「Superfly」「あいみょん」紅白で輝いた本物の歌手たち 「氷川きよし」は魅力的だけどカメラワークは残念

 大晦日、珍しく友人S氏が来訪。夫と3人で過ごした。56歳・55歳・48歳で観る紅白歌合戦は意外と楽しかった。初老も3人寄れば文殊の知恵、豆知識も情報も悪口も3倍に(主に私ね)。全体的に坂と横文字名が増え、読み間違いのないゆずと純烈と嵐は初老に優しい。

 反射素材の服が眩しいアイドルは毎年ここで所属チームを確認するが、明日には忘れる。坂系アイドルは全員同じ顔。つうかまた増えた? 初出場BABYMETAL、全世界的にロリコン傾向と知って愕然。歌はうまいし、顔も可愛いが歌詞がダサくて悶絶。NiziUに興奮する大人に「世も末」とつぶやく。Perfumeのチャカポコテクノは好きだが、20周年はもはや中年の域としみじみ。

 水森かおりは定番の巨大衣装で顔がほぼ映らず、未だに顔が覚えられぬ。「藤山直美似のけん玉の人」と覚えているのは三山ひろし。あのギネス挑戦、失敗した人の気持ちになるので精神衛生上よくない。坂本冬美の歌、桑田佳祐が作ったそうだが、珍しく知性を感じない変な歌。バカボンか。五木ひろしはソロで歌えてよかったね。毎年アイドルと抱き合わせにされて「スナックに来た社長接待」みたいな絵だったから。石川さゆりとMISIAは歌唱力も後頭部も年々高くなり、地球外生命体へと近づいとる。

 変わり果てるのも怖いが、あまりに変わらないのも怖い。40年不変の鈴木雅之に驚愕。シャネルズにラッツ&スター、子供の頃に観た姿そのまんま。アンドロイドか。郷ひろみと松田聖子の不変は技術の結晶で、自然な不自然だから脳が納得。

 GReeeeNが出るって聞いたけど「龍が如く」じゃね? YOSHIKIとGACKTは同じ枠(謎の人脈と資金源)という認識で一致。椎名林檎はどんどん外れてゆく感じがする、いろいろな意味で。ロケ地で感心したのは角川武蔵野ミュージアム。角川の本がこれみよがしにズラリ。そういえば新潮社にもラカグってハコがあったけれど、あれどうなりましたっけ?

 そして司会の二階堂ふみ。過去のぼんやりした女優たちとは格が違う。歌は歌うし、仕切りは冷静、ジャンプスーツは可愛いし。その完璧さが大泉洋を道化に追い詰める。ドーピングしたような感動上戸でバランスをとった大泉のお陰でウッチャンは相当楽だったはず。

 さて本題。歌合戦に必須の本物の歌手。miletの歌声は稀少で素敵。Official髭男dismは思わず唸る歌詞と優雅なメロディ。寅さんスーツのあいみょんに、うっとり聴き惚れたSuperflyの歌声。なぜヒットしたのか理解できない単調で幼稚な歌詞の歌と比べたら、ねえ。あれ、日本のマジョリティであるヤンキーウケするからという結論に。ドルガバもそういう象徴だしねぇ。

 私の最大の関心事は、きーちゃんこと氷川きよしだ。数年前まで死んだ魚の目で男装していた彼が自分を取り戻し始めた(二階堂と歌ったが、きーちゃんのほうがプリンセスな)。今回の衣装はジェンダー的にかなり攻めたが、NHKのカメラワーク(と思惑)がひどくて、彼の魅力と本懐がイマイチ映し出されずで舌打ち。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2021年1月14日号 掲載

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