「三浦春馬さん」死去から3カ月 「気付いてあげられなかった」と悔やんでいる方へ

■遺書、ネットの噂について心理学者に聞いてみたところ


 俳優の三浦春馬さんが亡くなってから3カ月という月日が過ぎ去りました。ネットニュースで「三浦春馬死去」の報を目にした時の衝撃は今でも忘れられず、脳裏にべったりとこびりついております。そして今もなお様々な憶測、情報が流れているのですが……。

「長身と美顔」「屈託のない笑顔」「溢れ出る人柄」「卓越した表現力」。どれをとっても完璧な「俳優」「芸能人(芸に対しいかんなく能力を発揮する人物、ゲーノー人ではなく)」だったことに違いありません。

 傍から見れば順風満帆な芸能生活、しかしそれは傍から見ればであって彼の苦悩や苦痛というのは残念ながら誰にも見抜くことは出来なかったが故の終末だったのかもしれません。

「なんで気付いてあげられなかったのか?」「寄り添ってあげなかったのか?」。親しい関係にあった方々は今でも悔やんでいらっしゃるかもしれませんが、私はある心理学者の方から「自殺」に関してこんなことを聞きました。

「精神科医でも精神的病いを抱えている方の自殺を止められない場合は多々あります」

「もちろん、そのことに悩まれる医師の方もいらっしゃいますが、どうしても止められないことに関しては落胆こそすれど、他の患者さんへの影響を考えて平静を装うのも彼らの仕事であるわけです、ご理解いただけますよね?」

「そして自殺者の心理的側面を考えますと、例えば我々は高速で回っている飛行機のプロペラに手を突っ込もうとはしませんよね? プロペラどころか換気扇にだって扇風機にだってそんなことは出来ないと思いますし、想像しただけで血の気が引くと思います」

■精神状態が乖離している


「しかし、自殺者はそんなことをも厭わずに、手が突っ込めるような精神状態に陥っているのでは? と私は思っております」

「現にこのたとえをある自殺未遂者に投げかけたところ、『それくらい麻痺していて平常の感覚はなかった』と答えた方が多くいました。なので、残された方々が悲痛を感じ悔やんでしまうことはあると思うのですが、決して自身に落ち度があったのでは? などと思わないで欲しいのです」

「残酷に言い切ってしまえば、自殺を選んだ人と普通に生きている人(残された周りの人々)では、精神状態が相容れないほど、乖離しているので」

 これは思ってもみない言葉でありましたし、思いもつかない発想でありました。

 そして他方でこの3ヶ月の間に様々な憶測がなされ、中には他殺説や陰謀論などもまことしやかに語られていることが大変気になります。

 まずは遺書に関するもの……。

 当初は「遺書が発見された」との報道があり、続いて「遺書のような言葉が書かれたノートがあった」に変わり、事務所の公式見解では「遺書はなかった」とされました。

 そして、マネージャーが発見時にはまだ息があったとの話も(これもうやむやになっています)。さらに火葬があまりにも早かったので「他殺を隠蔽するためにそうしたのでは?」といった憶測もされました。

 もちろん、どんなことにおいても言えることですが、報じられていることは全てではないものの、釈然としないものが残ったのは事実です。


■「遺書を書かないのはそんなに珍しいことではありません」


 この遺書についてですが、前出の心理学者の方に伺ったところ、

「遺書を書かないのはそんなに珍しいことではありません。幾日も苦悩し思い詰めて自死を選ぶ場合もありますし、衝動的に自らの命を絶つ場合もありますし、これに関しては様々なケースがあります。日本はとかく自殺と遺書の存在を当たり前のように結びつけて考えますが、それはあくまでも先入観に他なりません」との答えが返ってきました。

 さらに彼の死後語られた様々な事例を他殺もしくは不審死と結びつける、ファンの方々や世間一般の皆さんの心理状況についても、

「真相のほどは断定できませんし警察発表が真実であると仮定した場合での意見になりますが、『彼が自殺なんかするわけがない、嘘であって欲しい』という願望から様々な意見がなされていると感じます」

と言います。さらに、

「その後に亡くなった俳優や女優の方々と彼の死を結びつけることは大変乱暴な論だと思います。そして私個人の意見としては、そんなことをしてどうなるのか、誰かが救われるのかとも思いますね」

「確かに接点はあったようですし、なんらかの影響はあったのかもしれませんが、それとこれとが直結しているように考えることは故人に対しても大変失礼だと思います」


■個人の苦悩であったり問題であったり…


「著名人の死、特に自死に関しましては常にこういった論調になりますし、そういった書籍が多数出版されてきたことも存じていますが、思っているほどその真相は複雑なものではなく、あくまでも個人の苦悩であったり問題であったりすることが多いとも思っております」とのご意見も頂きました。

 ファンの方からしたら全く納得のいかない死であることは理解出来ますし、特別ファンであったとは言えない私でも、彼が存在しない芸能界に対しての大きな喪失感や悲しみはあります。

 しかし、今後その死に対して無闇な追及をすることを三浦さんが望んでいるかと、今一度胸に手を当てて考えることも必要ではないでしょうか?

 彼が過去に携わってきた作品に触れ様々な感情を抱くことが、残された者が出来る供養であると思います。

 私個人としましては、かつて某テレビ局のメイクルームで鏡越しに見ました三浦春馬さんの涼しくも美しい目が忘れられません。

 改めまして、合掌。

徳光正行(とくみつ・まさゆき)
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男〜三沢光晴という人〜』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。4月27日には岩井志麻子氏との共著『凶鳴怪談』を出版。現在YouTube「徳光ちゃんねる」でも活躍中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月25日 掲載

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