「GACKT」愛犬里親騒動 動物愛護家の杉本彩さんは「犬の気持ちを考えてほしい」

GACKTが自分の愛犬を知人にプレゼントし炎上 杉本彩は「犬の気持ちを考えて」と指摘

記事まとめ

  • 飼い犬と死別した知人夫妻に対し、GACKTが自分の愛犬をプレゼントする動画を投稿した
  • GACKTは美談として動画を作成したのかもしれないが、Twitter上では批判で溢れている
  • 杉本彩は「我が子をいきなり他人にあげないですよね。ペットも同じです」と指摘した

「GACKT」愛犬里親騒動 動物愛護家の杉本彩さんは「犬の気持ちを考えてほしい」

 GACKT(47)のYouTube動画が炎上している。2月10日にアップされた問題の動画は、飼い犬との死別に苦しむ知人夫妻に立ち直ってもらおうと、GACKTが自分の愛犬をプレゼントする企画だった。だが、ペットを飼った経験がない人でも、彼の行動に疑問を覚えるに違いない。“愛犬はプレゼントするものなのか?”。当然、ネット上でも「ペットはモノじゃない」と批判が殺到する騒ぎとなった。この騒動を、動物愛護家として知られる女優の杉本彩さん(52)はどう見たか――。

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■「GACKTから無理やり犬をもらったら、断れない」


 杉本さんの話に入る前に、まずは動画の内容を紹介しよう。

 動画は、2020年冬、大阪に来たというGACKTが車に乗っている場面から始まる。車中で彼が抱えているのは、飼い初めて5カ月経つという愛犬・フェンディだ。

「今日はですね、先日、僕のポーカーの師匠が悲しい顔して告白してきたんですが、十何年飼っていた愛犬が亡くなったそうで、奥さんが相当落ち込んでしまったそうなんですね。じゃあ、“新しい犬は飼わないんですか”と聞いたら、奥さんまだ立ち直っていないという話だったんですね」

 愛犬をあやしながらこう語り出すGACKT。「デイリー新潮」でも度々記事にしてきたが、GACKTは芸能界きってのポーカー好きで知られる。腕はプロ並みとされ、AbemaTVで「GACKTプロデュース!POKER×POKER〜業界タイマントーナメント」という冠番組を持っていたほどだ。彼の師匠である知人男性は同番組にも出演したことがあるほど親しい仲なのだが、ペットロスに苦しむ夫妻のために、GACKTは良いことを思いついたと明かすのである。

「GACKTから無理やり犬をもらったら……。だったら断れないし、立ち直るきっかけにならないか」

 知人が「嬉しい」と了承したので、大阪まで引き渡しにやってきたというのだ。

「もちろん、(愛犬と別れることは)寂しいって気持ちもあるんですが、かわいがってもらえればと。僕にとって大切な師匠なので、また新しい生活が始まってくれたら良いなという想いで……」

■美談に仕立てられた8分間の動画


 こう前振りを終え、知人宅へと車を走らせていくGACKT。知人の妻はGACKTの来訪を一切知らされていない。まず、突然、有名芸能人が自宅に訪ねてきたことに驚いた妻だったが、彼女をもっと驚かせたのは彼が抱えていたフェンディであった。愛犬を失ったばかりとあって、犬を目にしただけで落涙してしまう妻にGACKTは、

「元気になってもらいたいと思って、サプライズで連れてきました」

 と、フェンディを手渡す。続けて、泣き崩れる妻に優しくこう諭した。

「僕も犬を今までたくさん飼ってきて、失った辛さをよくわかるんで、また新しいパートナーとともに前に進んでください。これから、この子をよろしくお願いします」

 嗚咽をあげながら、何度もうなずく妻。やがて、GACKTはフェンディに「またね、元気でね」と別れを告げた。突然、見知らぬ家に置いていかれたフェンディは動揺した様子だ。だが、GACKTは毅然と踵を返す。そして再び車中に戻り、こう語るのだった。

「さすがに、この数ヶ月一緒にいたから寂しいね。お別れの時、泣きそうになってしまった。でも、奥さんがあれだけ喜んでくれたから辛いんだよね。少しでも元気になってくれたらいいよね」

 物悲しい旋律のBGMが響き渡るなか、こうして約8分間の動画は幕を降ろすのである。

■動画には2万7000件の低評価がついた


 本人は美談としてこの動画を作成したつもりなのかもしれない。だが、世間の反応は正反対だった。

〈自分の子供を他人にあげるようなもの。ペットを飼う資格なし〉
〈犬にも心があることがわかっているのか〉

 Twitter上はこのような批判で溢れ、2月15日21時現在、動画には2万7000件もの低評価がついている。

 果たして動物愛護の専門家はこの動画をどう見ただろうか。「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」理事長で、熱心な動物愛護活動家として知られる杉本さんに取材を申し込むと、「ペット問題を考えるきっかけになれば」と応じてくれた。

