キンコン西野・春風亭昇太「差し入れ拒絶」も、落語会にあって芸能界にないモノ

キングコング西野と春風亭昇太

 演芸番組『笑点』の司会者で落語家の春風亭昇太(59)とお笑いコンビ、キングコングの西野亮廣(39)。ひと月の間に両者が発信した叫びが、ちょっと似通っていて面白い。

 西野はつい先日、自身のツイッターで■「差し入れは要りません」と呼びかけたばかり。

■ その発言が物議をかもしたり炎上することが多い西野だが、以前からブログなどでも、「『差し入れ』というのは本当に迷惑」と訴えてきた。それでも続く差し入れラッシュについて、「差し入れハラスメント」と糾弾している。

■■西野の言い分

 芸能人に差し入れをする、プレゼントを渡す。ファンとしては好意の表現であると同時に、自分という存在を芸能人に知ってもらう効果的な手立てでもある。

 ブレイク前のアイドル系の音楽ライブに行くと、入場口近くに、プレゼントを入れるためのメンバーごとに名前が貼られた段ボールが置いてあったりする。

 吉田兼好の随筆『徒然草』には、いい友の条件のひとつとして「ものくるる友」と書かれている。ものをもらえれば、多少は不要なものであってもうれしくなったりするのが人情だが、金に困らずたいていの欲しいものが買える芸能人には、差し入れクラスのプレゼントというものは、必ずしも歓迎されるものではない。

 具体的に差し入れの何が西野を不快にさせているのかというと、

《『要らなかったら捨てて』と言うけれど、モノを粗末にしたくない。『要らなかったら誰かにあげて』と言うけれど、その誰かも要らない》

《僕は移動中も仕事をしています。とても狭い場所で仕事をすることもあります。必要以上に窮屈な思いはしたくありませんし、手荷物があると仕事になりません》

《体調管理、体型管理も僕の仕事です。ここを崩してしまうと、本当にたくさんのスタッフに迷惑がかかってしまいます。自分の口に入れるものは、自分で選ばせてください》

 つまり、処分に困る、持ち運びが大変、食べ物だと体調に影響する、という3点が主。

■「若手のお笑いライブには出待ちファンも多く、なかには手作りのお弁当を作ってくる熱いファンもいる。アルバイトをしている若手芸人にはありがたいと思うんでしょうね。でも食中毒も怖いので、『手作りは絶対食べるな』と指導しています」

 そう明かすのは、お笑いタレントを育成する芸能プロダクション幹部だ。

 食べ物の差し入れは論外だが、それ以外の差し入れも西野は拒絶する。

■どんな差し入れよりも強い「現金」

 西野のツイッターの約1か月前、公益社団法人落語芸術協会新会長の就任会見で、春風亭昇太は、学校公演などで公演後に花束をもらうことについて、表現に配慮しながら■「5000円の花束よりも3000円の現金を」と、満面に笑みを浮かべ訴えた。

■「新会長の公約として掲げましたが、あれは昇太の自論です。真打昇進披露興行があると、祝儀は現金で、と訴えるんです。その芸人が好きなお酒や名物を差し入れたりする落語ファンがいますが、案外、迷惑なんです。ただでさえ落語家は、着物を持ち運んだり荷物が重たい。そこに酒瓶が来ても困るだけ。西野さんのツイッターと同じですよ」

 ただ、西野は、差し入れは迷惑と訴えたが、現金ならOK、とは訴えなかった。

 落語の世界や相撲界の世界には、祝儀を切る、といういい習慣がある。どんな差し入れより、現金は強い。軽くて邪魔にならない。

 金額の多い少ないは関係ない。亡くなった名人・立川談志師匠は生前「1000円でも喜んでもらいますよ」と言っていた。

 たとえ名人に対してでも、現金を渡せるというのが祝儀を切る、ということ。

 お笑いタレントの世界にもその習慣が広がれば、西野のような不快感を味わうこともなくなる。とはいえ、多くの祝儀を切られると、税金の申告などまたやっかいな手間がかかるが……。

<取材・文/薮入うらら>

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