MISIAが “初の絵本” から伝える、アフリカの「リアルな命」の物語

MISIA 撮影/天日恵美子

昨年の大ヒット『アイノカタチ』をはじめ、われわれの心を揺さぶる歌唱力でアジアを代表する歌手となったMISIAが、アフリカをテーマにしたチャリティー絵本『ハートのレオナ』(主婦と生活社)を執筆。読者へ伝えたかったことや執筆の裏話などを、担当編集者とともに明かしてくれました。

■ツアー中にも関わらず、徹夜しながら執筆

─昨年7月から始まった『ハートのレオナ』の執筆、おつかれさまでした。最初にいただいた原稿はテキストファイルで65ページほど。ここからどこを残してどのように表現していくかなど、削るのに苦労されました。

■МISIA 削ることが大変というよりも、主人公・レオナちゃんの仕草などの描写やアフリカの景色をきちんと書き込みたいという気持ちと、アフリカの現実を書きたいという気持ちのせめぎ合いでしたね。

─しかも昨年から今年の3月までデビュー20周年のツアー中。忙しいさなかに執筆して、削ったり書き足したり。

■МISIA 8月28日から横浜で開催されるTICAD(*アフリカ開発会議)前には発売したいと思っていたので、ツアーを理由に発売延期をするわけにもいかず……。けっこう徹夜しながら書いていましたね。こんなに大変な作業なのか、と。

 ストーリーを口述して、プロの書き手さんに構成してもらうやり方もあったと思います。ですが、アフリカでの経験がないと細かなニュアンスが難しい。これは私に課せられた責任だと思い、最後まで自分で書きました。

─文章に力がありますよね。これは、実際に体験した人にしか出てこない言葉だと思いました。リアルなアフリカを日本の子どもたちに伝えたいと始まった絵本づくりですが、いちばん言いたかったことはなんですか?

■МISIA 物語の切り口を模索しているなかで、10年前、私が初めてアフリカを訪れたときに、この先ずっとみんなに伝えたいと思ったことはなんだったのだろう、と振り返りました。■それは、アフリカから学んだ豊かな心であったり、命のメッセージであったり、音楽や文化の素晴らしさだったわけですが、私は、それらを知ったからこそ、アフリカが抱える問題の、本当の悲しみがわかったんです。さらに、私自身の生活を見直し、本当の豊かさを見つめ直す大きなきっかけにもなりました。

■命がけの発言を一番に伝えたい

─МISIAさんと本書の作画を担当されている大宮エリーさんが理事をされている財団法人のmudef(ミューデフ)は、そのときの思いを具体化するために作られたのでしたよね?

■МISIA はい。音楽とアートを通じて日本の子どもたちに伝えるために、つながりのあるアーティストさんたちと2010年に設立したんです。mudefを通じ、私は子どもの教育サポートを中心に活動を続けています。

─それ以前より、何度もアフリカを訪問し、アフリカの抱えるいろいろな問題と向き合ってこられました。

■МISIA ■本書にも出てくる「音楽のあるところに戦いはない」「ラブイズフリー」「ものは盗まれることはあっても学んだことは盗まれない」という言葉は、私が現地で知り合った人から聞きました。それらは、発言した人たちが命をかけて命と向き合ってきたからこそ、生まれたものばかり。まずはそれを一番に伝えたいと考えました。

MISIA 撮影/天日恵美子

─それで、レオナちゃんが訪れた国はすべてМISIAさんが実際に行ったことのある国に絞って……。

■МISIA 「レオナはライオンの女の子。」この書き出しだけは、最後の原稿まで変わらなかったですね。ペリカンのムワリくんがカンガ(布)にレオナちゃんを包んで旅に出る、という出だしがまず固まって。あとは、私が体験したアフリカをどんどん書いていこう、と。■だから、フィクションですけど、私のなかではすべて事実が連なっているんです。

■アフリカとは別の側面から学んだ“命”

─レオナちゃんには、モデルになった女の子がいました。

■МISIA ■幼くして亡くなった身内の女の子がモデルです。ずっと病院に入院していたのですが、いつもおでこにハートのガーゼを貼っていて。その子のお姉ちゃんが「ハートのレオナ」と呼んでいたんです。お見舞いに通ううちに、難病に苦しんでいる子どもが大勢いることや、その家族の胸の痛みを知りました。命について、アフリカとは別の側面から学んだのです。

 それで、その子に伝えたいこと、見せたいことを書こう、と。物語のなかでは、自由にアフリカじゅうを旅して、空を飛んで、たくさんの友達とも出会ってほしい、いろんなことを感じてほしいと思い、言葉を紡ぎました。

─本書はチャリティー絵本の側面もあって、収益の一部は、アフリカと日本の子どもに役立てることが決まっています。日本の子どもへも、というのは、その女の子のことがあったから?

■МISIA ■企画段階から、私の印税はアフリカの子どもたちのために使わせていただくことを決めていました。ただ、その女の子に教えられたこともたくさんあるので、助けを必要としている日本の子どもたちのためにも使わせていただくことにしたのです。この本を読んだひとりでも多くの人に、命について考えてもらえるきっかけとなれば、うれしいです。

■■MISIAが好きなページは?

ハートのレオナ 

 ともに生きていくことが私たちの幸せの根源なのかな、と思っています。貧困問題、環境問題、紛争問題……。どれも人間が解決するしかなく、すべてが命に向き合わないと解決できないこと。私はこの本で命のメッセージを伝えたいのですが、その先にあるものは何かといったら、世界平和につながる。自分の身近な人と仲よく生きて、その人にとって大切な人とも仲よくして、友達の輪が広がっていけば、世界中が仲よくなって平和になるんじゃないかな〜って。この絵には、みんなで幸せに過ごして、ともに生きていく様子が描かれているので、好きなんです。

ハートのレオナ
MISIA/作 大宮エリー/絵
主婦と生活社刊 定価:本体1800円+税
ライオンの女の子レオナが、ペリカンの友達ムワリとアフリカ大陸の旅に出ます。バオバブの長老に会い、文字を学ぶ大切さや命の尊さを知り―。旅から帰ったレオナが、家族に伝えたこととは……?

『ハートのレオナ』※週刊女性PRIME記事内の画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします

*TICAD/アフリカ開発会議の略で、MISIAが名誉大使に就任している。2019年8月28日〜30日に第7回が横浜で開催され、アフリカ54か国の首脳やさまざまな団体が訪れる。首脳が集まる国際会議としては規模も最大級。

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