斎藤佑樹が引退でマスコミ争奪戦も、ハンカチ王子が目指す「恩返しビジネス」

引退発表から数日後の斎藤佑樹

■「“身体が疲弊している”“もうやり尽くしました”という連絡をもらいました。長年ケガに苦しんでいる様子を知っていたので、私は“ご苦労さん”とだけ声をかけました」

 10月1日、北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手が今季限りで引退することを発表した。早稲田大学時代に監督として斎藤を指導した應武篤良氏は、『週刊女性』の取材に対し、どこか寂しげに教え子との会話を振り返った。

■マスコミからの熱視線

「3日には2軍のイースタン・リーグで登板があり、鎌ケ谷スタジアムには1500人近いファンが集まりました。人気は衰えておらず、17日に札幌ドームで行われる引退セレモニーのチケットは、すでに完売しています」(スポーツ紙記者)

 日本ハムに入団して11年、ついにマウンドを降りる。斎藤の名が全国に広まったのは、高校時代のことだった。

「'06年夏の甲子園に早稲田実業のエースとして出場。投球の合間にハンカチで顔の汗を拭く姿が華麗で、“ハンカチ王子”と呼ばれて社会現象になりました。決勝の相手は田中将大投手を擁する駒大苫小牧。延長15回で決着がつかず、翌日の再試合でも先発して計24回を投げ切り、完投勝利しました」(同・スポーツ紙記者)

 卒業後は早稲田大学に進学し、'10年度のドラフトでは4球団から指名を受けて日本ハムに入団した。

「1年目は6勝、2年目は5勝とまずまずの出来。しかし、肩を故障してから成績は低迷します。1軍のマウンドは'19年シーズンが最後になりました。プロ11年間で15勝26敗という成績です」(同・スポーツ紙記者)

 思うような成果を挙げることはできなかったが、今も知名度は抜群。■引退後に向けて、マスコミ業界では早くも争奪戦が始まっているという。

『熱闘甲子園』を放送するテレビ朝日が、斎藤に熱視線を向けているという

■「テレビ局はみんな欲しがっていると思いますよ。特にテレビ朝日は熱心だと聞きます。日本ハム監督の栗山英樹さんが解説者を務めていた『報道ステーション』や、高校球児に密着する『熱闘甲子園』もあって、斎藤さんが活躍できそうな場が多いんです。

■ 日本テレビやフジテレビがアプローチしているといううわさもありますね。大手芸能プロダクションも興味を持っているようです」(テレビ局関係者)

 とはいえ、周囲の期待どおりに解説者の道を選ぶとは限らない。本人は■「ファイターズだったり、今まで育ててくれた環境に恩返しをしたい」と語っていて、球団に残ることも考えられる。スポーツライターの飯山満氏は、斎藤の指導者としての資質に着目。

■スポーツ界をリードする存在に

■「スタッフや関係者からは、斎藤選手の地頭のよさを称賛する声を聞きますね。2軍生活が長かったぶん、選手と同じ目線に立てるので、育成コーチの仕事は向いているといえます。日本ハムの吉村浩GMは“経営学を学べば、将来いいスタッフになる”とも評価していたみたいですよ」

 しばらく時間をおいてから進路を決めてもいい。

「引退後、筑波大学大学院に入学した工藤公康さんのように、もう一度スポーツについて勉強してから、指導者などの道に進むのも選択肢の1つ。斎藤選手の経験を考えると、高校野球の監督のほうが合っている可能性もあります。地元の群馬県に帰って高校生を指導したら、面白いチームができそうですね」(飯山氏)

 斎藤が小学生時代に所属していた野球チーム『生品リトルチャンピオンズ』元監督の豊田裕氏も、地元へのカムバックを期待する。

「指導者や解説者として、プロ・高校野球界で活躍する姿も、もちろん楽しみです。ただ、やっぱり地元の少年野球チームでは“偉大なる大先輩”。プロ野球OBの人たちによる少年野球指導会というものもありますから、引退後はそういった会にもぜひ参加してほしいなと期待しています。もしそれが実現すれば、希望者が殺到するでしょう」

 アスリートのセカンドキャリアに詳しい法政大学・田中研之輔教授は、斎藤の持つ可能性についてこう語る。

■「斎藤選手ほどの知名度があれば、解説者やキャスターとしてメディアに出て、キャリアを築くことも可能でしょう。また、プロ野球界は資本が潤沢なので、指導者やスタッフでも家族を養うことができるでしょう。

■ しかしほかのスポーツでは、アスリートのセカンドキャリアに関するサポート環境が充実しているとはいえません。斎藤選手が野球界からあえて離れて新たなチャレンジに取り組むことで、セカンドキャリアに苦しむアスリートのお手本となり、スポーツ界をリードする存在にもなりえます」

■斎藤ならではのセカンドキャリア

 田中教授の言葉を裏付けるかのように、'07年の『サンデー毎日』で、高校時代の斎藤はこんな構想を語っていた。

■《将来は野球以外のことに携わりたいと思っているんです。スポーツ分野を究めるより、野球以外のこともやってみたい。いろんな方面で活躍できる能力をつけたいんです》

 しかし、大学とプロでの長年の野球生活を経て、現在の彼には野球への“恩返し”の気持ちが芽生えているという。

■「周囲には“野球に関するビジネスに携わりたい”と話しているそうですよ。解説者やコメンテーターとしてメディアに出るよりも、もっと直接的に野球界に貢献する方法を模索しているようです」(前出・スポーツ紙記者)

 具体的にはどのような取り組みをしていくのか。

'11年2月、沖縄キャンプで投球練習をする斎藤佑樹

「■野球選手のセカンドキャリアサポートや、ボールパーク経営などを考えているみたいです。ボールパークとは、食事やアトラクションなど多彩なサービスを受けられ、来場者が滞在そのものを楽しめる球場のこと。選手には引退後の安心感を、ファンにはより一層の満足感を提供したいということなんでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)

 斎藤の今後について球団に問い合わせると、

「引退後の進路については、本人に一任しております」

 との回答だった。

 自分を育ててくれた野球界に報いるため、努力を続ける斎藤に対し、前出の應武監督もエールを送る。

■「斎藤は若いころからたくさん苦労して、たくさんの人に助けてもらったぶん、恩返しの気持ちは人一倍強い。いろいろ選択肢はあると思いますが、“ハンカチ王子”ではなく、1人の人間として社会に貢献する“佑ちゃん”を見守ってやってください」

 これからは、スーツからハンカチを取り出す姿が見られるのかもしれない。

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