「ドラマの“お父さん”誰が好き?」田村正和さん作品多数ランクインも、1位は名言続出のシンパパ

(左上から)田中邦衛さん、田村正和さん、西田敏行、内野聖陽、陣内孝則、ムロツヨシ

■「いまの家庭に昔ほど昭和的なお父さんも減っていると思いますが、その“生き残り”といいますか〜」

 と、主演を務める吉田鋼太郎が話す、ドラマ『おいハンサム!!』(東海テレビ・フジテレビ系 土曜日23時40分〜)が1月8日からスタートする。

 昨今、見かけなくなった“ザ・昭和”ながんこ親父を吉田が演じる。

 振り返ればドラマ史には視聴者のハートをわしづかみにした父親が少なくない。そこで今回、全国40歳以上の女性800人を対象に「ドラマに登場する父親の中で、理想のキャラクターと思う人は誰ですか?」というアンケートを実施。

 あなたの“理想の父親”は入っている!?

◆ ◆ ◆

■“親父”といえばこのふたり

■ドラマキャラ 理想の父親ランキング<1〜5位>

ドラマキャラ 理想の父親ランキング(1〜5位)

■<第1位>『北の国から』 黒板五郎(田中邦衛さん)■ 140票
<第2位>『パパはニュースキャスター』 鏡竜太郎(田村正和さん)■ 133票
<第3位>『池中玄太80キロ』 池中玄太(西田敏行)■ 127票
<第4位>『おかえりモネ』 永浦耕治(内野聖陽)■ 104票
<第5位>『1リットルの涙』 池内瑞生(陣内孝則)■ 88票
(票は複数回答)

温厚だが、がんこ者の五郎。ヘソを曲げると、手がつけられない一面も

 第1位は、■『北の国から』(フジテレビ系'81年〜)の■黒板五郎(故・田中邦衛さん)。

■「純や蛍にはもちろん、周囲の人に対する温かい心の持ち主だと思います」(鳥取県63歳 専業主婦)

■「不器用だけど明るくて、子どもを見つめるときの優しい眼差しが好き」(富山県73歳 専業主婦)
           
 といった声が寄せられたように、名優の田中さん演じる不器用だけど優しさにあふれた父親の姿は、今なお多くの人の心に残っていることを証明した。

 20年近く放送された長編ドラマだとしても、■「やるなら今しかねえ」、「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!」など数多くの名言を残した父親は、彼をおいてほかにはいない。

 そして、第2位も昭和ドラマの父親がランクイン。■『パパはニュースキャスター』(TBS系'87年)の■鏡竜太郎(故・田村正和さん)に支持が集まった。

■「クールでシャイだけど娘思いの気持ちが見えるから」(神奈川県48歳 パート)

■「カッコよくて、とってもモテるタイプだと思うけど、面白い部分があって娘を溺愛しているところが好き」(広島県58歳 専業主婦)

ありし日の田村正和さん

 単純に「父親が田村正和さんみたいな顔だったら」という票だけではなく、時折見せる激烈なまでの家族への愛情も人気の要因のひとつ。ドラマウォッチャー&コラムニストの吉田潮さんも、

「鏡竜太郎以外にも、第8位の『パパとなっちゃん』(TBS系'91年)で田村さんが演じた志村五郎は、とにかく怒鳴ったり、娘とケンカしたりすることが多いけど、見せ方がうまかったですよね。

 ■子どもの幼少期から嫁ぐまでのシーンを毎回順に見せていくなど、田村正和さんの感情が伝わるようなドラマだった」

 と評する。

西田敏行

■好きと嫌いは表裏一体

 続く、第3位は■『池中玄太80キロ』(日本テレビ系'80年〜)。西田敏行が演じた■池中玄太に対しては、

■「再婚相手の連れ子にもあれだけ親身に接してくれる人なら、自分の子どもに対してはなおさらだと思います」(岡山県66歳 パート)

