「相棒」に良き変化が! 「水谷豊」のコスプレと女たちの躍動

 テレ朝の長老シリーズドラマは2次創作しやすいという特性がある。「相棒」にしろ「科捜研の女」にしろ、パロディや恋愛モノ(BL含む)に調理しやすいのだ。「特捜9」と「刑事7人」はジャニーズに占領されて想像が膨らまないし、「警視庁捜査一課長」はそもそもがコメディ。やはり、20年続く人気シリーズにはよほどの愛と敬意をもって接しなければ。出演者も制作側も視聴者も高齢化しとる作品には、傾聴の精神が必須。

 個人的には「科捜研の女」は不変を貫けばいいと思っている。変わらない、変わるはずもない、変わりようがない沢口靖子が、80歳になっても現場に駆けつけて、執拗に鑑定し続けてほしい。

 一方、「相棒」はアップデートの余地がふんだんにある。扱う事件やトリックにはそれなりに社会問題を盛り込んでいるし(巨悪は捕まらないけれど)、相方もよきリレーで交代、新風も吹いている。願いはふたつ。

 まず「軽妙な水谷豊が観たい」。「熱中時代」「事件記者チャボ!」を観て育った私としては、軽くてノリノリの水谷が懐かしい。が、変化の兆しはあるようだ。

 シーズン18ではキュートなパジャマ姿でラリったし(幻覚キノコで)、今回はVRゲーム映像の中で謎の扮装(派手な裃、正月の海老一染太郎のよう)、とコスプレでたびたび登場。軽妙ではないが、威厳を削ぎ落し始めたのはよきことかな。

 もうひとつ、警視庁は女性をもっと活用すべきである。警視正として仲間由紀恵が孤軍奮闘しているけれど、仲間にも女の仲間を!

 と思っていたら、今シーズンでは、元白バイ隊員の篠原ゆき子が捜査一課に配属され、レギュラーになるという。拍手喝采。初回何者かに銃撃されるという衝撃のシーン、そして捜査一課に配属され、伊丹&芹沢コンビ(やせた気がする川原和久と、妙に性格悪くなった山中崇史)にいびられるも、負けず・挫けず・懐柔されず。篠原は小柄だが手足が長くて、白バイ隊員というのも妙に説得力がある。実力派の篠原を投入したところも高く評価したい。

 そして、仲間率いる警視庁の女性陣が「KGB(警視庁ガールズボム)」っつうダサい名前で、庁内の抵抗勢力呼ばわりされていたが、仲間はもっと大局観だ。「傷モノになった人材をやんわり排除しようとする、うちの伝統にモノ申したかったの。女だの男だのじゃなくて」と一笑に付す。いいね! 女たちの相棒。

 ま、外濠には女性のレギュラー陣もいるっちゃいる。議員→尼→武器商人の片棒担ぐ木村佳乃とか、オヤジ転がしの3代目女将・森口瑤子。元芸者というか政治ゴロだね。そして、ヤクザの娘でタダじゃ転ばぬ週刊誌記者の芦名星。心底惜しい。女たちの相棒を盛り上げてくれるはずだったのに。

 つうことで、意外と願いは成就。特命を毛嫌いする片桐竜次、小物感炸裂の小野了、特命係と動物を愛してやまない山西惇、ますます態度がデカくなる浅利陽介あたりはどうぞそのまま。

 そうそう、セクシーノーネクタイの反町隆史は安住の地を得てひとまず安心ね。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2020年11月5日号 掲載

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