綾野剛で“月10”ドラマ、久代萌美アナの人事、大逆転狙う「フジテレビ改革」の全貌

綾野剛

■「世界一有名な局にします」

 7月1日付でネットワーク局へ異動したフジテレビ元アナウンサーの久代萌美。異動が報じられた日、SNSのストーリー機能で冒頭のような投稿をし、話題を集めた。

「今回、■久代さんを含めて6人のアナウンサーが他部署へと異動することになりました。ここまで大胆な人事は記憶にないですね」(フジテレビ関係者)

 スポーツ実況に定評のあった小穴浩司アナは広報局。29歳の若手・大村晟アナはスポーツ局へ。注目すべきは、女性アナたちの異動先だろう。

「アナウンス室長を務めていた佐藤里佳さんは、各局が力を入れるCSR(企業の社会的責任)・SDGs(持続可能な開発目標)推進室。また森本さやかさんは出世コースともいえる人事部です。局内でも話題になっているのは、■報道局FNNプロデュース部に異動した藤村さおりさん。報道局への異動は栄転といわれているうえ、部長待遇へと昇進しているので、上層部からの期待が伝わってきます」(広告代理店関係者)

■アナ職からの異動は左遷ではない

 テレビ局内の事情にも詳しい、テレビ解説者の木村隆志さんもこう語る。

「これまでは宣伝や営業など、知名度を活かした部署に行く機会が多かったのですが、今回の人事を見ると、異動先が広がった印象を受けました。■フジテレビは特に女性役員の割合が少ないといわれている中で、女性の役職者を増やしたり、アナウンサーの知名度やスキルの高さを活用していこうという動きがあります」

久代萌美、藤村さおり

 局の花形とも見られるアナウンサーから裏方に回るのは、視聴者からすると左遷のようにも感じるが、近年は事情が異なるようだ。

「■会社員にもかかわらず私生活までマスコミなどに追われるアナウンサーを志望する学生は年々減っていて、優秀な学生ほど報道部やコンテンツ事業部などの部署を希望する傾向があります。

 またコロナ禍の影響で広告収入が減っているテレビ局は、放送事業以外でいかに利益を出せるかが課題になっている。人材を見極めて採用する人事部やSDGs推進室などのような新部署に、実力派のアナウンサーを投入したところから見ても、フジテレビの本気度が伝わってきます」(前出・広告代理店関係者)

 フジテレビの改革は、番組編成にも表れ始めている。

「■火曜日の夜9時から放送されているカンテレ制作のドラマ枠が、今秋から月曜の夜10時に移動することに。第1弾の作品は綾野剛さん主演の刑事モノだと聞いています。TBS系『MIU404』での刑事役も好評だっただけに、ヒットが期待できるのでは」(芸能プロ関係者)

 現在、月曜夜10時から放送されている所ジョージの冠番組『新説!所JAPAN』もカンテレが制作。一部報道によると、同番組の終了も噂されているが……。

「所さんの番組も好評なだけに、放送枠だけを入れ替える方向で調整しているそうです」(関西テレビ関係者)

 カンテレにドラマ枠の移動について聞くも、

「編成に関してはお答えできません」

 とのことだった。フジの看板ドラマ枠“月9”もあるだけに、放送枠を移動すれば2時間続けてドラマ……ということになるが、それこそがフジテレビの狙いだという。

■コロナ禍で動画配信サービスが好調

「■新型コロナの影響でおうち時間が増えたこともあり、各局動画配信サービスが好調なんです。その中でもドル箱なのがドラマ。テレビはリアルタイムで視聴する若者が減っているため、視聴率こそ苦戦する作品が多いものの、■サブスクリプション(定額サービス)が定着したこともあり、面白い作品であればお金を払うことに抵抗がない人も増えています。

 カンテレのドラマは全体的に評価が高いわりに、視聴率はそれほどよくない。そこで枠を移動させることで、数字のいい月9の流れに乗ろうと考えたようですね」(テレビ誌編集者)

 どうやら、他局の編成も関係しているようだ。

「月曜の夜10時は、これまでテレビ東京の『ドラマBiz』が放送されていたのですが、昨年6月に終了。ドラマ枠を1時間ズラし、『ドラマプレミア23』として再出発しました。民放でドラマがかぶらないことも大きいみたいですね」(同・テレビ誌編集者)

 しかしこの移動で割を食ってしまいそうな局も。

「NHKはこれまで土曜の夜11時30分から放送していた『よるドラ』を、今春から月曜日の夜10時45分に移動させたばかりなんです。フジの『月10』、テレ東の『プレミア23』ともに放送時間帯がかぶってしまうため、NHKドラマへの影響は避けられないのでは」(NHK関係者)

■リスクを回避したカンテレ

 今春は『大豆田とわ子と三人の元夫』、夏ドラマは『彼女はキレイだった』とラブコメが続くカンテレ制作ドラマ。移動第1弾が刑事モノになる理由を、前出の木村さんはこう分析する。

『大豆田』はSNSでトレンド入りするなど話題に(上)。『かのキレ』は同名の韓国ドラマをリメークしたラブコメ作品

「最初は■『月10』というドラマ枠を知ってもらわないといけないので、カンテレとしても『月9』からの流れで見てもらいやすいよう、手堅い刑事モノにしたのでは。ドラマを見る視聴者層がいないところで始めるのはリスクが高いので、カンテレにしては無難だなという印象はありますが、しかたないでしょう」

 今年に入り、月9では職業ドラマが続いているだけに、同じ路線で始めるのは確かに手堅いかも!? 人事や編成など、フジテレビが大胆な改革を行った理由はほかにも。

「かつて視聴率トップを争っていたフジですが、2015年には民放最下位に転落。以降、最下位争いが定位置に。2021年度のフジテレビ単体の売上高は前年度比14・9%減と、キー局で最も落ち込みが激しいこともあり、そうとう危機感を持っているようですね」(前出・広告代理店関係者)

 木村さんはフジテレビの動きにこう期待を寄せる。

「■20代のディレクターが積極的に企画を出して活躍するなど、若い世代を活用するために管理職の人たちも人事を考え直したのでしょう。フジテレビの大幅な動きはプラスになると思いますし、その象徴という意味でも、アナウンサーに今後、ほかの他部署で活躍してほしいという期待を感じます」

 フジの改革は吉と出るか!?

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