闇営業芸人たちに残された唯一の道? 辛酸なめ子が考える「“光営業”のすすめ」

「闇営業」でイメージを落としてしまった芸人たちは──

 いま世間を騒がせているお笑い芸人による“闇営業報道”。'14年に雨上がり決死隊の宮迫、ロンブーの田村亮、レイザーラモンHG、カラテカ入江ら人気芸人たちが、大規模振り込め詐欺グループの忘年会に参加、金銭を受け取ったと報じられ動画も拡散された。芸人と犯罪集団との“黒い交際”について漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんとともに考える。

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──忘年会でネタや歌を披露する芸人たちの姿は衝撃でしたね……。

「ネットで出回っている動画を見ました。壇上で芸人さんたちがネタをするなか、半グレの方々が歓声を上げているのですが、その『うぉーい!』とか『やべぇー!』といった音声が、笑い声にもかかわらず威圧的に聞こえて恐怖を覚えました。■反社会的な迫力というか、あの声で詐欺の電話をかけていたんだなと……。

■ この詐欺グループは当時、架空の太陽光発電会社が発行する社債の購入を持ちかける手口も使っていたみたいです。闇の仕事なのに光を利用しようとしたのも許せないですよね。

 芸人さんたちもプロというか、首までタトゥーの入った怖い人たちの前で普通に芸をしているのがすごいなと思いました。動画ではザブングルさんが『カッチカチやぞ』と、おなじみのネタを披露していたのですが、■声を張り上げながら3回ほど『カッチカチ』を繰り返していたのにリアクションも薄く、拍手もまばらだったのでメンタルがやられてしまわないか心配でした。刑務所の慰問よりも緊張感がすごそうです」

■観覧に呼ばれなかった恨み

──追い討ちをかけるかのように『FLASH』に掲載された、闇営業のギャラ300万円を振り込んだという“金庫番”の告発も生々しかったですよね。

「■告発者の“ギャラは帯3本(300万円)”という表現もすごかったですよね。普通に生きていたら聞くことのない単位です。もはや庶民とはケタが違いすぎて、もはや別の経済が動いているというか……。振り込め詐欺集団が自分たちを“俺たちモシモシだから”とネタにしていたという記述も怖かったです。

 でも芸人さんもお金にシビアな印象があります。以前トークショーで芸人さんたちとご一緒したことがあったのですが、そのときも楽屋ではお金の話ばかりしていました。“あいつの月収〇〇万円だろ”“いや、そんなにもらってないだろ〇〇万だろ”といったように、他人の噂話でもテーマは金。そういった世界に生きているとわりのよい“闇のギャラ”に惹かれるようになってしまうのでしょうか」

──詐欺グループのトップの奥さんが宮迫さんの大ファンだということで発言した「ご夫婦を『アメトーーク!』の観覧に招待します」も問題になりましたよね。この報道の後、同番組内でスポンサー企業のCMが流れないという事態にも見舞われていました。

「そういった詐欺グループの人が観覧に来ていて、一般の観覧者がアンケート用紙に書き込む個人情報を盗み見ているかもしれないと思ったら怖いですよね。でも、その発言が掲載された記事には《結局、番組には招待せずにうやむやになったそうです》とありました。

■ もしかすると、宮迫さんの大ファンだったということもありますし、観覧に呼ばれなかった恨みで週刊誌に告発した可能性も……?? 今後も『アメトーーク!』が放送されるとしたら闇の会社がスポンサーにつくようになるのでしょうか」

■光営業、その効能

──そうなったら忘年会に参加した芸人たちによる『闇営業芸人』の回が放送されるかもしれませんね。入江さんは所属事務所を解雇されてしまいましたが……。それにしても“友達5000人”と豪語する彼の人脈はすさまじいですよね。

「安倍首相との写真が出回っていたり、あの紀州のドン・ファンの幼妻ともつながりがあるという記事も出ていました。芸人をやめても人脈を生かした仕事をしていくのかもしれません。

 ■不思議なのは入江さんと相方の矢部太郎さんがコンビとしてあまりにも対照的なところですよね。ベストセラーになった『大家さんと僕』の絵のタッチやほのぼの系のストーリーと闇営業のギャップはまさに光と闇■。

■ 矢部さんが大家さんというひとりの人間との関係を大切にしていたのに対し、入江さんは人脈を作るために誰彼かまわず知り合いになりすぎたのかもしれません。もっとひとりひとりと大切に向き合うべきだったのかな、と。

■ 今後、心を入れ替えて出直すということであれば、まず住んでいるところの大家さんに挨拶にいくところから始めるのがいいのではないでしょうか。すでに闇営業のお金で“持ち家”に住んでいるのかもしれませんが……■」

──同じく闇営業で事務所を解雇された楽しんごさんが「闇営業なんてみんなやってるわ!」とぶっちゃけたりで、すっかりダークなイメージがついてしまったお笑い界ですが、今後、イメージ回復を図るためにはどうしたらいいでしょうか?

「そもそも闇営業は絶対に運気が下がるものでしかないと思います。半グレの人たちも人の恨みを背負っていて、宴会場に負のエネルギーが充満していたような気もしますし。

■ 今回、闇営業でイメージを損ねてしまった芸人さんたちは、無償でチャリティーイベントを開いてみたり、ボランティア活動に精を出すなどといった、“光営業”にもっと力を入れるべきなのかもしれません。サンドウィッチマンさんは東日本大震災の被災地に寄付を呼びかけ4億円を集めたり、くりぃむしちゅーさんも熊本地震の復興のために月1のペースでチャリティートークライブを開いています。

 ■目先の利益や私利私欲のためはでなく、世の中のためになるような活動をすることで好感度も上がりますし、結果、たくさん仕事がくるようになると思います。お金持ちになるにしても、これがいちばん近道なのではないでしょうか」

辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。

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