「がんに効く」「疲労回復」「-10kg痩せた」実はNG!? 化粧品や健康食品の違法広告・違法ワード

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■「殺菌」「除菌」「-10キログラム痩せた」「ダイエットサプリ」「アンチエイジング」「満足度○%」「血糖値が気になる方」「生活習慣病の改善」「免疫力」「有効成分」「毛を育てる」……。

 このような文言が使われた広告に見覚えはないだろうか。東京都薬務課発表の資料によれば、健康食品や化粧品、機能性表示食品としてこれらの文言は、実は■“違法”(機能性表示食品については認可されればOKのケースも)。

巷にあふれる違反広告の文言

 NGである理由については、行政が理由や意図を発表することはないが、薬務課資料と照らし合わせると、医薬品と誤解させる表現と捉えられるのでNG、効能保証表現は禁止されているためNG、化粧品でうたうことが認められている効能ではないのでNGという理由となる。

 また、いわゆる健康食品には、医薬品と誤認されるような効能効果を表示・広告することはできない。東京都薬務課は、医薬品的な効能・効果をうたう違法表現として以下を挙げている(特定保健用食品・栄養機能食品に認められている効能・効果は除く)。

■「がんに効く」「高血圧の改善」「生活習慣病の予防」「動脈硬化を防ぐ」「疲労回復」「老化防止」「新陳代謝を高める」「血液を浄化する」「風邪をひきにくい体にする」「肝機能向上」「細胞の活性化」。いずれも見覚えのある表現だ。

 これらは『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』通称“薬機法”に基づくもの。巷にあふれる広告は今、薬機法や景品表示法に違反するものが多い。

違法表現があった高島礼子起用の広告(違反の内容は本文にて)

■「今のネット広告は信用に値しないものが非常に多く、その規模も拡大しています。ネット通販を主な販売手段としている事業者は、違法な商売をしても簡単に逃げることができます。行政から厳しい指摘を受けても、販売をやめて、会社を潰してしまえばそれですべてが終わり。

■ 新たな会社を作るにしても、必要な費用は数十万円程度。費用がかからない理由は、商品は品質の低いものでいいから。違法な表現をして効果をうたう文言こそ大事という考え。そのため新しく会社や商品を立ち上げてもお金がかからない。だから、気軽に違法な広告を打てるのです」

 そう話すのは、違法ネット広告調査システムを提供する『株式会社デトリタス』代表取締役の土橋一夫氏。

「一番いい」と体験談を使うのはNG

 違法広告は、芸能人が起用されることも少なくない。一例を出して、具体的な“違法性”について解説する。■高島礼子が起用された染毛料の広告だ(以下、広告へのアクセスはすべて5月16日14時時点。その後、広告内容は修正されている)。土橋氏の解説と、東京都薬務課監視指導担当が発行している『令和3年度医薬品等広告講習会』(以下、東京都資料)の文面もあわせて紹介する。まず前提として……。

「同一ページ内で、『染毛料』、『染毛剤』の表現が混在し、どちらか判然としません。染毛料は“化粧品”、染毛剤は“医薬部外品”に該当します。そのため、同一の商品に対してこの2つの表現を同時に使うと、どちらかは事実に反していることになります。今回の場合は、おそらくは化粧品の染毛料が正しい。■そのため、医薬部外品でないと名乗れない商品を、“染毛剤”との表現をしていることが違法表現となります」(土橋氏、以下同)※本記事配信以降、『染毛料』、『染毛剤』という表現は削除された。

 細かく広告を見てみよう。ちなみに違法表現の広告はあまりに数が多く、またチラシのように“実物”がなく、同じURLのまま書き換えられることもあり証拠が不十分になるなど、処分まで至るケースが少ない。

■「広告では、高島礼子さんが“私が今まで使った中でこれが一番良いです”というセリフを言っている形の表現があります。体験談を使った効能保証表現は禁止です。今回、高島さんの体験談として“一番良い”と言っている。これは“効果に関する使用体験談”と捉えられるのでアウト」

 東京都資料はこの点について、“効果や安全性についての使用体験談は、認められない”としている。

「2つ目の問題として、化粧品では最大級表現の禁止というルールがあります。“美しく見せる効果に関して、この商品が1位だ”と表現するとこれに違反します。■高島さんのセリフで“一番良い”と言っていますが、最大級表現にあたり違法表現です」※本記事配信以降、高島のセリフは削除された。

 東京都資料には、“効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止”とある。違法として挙げられている例は、“最高のききめ、無類のききめ”“胃腸薬のエース”“売上げナンバー1”(新指定医薬部外品以外の医薬部外品及び化粧品を除く)。

 違法はまだある。広告では、他社商品と比較し、他社のものよりも“安く”かつ“早く染まる”ことをアピールしている。

■「他社製品との比較は、薬機法上の他社誹謗にあたりアウト。化粧品広告では、他社製品と比較すると基本的に違法表現と判断されます」

 違法広告に起用された芸能人はほかにも、■アンミカ(商品=美白歯磨き粉。広告の「歯を傷つけたり磨きすぎることがない」という文言は、「副作用がない」旨の表現にあたり違法)。

芸能人に罪はあるのか?

 また、■宮迫博之のユーチューブチャンネルは、化粧品や健康食品を販売する企業の商品の広告動画を作成。複数回公開している。しかし、同企業は'21年7月に東京都から3か月間の業務停止命令を受けている(“解約方法を容易に認識できるように記述していない”などの苦情が殺到したため)。

 ユーチューブ上の動画広告には、自動的に差し込まれるものとユーチューバーが広告主から依頼を受け、自身の動画コンテンツとして作成するものがあるがこちらは後者。『企業案件広告』だった。宮迫チャンネルの広告動画自体は違法広告ではないが、同企業によるほかの違法広告に「宮迫も推薦」などと記載されていた。

宮迫博之のYouTubeでは企業案件広告の動画もアップされていた(本人のYouTubeチャンネルより)

 起用された芸能人は悪か。

「■芸能人、著名人の方々には、道義的な罪はないと思っています。そういった方たちは基本的には法律の知識を持っていないでしょう。悪徳メーカーはそこに付け入り、有名人を使い捨てる形で広告を作っているのだろうと考えています。また、悪徳な薬機法コンサルタントは、起用する有名人に罪をなすりつける手法を、商品のメーカーに指南しています。

 一方で、芸能事務所は怪しい案件を避ける機能を持つべきとも思いますが、人材面等で余裕のない事務所もあるでしょうし、フリーの芸能人の方もいると思います。■現状では、利用されてしまう芸能人の方は、これからも出続けるだろうと思います」

 罪のなすりつけの一例として、“有名人・インフルエンサーが勝手に発言した”という形をとるなどだという。

■「有名人が雇われて広告に載るのはよくあることです。多くが騙されて違法広告に出ているのだと思います。私刑ではなく行政罰が企業に淡々と執行されることを望みます」

※記事配信後、違法部分の修正を確認したため、タイトル、画像キャプション及び原稿内の一部を修正しました(2022年6月15日17時修正)

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