■「子どもと同じ目線でいて、包み込む優しさがあった」(愛知県65歳 専業主婦)

 と、人間味のある父親像に共感の声が多数。こうしてみると、昭和の父親強し! という気もするが、実は今回のアンケート、「逆にこんな父親はイヤだというキャラクターは誰?」とも聞いている。

 そのワンツーフィニッシュを飾ったのが、なんと『北の国から』の黒板五郎&『池中玄太80キロ』の池中玄太。

 五郎には、

■「自分の勝手な考えで田舎に連れていかれた子どもたちの気持ちを考えると、こんな親は絶対にムリ」(和歌山県44歳 パート)

 玄太に対しては、

■「知性がなくて熱量がありすぎる人は苦手なので」(東京都71歳 専業主婦)

 などなど、散々な言われようのふたり。

『北の国から』制作発表の様子。中央に田中邦衛さんの姿が

「五郎は妻に浮気され、子どもを連れて北海道へ移住という強硬手段だったし、玄太は血のつながらない親子だったがシングルファーザーとして娘3人を意固地になって育てる話。

 ■どちらも独善的でがんこな父親だけど血の通った、心根は温かい人。言葉が足りない、直情的なだけで、子どものことを愛してやまない。それだけに賛否が分かれるのも納得(笑)」(吉田さん)

■■“昭和の親父像”からの変化

■ドラマキャラ 理想の父親ランキング<6〜10位>

ドラマキャラ 理想の父親ランキング(6〜10位)

■第6位『過保護のカホコ』 根本正高(時任三郎) ■84票
■第7位『青天を衝け』 渋沢市郎右衛門(小林薫) ■81票
■第8位『パパとなっちゃん』 志村五郎(田村正和さん) ■74票
■第9位『親バカ青春白書』 小比賀太郎(ムロツヨシ) ■63票
■第10位『カムカムエヴリバディ』 雉真千吉(段田安則) ■60票
(票は複数回答)

内野聖陽

 4位以下、中位に名を連ねるのは、■『おかえりモネ』(NHK'21年)の■永浦耕治(内野聖陽)、■『1リットルの涙』(フジテレビ系'05年)の■池内瑞生(陣内孝則)、■『過保護のカホコ』(日本テレビ系'17年)の■根本正高(時任三郎)。

■「モネちゃんのことを本当に考えていて、亭主関白ではなく奥さんに優しいところ」(大阪府53歳 専業主婦)

■「正高は子どもに対して甘いんじゃないかな、と思ってしまうくらい優しい人」(東京都45歳 専業主婦)

 彼らに共通するのは、昭和の父親像とは違い、子どもに寄り添うよき理解者ということ。

 こうした点を踏まえ、前出の吉田さんは、「愛があったとしても、大声で怒鳴りちらしたり、早く嫁にいけだのといった■男尊女卑発言をする父親像は、受け入れられなくなってきた気がする」と語り、こう続ける。

「個人的には、『デート』(フジテレビ系'15年)で杏の父を演じた松重豊は、現代的な理想の父親だったと思います。娘の人生と性格を何よりも尊重し、配慮と思いやりがある。

 また、『義母と娘のブルース』(TBS系'18年)で父親を演じた竹野内豊も素晴らしかった。自身が余命宣告を受けると、ひとり娘を優秀な女性(綾瀬はるか)に託す知恵と行動力。父親としての最善を尽くした姿は印象的」

市郎右衛門役の小林は、これまでにも多くの父親役を演じてきた

 第7位には、■『青天を衝け』(NHK'21年)で栄一の父・■渋沢市郎右衛門(小林薫)がランクイン。

■「最後には子どもの意思を尊重して、やりたいようにやらせてくれるところ」(兵庫県71歳 パート)

 といった感想が寄せられているように、栄一を送り出すシーンは、同ドラマ屈指の名シーンとして記憶に新しい。

「■この時代、農家の長男が家業を継がずに、好きなことをするのはありえないこと。背中を押してあげるだけではなく、立派になった息子に対して感謝と敬意を口にする点も寛大さを表していますよね。

 ■大河や朝ドラでは、自分の子どもに対して尊敬を口にする父親はあまり出てこない。それだけに小林薫の市郎右衛門は父親像として、とても新鮮に見えた」(吉田さん)

過保護で親バカな賀太郎のような父親は嫌われる!?

