジとしては斎藤に何らかの形でおわびしなくてはならないでしょう。特に斎藤が不評だったわけではないし、近いうちにコメンテーターとして起用するのでは?」(芸能プロ関係者)》


■松本人志も負傷


 その「グッディ」だが、例えばカンニング竹山(49)は「バイキングMORE」(フジテレビ系列・平日・11:55)のコメンテーターに“移籍”している。

 東スポは、これから“お詫び”が始まるとしているが、前出のスタッフ氏は、「でんじろうのTHE実験」の出演が一種の“お詫び”だったのではと言う。

「斎藤さんは、こういう実験番組にハマるタイプではありません。おまけに『グッディ』が終わってすぐの出演です。番組終了の補填で出演させたのではないかと思ってしまいます」

 Aolニュースの記事には負傷した事実が明記されていたことは、前に見たとおりだ。そしてフジテレビは、過去にもエアバッグで収録中の事故を引き起こしている。

 1992年、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(1991〜1997)で、松本人志(57)がエアバッグの実験を行っていた際、急に作動して松本の顔面を直撃した。

 全治1週間の擦過傷と大事には至らなかったが、「でんじろうのTHE実験」が、記事や教訓に全く学んでいないことは言うまでもないだろう。

 ちなみに「でんじろうのTHE実験」の視聴率は苦戦中だという。今回の事故が番組の存続議論に与える影響は決して小さくないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月15日 掲載

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