元NHKアナ・近江友里恵さん、横浜・関内の再開発を推し進めるも「不透明なまちづくり」で地元から反発の声

近江友里恵

 街を“ブラり”するほうから、“作る”ほうへ─。

『ブラタモリ』などに出演し、“近江ちゃん”として視聴者に親しまれたNHKの元アナウンサー・近江友里恵さん。'21年3月5日の放送で、朝の情報番組『あさイチ』のキャスターを卒業、同月いっぱいでNHKを退局した。

“まちづくり”に興味を持ったキッカケ

■「まちづくりの仕事に関わることになりました」

 最後の放送でこのように話していた近江さん。NHK時代、看板アナだった有働由美子から『あさイチ』を引き継いだため、同局の“期待”がうかがえたが、彼女は三井不動産に転職したのだった。

「近江さんは学生時代、“公共政策”を研究するゼミに所属していたこともあり、まちづくりへの関心が非常に高かったんです」(スポーツ紙記者)

 そんな彼女は現在、『開発企画部開発企画グループ』に所属しているという。

■「三井不動産の開発企画部は地域開発に取り組む部署です。近江さんは小学生のころから東京で育ち、絶え間ない再開発によって変わっていく街並みに違和感を覚えたとか。そこから“まちづくり”に興味を持ったそうですよ」(同・スポーツ紙記者)

『ブラタモリ』も転職を決断した大きな理由になった。'21年には、母校である早稲田大学に次のような言葉を寄せている。

■《中でも印象深い番組は、全国各地の街を歩き、街の成り立ちを探る『ブラタモリ』です。番組を通して、古き良き町並みを残しながら、新しい時代の街を作っていくことの大切さを痛感しました》

■地元住民から「反対運動」

 3月10日、三井不動産は一般社団法人ステラ・サイエンス・ファウンデーションとの契約を発表し、『横浜市関内エリアにおける新産業創造のエコシステム構築』を目指していくとした。そのプレスリリースの中で、近江さんが約1年ぶりに表舞台に登場。変わらぬ笑顔を見せ、次のようにコメントしている。

■《横浜・関内は、開港期から国内外の最先端の文化を取り入れ、新しいものを生み出してきた街です。そんな歴史のある横浜・関内から、新しい産業を創造し、世界に発信していきたいと思います》

ひさびさの近江友里恵さんの登場に、いち早く気づいたファンから歓喜の声が(公式ホームページより)

 調べてみると、三井不動産が担当している横浜・関内の事業とは、関内駅前にある“旧横浜市庁舎の再開発”という一大プロジェクトで、近江さんも携わっていることが判明。それだけでなく、この再開発には地元住民から反対運動が起き、暗雲が垂れ込めていることがわかったのだ。

 横浜市に契約の差し止めを求める裁判を起こした『横浜市民の財産を守る会』代表の高田尚暢さんに話を聞いた。

■「横浜市は“横浜らしさ”を重んじていて、綿密な景観計画を制定しています。特に歴史のある関内地区は制限が厳しく、高層ビルが建つことはなかったんです。しかし、今回の再開発にあたって景観計画が変更され、旧横浜市庁舎跡に170mのビルが建つことになってしまいました」(高田さん、以下同)

 しかも計画は横浜市の議員にすら知らされないまま“秘密裏”に進められたという。

■「議会に諮られることもなく進められ、議員も市民もほとんどが知らないまま決まった印象です。議員の方に話を伺うと“再開発の内容が大方決まった後に知った”と口をそろえて話されるんです」

 計画の決定だけでなく、その中身にも問題はある。

三井不動産に問い合わせると

「建物の売却価格の安さも疑問です。旧市庁舎は'59年に完成した歴史的な建造物で、'09年までに約50億円をかけて耐震補強工事を行いました。■しかし、再開発に伴う建物売却の過程で“経済価値は認められない”と判断されて、約7700万円で売却されることになったんです」

 高田さんがさらに続ける。

■「これが本当の“まちづくり”と言えるのでしょうか……。何もかも不透明なまま、いつの間にか関内の街並みがどんどん変わっていってしまうのは残念でなりません。まちづくりのプロセスに市民が不在で、不透明な決定が行われているのは本来あるべき姿だとはどうしても思えないんです」

商業施設やオフィスに加え、旧市庁舎の建物を利用したレガシーホテルも開業予定(横浜市公式資料より)

 地元住民の反対運動について、近江さんの勤める三井不動産に尋ねると、

■「ご指摘のような“地元住民からの反発の声”は認識しておりません。旧横浜市庁舎の再開発事業にあたっては、事業者として地元のみなさまへのご説明を丁寧に行い、事業を推進してまいります」

 との回答だった。

近江さんがアナウンサーを辞めてまでやりたかった念願のまちづくりは、市民の声を無視して進めるものではないはずだが……。

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