「日本一純粋な番組」「宇宙に行く感覚に近い」出場者が語る“SASUKE沼”にハマる理由

『SASUKE』ホームページより抜粋。有名芸能人たちも出場する

 今年も12月28日に放送が決定した究極のサバイバルアタック『SASUKE』(TBS系)。'97年に『筋肉番付』のスペシャル企画としてスタートし、今ではすっかり“年末の風物詩”として定着した。

「さまざまな障害物が設置された4つのステージを完全制覇すると、優勝賞金200万円がもらえるというもの。毎回100人が挑戦するスポーツエンターテイメント番組です」(テレビ誌記者)

 番組開始から20年以上、多くの人を引きつける魅力を探るべく、過去に出場した人や関係者たちに話を聞いた。

■「人生でいちばん緊張した」

 ‘18年放送の第36回大会に出場した人気ボートレーサーの下條雄太郎。ファン投票で選出される『SGボートレースオールスター』に6回出場。人気と実力を兼ね備えた長崎を代表するトップレーサーながら、番組には一般応募で参加したという。

■「30歳手前で体力が衰えないよう本格的に筋トレを始めたのですが、トレーニングをするなら明確な目標があったほうがモチベーションになるなと。そこで、小さなころから好きだった『SASUKE』への出場を目指すことにしました」

 運よく1回目の応募で本選に進めた下條。その理由については、番組のコンセプト“100人100職種の名もなき男たちのオリンピック”にあると分析する。

人気ボートレーサーの下條雄太郎

「僕が参加したときは書類選考の後、横浜の緑山スタジオと大阪の2か所で地区予選が行われましたが、警察官や消防士、ガテン系の方が多かったですね。基本的には同じ職種の方は1人しか出さない方針なので、そういう方たちはまず同じ職業内で勝ち抜かないといかない。ボートレーサーで地区予選に来ているのは僕1人だったので、オーディションに合格しやすかったんだと思います」

 簡易版のクワッドステップと太鼓に合わせて行う100回の腕立て伏せの体力審査を無事にクリア。その後に行われた集団面接も見事にパスし、本選に進出。多くのビッグレースを経験してきた下條だが、■「人生でいちばん緊張したかもしれません」と当日を振り返る。

■「ボートレースは6人で戦う競技なので、僕1人に全員の視線が集まることはありません。それにレースは最初でミスをしても何度か挽回できるチャンスはありますが、『SASUKE』は1度ミスした時点で終了。緊張感がハンパなかったですね。SG(ボートレースの最高峰のレース)の優勝戦よりも緊張しました」

 残念ながらファーストステージの5つ目のエリア『ドラゴングライダー』で脱落。その後は本業のスケジュールもあり応募はしていないというが、再挑戦を目指し400万円をかけてパーソナルトレーニングジムの器具をそろえたという。

■「ボートレースのパフォーマンス向上がいちばんの理由ですが、また『SASUKE』に出られたときのために、サードステージにあるクリフハンガー(3センチの突起にぶら下がりながら移動するエリア)は作りました(笑)。本格的に筋トレを始めてからは身体の故障もなくなりましたし、本業のボートにもいい効果が出ていると思います」

■■出場者が語る“魔城ぶり”

 一般出場者はノーギャラなのに加えて地区予選、本選含めて交通費も自己負担。それなのに、トレーニング器具などへの投資をしてまで出場したい理由を聞くと、笑顔でこう答える。

■「子どものころに遊んだアスレチックの延長線上にある競技なので、童心に帰ることができるんですよね。そして1つ1つは簡単そうに見えるけど、すべてをクリアするのは難しい。『筋肉番付』のモンスターボックス(とび箱)などは特殊なトレーニングを積んだ人でないとクリアできないけど、『SASUKE』の場合は頑張ればプロのアスリートでなくてもクリアできるかもと思わせる絶妙さがあります。そんなところが“SASUKE沼”にハマる理由だと思います」

下條雄太郎のパーソナルジムには『SASUKE』にもあるクリフハンガーエリアも作る気合いの入れよう

 同じく、過去に出場経験のあるタレント・Aさんにも話を聞いた。

「僕は運よく2度目で合格することができましたが、タレント枠でオーディションを受けた人でも何回受けたかわからない……というほど、落ち続けている方もたくさんいましたね。旬なタレントの方はわかりませんが、■基本的には知名度よりも身体能力の高さで出場者を選んでいると聞きました」

 オーディション合格後は仕事の合間を縫って筋力トレーニングなどを行ったほか、過去の放送を見てイメージトレーニングに1時間以上費やすなど研究を重ねたというAさん。それでもファーストステージで脱落してしまったという。

■「運動ができる人であれば、何でファーストステージもクリアできないの? と不思議に思うかもしれませんが、“目に見えない罠”がたくさん仕掛けられている魔城でした。

■『SASUKE』は実際に体験しないとわからない難しさがあるので、どんなにすごいアスリートの方でも初挑戦で完全制覇するのはほぼ不可能だと思います。持ち前のフィジカルだけではクリアできないことがわかりましたね」

 再挑戦を目指し、現在もトレーニングを続けているAさん。下條同様、“SASUKE沼”にハマる理由をこう語る。

「SASUKEのようなすごいセットを見ると、みんな“少年時代”に戻って無邪気になるんでしょうね。■先日、ZOZO創業者の前澤友作さんが宇宙に行きましたが、『SASUKE』への挑戦はあれに近い感覚だと思います。可能性はゼロではない。いつか完全制覇という夢が叶えられるかも……と思わせてくれる魅力があるんです」

■「日本でいちばん純粋な番組」

 今年の放送ではフワちゃんや人気ユーチューバーのHIKAKIN、『Snow Man』の岩本照など有名タレントも出演。過去に所属タレントが出演した芸能プロ関係者によると「有名人枠だとギャラが出る」のだそう。

■「通常のギャラよりは安いですね。でも出演するタレントは“ノーギャラでも出たい”という人ばかりなので、ギャラの金額を気にする人はいないと思います。一般参加者と同じように事前に体力テストが行われます」

 ジャニーズ所属の人気アイドルなども出演するが、一般参加者・有名タレントに関わらず、放送される時間は結果がすべて。

「出演する際に■“ファーストステージで脱落した場合は全カットの可能性もあります”と言われました。実際、うちのタレントは早い段階で脱落したのでナレーションベースで処理され、数秒ほどしか放送されませんでしたね(苦笑)。

エリア内は撮影禁止。唯一設置されていたフォトスポットで記念撮影した下條雄太郎

 現場ではジャニーズの方や人気芸人でも1人のチャレンジャー扱い。A.B.C-Zの塚田僚一さんはマネージャーをつけずに一般参加者の挑戦を見学したり、意見交換をしていたのが印象的でした」(同・芸能プロ関係者)

 これまで多くの番組の収録に立ち会ってきたというが、■「日本でいちばん純粋な番組では」と絶賛する。

■「収録現場では有名タレントよりも、番組のレジェンドたちのほうがスター扱い(笑)。一般参加者もタレントも関係なく、お互いアドバイスをしあっていますし、すごいパフォーマンスをした人にはみんなが拍手を送る。

■『SASUKE』をクリアするという1つの目標に向かって、性別や職種に関係なくみんなが真剣に取り組んでいます。素晴らしい番組を作りたいというスタッフの熱意を含めて、日本一純粋な番組だと思います」(同・芸能プロ関係者)

今年も“名もなきアスリートたち”が、年末の日本を熱くする――。

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