 そして、第9位に入った■『親バカ青春白書』(日本テレビ系'20年)の■小比賀太郎に扮したムロツヨシは、娘のことが好きすぎて、同じ大学に通い始めてしまう父親を熱演。

 しかし、さすがにコメディーとはいえ、バカすぎるという理由から「イヤな父親」でも票を伸ばす形に。

■「娘を大好きなことが行動にあふれ出しているところ」(秋田県48歳 専業主婦)

 という意見がある一方で、

■「いつも一緒にいようとすることは、完全にストーカー。キモいです」(茨城県57歳 会社員)

 とバッサリ。吉田さんも、「確かに気持ち悪い」と前置きしたうえで、

「『親バカ青春白書』はやりすぎだけど、■今の父親や母親と子どもたちって、とても仲よく距離感が近いですよね。そういう意味では、令和の父親像っぽいともとらえられる」

 と評価が分かれる背景を分析する。

■■「頑固親父」から「寄り添う父」へ

■ドラマキャラ 理想の父親ランキング11~20位

ドラマキャラ 理想の父親ランキング(11〜20位)

■第11位『とんび』 市川安男(堤真一・内野聖陽) ■54票
■第12位『ルパンの娘』 ■三雲尊(渡部篤郎) ■43票
■第13位『おとうさん』 進藤士郎(田村正和さん) ■39票
■第14位『オヤジぃ。』 神崎完一(田村正和さん) ■34票
■第15位『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』 稲葉博太郎(大杉漣さん) ■32票
■第16位『リコカツ』 水口武史(佐野史郎・平田満) ■31票
■第17位『パパは年中苦労する』 巽耕作(田村正和さん) ■28票
■第18位『アイムホーム』 家路久(木村拓哉) ■26票
■第18位『24 JAPAN』 獅堂現馬(唐沢寿明) ■26票
■第20位『モコミ 〜彼女ちょっとヘンだけど〜』 清水伸寛(田辺誠一) ■23票
(票は複数回答)

 あらためて印象的な父親が登場するドラマを振り返ると、昭和の父親=ホームドラマ、平成以降の父親=ヒューマンドラマの傾向が強いことが見えてくる。

 とりわけ時代が下るにつれホームドラマが少なくなるが、吉田さんは、■「家族が集まって肩を組んだりケンカしたりするホームドラマは、個の時代である現代ではリアリティーに欠ける」と語る。

「能楽師の家庭に育ちながらも、プロレスラーになった『俺の家の話』(TBS系'21年)のようにトリッキーな設定でもない限り、家族を描くことは難しいと思います。ひとつ屋根の下にいてもLINEで会話するような時代ですからね(笑)。

 また、会社で働いて、家に帰ってきてダラダラしているような“何もしない父親”は、女性たちからしてもご遠慮くださいという時代。

『極主夫道』(読売テレビ・日本テレビ系'20年)がウケたのは、見た目こそ怖いけど、家事が完璧だから。■前時代的な父親像は拒否反応も強いのでは」(吉田さん)

 あえて昭和の親父を見せる『おいハンサム!!』──。令和の時代に、どう昭和の父親を融和させるのか? 見ものだろう。

吉田潮(よしだ・うしお)●コラムニスト。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆し、『週刊フジテレビ批評』のコメンテーターも務める。著書に『親の介護をしないとダメですか?』など

<取材・文/我妻アヅ子>

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