上島竜兵さん「松本人志になりたい」大御所つかむ人間性と、“稀代のギャグメーカー”の凄み

上島竜兵さん、松本人志

■《今日は仕事でテンションを上げるのに少し苦労しました。同世代の仲間やからね…》

 5月11日、自身のツイッターを更新したダウンタウン・松本人志。『ダチョウ倶楽部』上島竜兵さんを偲んでのことだろう、“仲間”と称したところに故人への尊敬の意が見てとれる。

 同日未明に自宅で倒れているところを妻・広川ひかるに発見され、救急搬送されるもまもなく病院で息を引き取った上島さん。所属する太田プロによると「(死因は)連絡を受けていない」としている。

 テレビでも長らく活躍してきた人気芸人の訃報が伝わると、芸能界から続々と寄せられる追悼コメント。その中でも、

《上島、大変ショックです。40年近く前から一緒に仕事をしてきたのに、■芸人は笑っていくのが理想であって、のたれ死ぬのが最高だと教えてきたのに、どんなことがあっても笑って死んで行かなきゃいけないのに、非常に悔しくて悲しい》(ビートたけし、公式サイト)

《■信じられない! 何があったのか 何に苦しんでいたのか 全くわからないが 竜ちゃん、これは本当に悪い冗談だ。聞いてないよ!!》(山田邦子・公式ブログ)

《■無念です。まだまだ竜さんとケンカしてチュ~したかったです。最高のライバルであり最高の友でした》(出川哲朗・事務所コメント)

上島さんの才能が開花した番組

 冒頭の松本同様に、ともにバラエティー番組を、お笑い界を盛り上げてきた大御所のコメントには哀しみと悔しさが滲み出ていた。特に無念さをのぞかせていたのが、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)での身体を張った上島さんに抱腹していたビートたけし。

 当時を知る、元テレビ局プロデューサーは懐かしそうに振り返る。

「今の時代では考えられない、まあ、当時もハチャメチャぶりは抜きん出ていたけどね(笑)。■芸人さんがたちがロケ後、一様に“やりきった”とばかりにトリモチを剥がし合い、最高の笑顔を浮かべていたのが忘れられません。

 ■竜兵さんと出川くんがライバル関係になったのもウルトラクイズで、彼らの“リアクション芸”が開花した番組でした。そうそう、■ダチョウさんの“聞いてないよぉ”もここからだったね」

 過激な仕掛けや企画で視聴者を楽しませた同番組で、上島さんが芸人魂を見せたのが“人間性クイズ”というドッキリ。ポール牧さんや『チャンバラトリオ』結城哲也さんとのドッキリ合戦は、お笑い史上に残る名シーンと言っても過言ではない。

「竜兵さんがポールさんらに逆ドッキリを仕掛けるもので、■真面目で頑張り屋な性格だからこそ台本以上のドキュメンタリーに(笑)。そんな彼の人間性に期待したのがたけしさんで、誰がやるかとなった時に“ここはもう、上島だろう”と。

 ただ、笑いにはなったもののやりすぎたのでしょう。竜兵さん、後にお尻を押さえながら“師匠、キツいって”とこぼしていましたよ」(前出・プロデューサー)

 そんな身体を張った芸風で、たけしをガッチリつかんでいた上島さん。一方で、かつては■「松本(人志)さんみたいになりたいんだよ」と周囲に話していたとも。ダチョウ倶楽部とダウンタウン、そして上島竜兵と松本人志、芸風は全く異なるように思えるが……。

“竜兵会”のきっかけは松本人志

 その真意をベテラン放送作家が明かす。

「■芸人として、ではないんですよ。若い頃の■ダウンタウンさんはいつも後輩らに囲まれて賑やかで、夜の街に繰り出しては大盤振る舞いをしていました。それこそ松本さんは“松本軍団”を率いて、自腹を切って海外旅行に招待していましたしね。

 ■上島さんも、松本さんや浜田(雅功)さんのような後輩の面倒を見られる、慕われる芸人を目指していたんです。そんな憧れが形になったのが“竜兵会”で、その通りに飲み代を全て持っていたそうですよ」

 太田プロ所属の芸人やタレントが中心に集まった“竜兵会”。名を連ねているのは有吉弘行、土田晃之、劇団ひとりら、上島さんがかわいがっていた“竜兵チルドレン”だ。

 近年こそ、共演時には彼ら後輩にイジられることが多く、先輩とは思えない扱いを受けていたように見えた上島さん。しかし、それは師弟の恩と愛があってこそ。

「竜兵会の席でもほぼ変わらない、イジられ続ける扱いでしたけども(笑)。でも、■上島さんは上下関係にこだわらない、そんな“わきあいあい”が大好きなんですよ。もちろん人として、そして芸人としても尊敬されていますよ。特に上島さんの“ギャグメーカー”ぶりはお笑い界でも随一でしょう」(前出・放送作家)

 ダチョウ倶楽部の代表的ギャグ■「聞いてないよぉ」は、1993年の『流行語大賞』の大衆部門にて銀賞を獲得し、世の中は「聞いてない」人で溢れたものだ。また、3人が出だしに発する■「ヤーッ」、冠番組のタイトルにもなった■「つかみはOK!」(TBS系、1993年放送)もすぐに思い出される。

 他にも、熱湯風呂に入る時の前振り■「押すなよ、絶対に押すなよ!」、最後に譲って落とす■「どうぞどうぞ」はバラエティー番組の“鉄板”となり、■「訴えてやる!」「くるりんぱ」「わきあいあい」、■熱々おでん芸、口論後にキス、ジャンプ芸はどれも1度は真似した覚えあり。その量と質の高さにはあらためて驚くばかりだ。

志村さんから「お前は俺の彼女か」

 無論のこと、全てが上島さんの考案ギャグではないのだろうが、彼無くしては成立しないギャグが多いのは確か。そんな芸の才能に目をかけて、公私にかわいがっていたのががご存じ、“喜劇王”志村けんさん。2人が親交を深めたのは、1997年放送の『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)。

「当時のダチョウ倶楽部といえば“バブル”が弾けた後で、人気は下降を辿っていました。そんな折に志村さんからお呼びがかかり、見習いから始めて5年でようやくレギュラーとして認められ、以後は“志村一座”にとっても欠かせない存在になりました。

 とりわけ■上島さんは、志村さんから“お前は俺の彼女か”と呆れられるほどにプライベートでついて回ったそう。おそらくは芸だけでなく、人生についても厳しくも優しい指導を受けた、かけがえのない時間だったことでしょう」(前出・放送作家)

 2022年3月に対応した『週刊女性』のインタビューにて、上島さんは志村さんを次のように評している。

■《バカ殿とか変なおじさんとか、同じネタばかりやっているのに、あれだけ人を魅了して、何度も爆笑をとれる人は、もう出てこないでしょうね。俺たちも『ヤー!』とか同じことばっかりやってるけど、雲泥の差ですから(笑)》

 今頃は天国で、お酒を酌み交わしながらギャグ談義をしていることだろう。

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