見て、聞いて、味わって! 工場見学でわかった、カルピスが愛され続ける秘密

ガイドさんの案内で、ギャラリーや製造方法を学ぶ 撮影/渡邉智裕

■「ここ館林で長きにわたり製造させていただいていますが、実はこういった施設を造るのは初めてなのです。あらためて地域の方々との交流を含め、さらに『カルピス』を深く知っていただくために、100周年を機に造ることができたのは本当に感慨深いですね」

■カルピスのルーツはモンゴルにあり

 カルピスを展開する、アサヒ飲料株式会社の岸上克彦社長は館内を見渡して話す。かつては「味の素」の子会社に、そして現在、アサヒ飲料と合併した中で、岸上社長は元来からのカルピス“出身者”。それだけに思いは一入だろう。

 そう、カルピスが1919年に発売されてから、今年でちょうど100周年。そんな記念年に、群馬県館林市のアサヒ飲料群馬工場内に、カルピス初の常設見学施設『「カルピス」みらいのミュージアム』が新たにオープンする。

■「実際に製造ラインも見ていただけますし、知識や歴史など、また発酵の香りを体験できる部屋もありますので、カルピスを肌で、五感で感じていただけたらと思います」(岸上社長)

 ガイドさんの案内で館内を回ると、さっそく出迎えてくれたのは乳牛の模型。いまさらながら、カルピスは生乳を原料とする乳酸菌飲料なのだと実感。

 その原点を探る「はじまりのへや」では、カルピス誕生を描いたアニメーション『初恋の味〜「カルピス」をめぐる不思議な旅〜』を上映している。作画を手がけたのは、『アルプスの少女ハイジ』などのキャラクターデザインを務めた小田部羊一氏。

■「異国の長旅で体調を崩した(カルピス生みの親)三島海雲に、(内モンゴルの)現地の人が発酵乳をすすめてくれ、飲んだところ体調はみるみる回復いたしました。日本の人にも元気になってほしい、という三島海雲の思いがカルピスを誕生させたのです」

■“初恋の味”ができるまで

 ガイドさんのナビゲートで始まる物語は実際に見て、聞いてのお楽しみ。終了後には“初恋の味”が恋しくなるから不思議。早く飲みたい〜。

 カルピス作りの最重要工程である「発酵」。その発酵タンク内をイメージした「発酵のへや」では、全方面スクリーンが映す映像とともに、ある仕掛けが。■乳酸菌と酵母を合わせた「カルピス菌」による1次・2次発酵の映像にリンクして、どこからか甘ずっぱい香りが漂ってくる。これが、岸上社長が話していた“五感”体験だ。

「安心・安全な原料と製法で作られている」「発酵によって生まれた、身体にうれしい成分が含まれている」という、カルピスが“身体にいい”とされる理由は、この発酵を主とした自然製法からきている。カルピスの源となる発酵乳は、血圧降下作用や学習記憶力向上効果などのほか、香りにもリラックス効果が期待できる。まさに「カラダにピース」な飲み物なのだ。

 そして視覚を刺激する、見て学べるのが製造工場見学。バスに乗り、広大な敷地をぐるりと回って工場に到着すると、目の前には高さ15mの貯酸乳タンクが。1つのタンクは重さ約150トンで、カルピス約32万本分に相当する! とはいうものの、想像もつかないケタ違いの大きさ。

 そのカルピスは発酵設備の都合上、残念ながら見学通路を設置できないため、見られるのは『カルピスウォーター』などの製造ライン。キャップ洗浄に始まり、外観検査機器までの7工程を経て、面白いように製品が完成していく。

圧巻の製造ライン見学。各工程を経てカルピスウォーターが次々と完成 撮影/渡邉智裕

■お待ちかねの試飲タイム

 ここ群馬工場では、カルピスやカルピスウォーターのほか、『三ツ矢サイダー』、『バヤリース』などのおなじみの製品を、1日に計約300万本を生産。年間で約3000万箱を出荷する、まさにアサヒ飲料の“大動脈”ともいうべき工場なのだ。

 工場見学を終えると、ミュージアム内の試飲ルーム「カルピスラボ」にて待ちに待った味覚体験! 3種類のカルピスを、ミネラルウォーターや炭酸水で“割って”好みの味を作ろう。記者は、お手製“カルピスソーダ”に挑戦するも、勢いよくかき混ぜてしまい、泡立ち、吹きこぼれてしまった。さすがはアサヒの高刺激炭酸水『ウィルキンソン』。ゆっくり混ぜよう。

 ちなみにおすすめのカルピス“黄金比率”は「原液1:水4」の5倍希釈。さらに岸上社長によると■「“おいしくなあれ、おいしくなあれ”とかき混ぜると、とってもおいしくなる」のだとか。

 100年にわたって愛され、また、これからも愛され続けるであろう“国民的飲料”の秘密が、ここミュージアムでわかったような気がした。

■100年前に発売された「カルピス」

 カルシウムの「カル」と、サンスクリット語で“最上の味”を意味する「サルピス」を組み合わせて名づけられた「カルピス」。「おいしくて身体にいいものを作って、人々を健康にしたい」という創業者・三島海雲の考えから、パッケージには健康美の象徴として「ミロのヴィーナス」が描かれたという

1919年に発売された、化粧箱つきの初代カルピス

■工場見学「カルピス」みらいのミュージアム

ミュージアム横には巨大な貯酸乳タンクが並ぶ 撮影/渡邉智裕

群馬県館林市大新田町166
料金/無料。所要時間90分、1日3回の開催
10:00〜、13:00〜、15:00〜
事前予約制 TEl:0276-74-8593(9:00〜17:00)https://www.asahiinryo.co.jp/factory/gunma休業日/年末年始、指定休日(要確認)

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