 杉本さんは、動画を観た感想をまずこう語った。

「バッド評価が多かったことに、ほっとしました。もし“いいね”評価が多かったら、世の中まだまだ動物たちの命の大切さにご理解いただけていないんだ、と悲しい気持ちになったと思います」

 杉本さんは20歳の頃から、芸能活動のかたわら、ボランティアで捨て猫や飼い主のいない猫の保護や里親探しをしてきたという。

「この活動をしていると、犬や猫と暮らすことについて、価値観の違いや温度差を感じます。あの動画だけではGACKTさんが愛犬に対してどのような思いを持っていたかはわかりませんが、少なくとも私にとって動物たちは我が子と同じような存在なので、GACKTさんの取った行動は理解し難いと思いました。ペットを飼っていない人でも、我が子をいきなり他人にあげないですよね。ペットも同じです」


■コロナ禍で安易にペットを購入するケースが多発している


 そして、飼い主たちの間にあるこの温度差こそが、ペットを捨てる行為が世にはびこり、行政による殺処分がなくならない温床だと強調する。

「自分が癒されたいとか、かわいい動物と楽しく暮らしたいという人間の都合だけでペットを迎え入れている方が、悲しいけれど数多くいらっしゃる現状があります。特にこのコロナ禍で、家にいる時間が長くなって、自分目線の気持ちで安易に衝動買いしてしまうケースが多発しています。そして、思っていたのと全然違ったとか、テレワークが終わって普段の生活に戻ったから、などと言って、無責任にも保健所に持っていってしまうのです」

 ペットを飼う際には、生涯を責任持って看取る覚悟がなければならないと訴える。

「里親活動をしている動物保護団体は、一生かけて責任をまっとうしてくださいという誓約書にサインしない里親には引き渡しません。ペットを飼う人には、そのくらいの覚悟が求められて当然なのです」

 動物を大事にすることは、人間社会を向上していくためにも必要だというのが杉本さんの信念だ。

「動物は言葉が喋れないし、人間の管理下にもあり、社会的に弱い存在です。でも、当然、動物にだって感情があります。あの動画のように突然、知らない人の家に置いていかれたら、誰だって不安になりますよね。もし愛犬がGACKTさんを心の底から慕っていたとしたら、どれだけ寂しい思いをしたでしょうか。

人間社会でも弱い立場の人もいれば強い立場の人もいます。動物の気持ちを軽んじ、動物の福祉をおろそかにしてしまう社会では、弱い立場の人間も同じように虐げられかねない。人間の福祉も動物の福祉も同じだと考えられてこそ、成熟した社会と言えるのではないでしょうか」


■ペットロスは代わりの動物で解決するものではない


 杉本さんは「ペットロス」という観点からも、GACKTの行動を疑問視する。杉本氏自身、これまで13頭の犬・猫との悲しい別れを乗り越えてきたが、

「心の寂しさをすぐに別の動物で埋められるなんてことは、絶対にありません。ペットロスの重さはそれぞれ違うとは思いますが、本当に辛い人は仕事もできなくなっちゃうくらいです」

 今でも32歳の頃に経験した、愛猫「エルザ」との別れは忘れ得ないという。

「体調の変化に気づいて病院に連れていった時には、心臓の病気はかなり進行していました。入院中に獣医師に呼ばれて行ってみると、さらに悪化していて……。そこで私は慌てて大学病院に転院させたのですが、その日のうちに亡くなってしまった。もっと早く気づいていれば、病院を慎重に選んでいれば……、いろんな後悔が湧いてきて、悲しいだけでなく苦しかった。時間では解決しないんじゃないかと思ったくらい、一向に自分が回復していかないのです」

 ちょうど「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」(日本テレビ)というバラエティ番組の企画で、社交ダンスの試合に出場する前だったが、

「オーダーメイドで仕立てたダンス衣装のウエストが10センチほどゆるくなってしまいました。そのくらい本当に何も食べられなくなって。友人に強引に喫茶店に連れ出され、“何か食べろ”とオムライスを無理やり口の中に突っ込まれたくらいです。あの時、もし友人が“この子を代わりにして”って別の犬を連れてきたとしても、私のペットロスは回復しなかったと思います。ペットロスというのは人によっては、そのくらい辛い出来事なのです。中には、もう二度とこんな悲しい思いをしたくないからペットは飼いたくないと考える人もいるほどなので」

 確かにGACKTの動画からは、杉本さんが言うような飼い主としての“覚悟”がまったく伝わってこなかった。ペットの殺処分問題などが社会問題化している中で、安易な動画を配信したとの謗りは免れないだろう。ただ、知人夫妻には何の落ち度もないことだ。夫妻からすれば、友人の思いを受け取ったからこそ、里親になることを決意したのだろう。

 フェンディが新しい飼い主に新たな家族として迎え入れられ、生涯、愛され続けていくことを願ってやまない。

デイリー新潮取材班

2021年2月16日 掲載

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