2020年冬ドラマは医療系が豊作でも、天海祐希の“ぶっ殺す”には異議あり

 今期の特徴は6本もある医療ドラマ。患者を救うだけでなく、テーマ性で独自色をアピール。硬軟を織り交ぜた見どころから不運に見舞われた作品まで、おなじみの3人が喧々諤々(けんけんがくがく)!

(左から)天海祐希、伊藤英明、佐藤健、小泉孝太郎

■座談会メンバー

■折原みと
今年デビュー35年。代表作『時の輝き』は100万部を超えるベストセラー。小説家としても活躍。最新作『皇后雅子さま〜笑顔輝くまで』を週刊女性で月1連載中!

■上田倫子
代表作は『リョウ』『月のしっぽ』『裸足でバラを踏め』『蘭と葵』。アプリマンガMeeで新連載『抱かれた棘と甘い吐息』3月11日配信スタート

■なかはら・ももた
(新型コロナウイルスで)今年オリンピックがどうなるかわからないけど、『いだてん』の再放送(4月6日〜)はいちばんタイムリーなので、見てほしいです!

■佐藤健を絶賛、期待はずれだったのは天海祐希

■─医療ドラマ6本のうち、ラブコメディー要素を盛り込んだ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)からスタート。

■上田倫子(以下、上田) ■医療ドラマが多すぎて毎日、病院に通っているような気分のなかで“恋つづ”は安心して見られるラブコメ。

■折原みと(以下、折原) 主役の上白石萌音ちゃんのドジっ子キャラがハマってる。少女漫画そのもの。

■なかはら・ももた(以下、なかはら) 顔がもう漫画。ビックリする顔とか最高。佐藤健と同じマンションの隣同士でも違和感がない。漫画と同じ設定を許せるのがドラマ化成功の秘訣だと思う。

■折原 ■佐藤健くんじゃないと、あのドラマは成り立たないよね。

■上田 佐藤と同期のライバル医師役の毎熊克哉さんが犯罪者に見えるので、わかりやすいイケメンを配置してほしかったな。

(左から)毎熊克哉、上白石萌音、佐藤健

■なかはら ■新田真剣佑や間宮祥太朗が演じたら、健との間に挟まって、(どっちもイケメンで)ヒロインが卒倒しちゃいますよ(笑)。

■上田 長髪の新人看護師(渡邊圭祐)と(健の姉役の)香里奈のカップルも気になるから、どっちのカップルを見ればいいの?

■折原 でもロン毛は、看護師としてはNG。縛らないと。香里奈は、やさぐれた感じの役が合ってて、いい感じ。

■なかはら 伊藤英明主演の『病院で念仏を唱えないでください』(TBS系)は、救命救急医として治療をして、僧侶として心のケアもする。煩悩をふり切れない僧侶が成長する、異色の医療ドラマなのがいい。必ずプールで泳ぐシーンも必見です。

■上田 ■英明の体形が大好き!腕の筋が素敵!

■折原 中谷美紀がいい。ああいう女医さんいる! という説得力がある。平凡なドラマだと思っていたけど、義理の父親に性的虐待された女の子が子宮破裂で死んじゃうのを見て、度肝を抜かれた。意外にヘビー?

■上田 ■『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系)は、自分が病気でもないのに、病んでしまいそう。元気なときじゃないと見られない。

■折原 がんを扱っていることもあり、まじめでちゃんとしている。息子が亡くなってウツになった義父(北大路欣也)が自殺しようとする場面で、(息子の妻で主演の)松下奈緒が電話をかけてきて“今日はカレーにしましょう”と言われて、思いとどまるシーンにはグッときた。

■『BOSS』の医者版みたいな天海を見たかった (折原)

■なかはら 『トップナイフ─天才脳外科医の条件─』(日本テレビ系)の手術シーンのドリル音は、いままでの医療モノでは聞いたことのない音ですごい。

■上田 第1話が腑に落ちなかった。脳腫瘍でDVがなくなった夫が手術後、元に戻ってしまうのではないかと心配する家族の葛藤を描きながら、その結果がわからないまま終わってしまいモヤモヤ。(エンディングの)ダンスが始まっちゃった。

■折原 脚本が林(宏司)さん、主演は天海祐希に期待していたけど、それほどではなかったな。

■上田 主役が“部長ぶっ殺す”っていうシーンがあるんですけど、医者が“ぶっ殺す”は冗談でもやめてほしい。大門未知子でも言わない。

■なかはら ■女性執刀医のドラマは、サバサバ感を出すために口が悪いのかも。

■折原 (広瀬)アリスちゃんは、去年の『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)の新人放射線技師とキャラが、かぶってる。

■上田 バーのマスター(古川雄大)はいらなくないですか? 彼が悪いわけじゃなくて、蛇足に思ってしまう。

■折原 この俳優さん、知らなかった。

■なかはら (テイストを)明るくしようとしているのか、ちょっとはずしている。

■上田 医者が行くようなバーに見えない。天海に、娘がいる設定もピンとこない。

■折原 ■もっと突き抜けてほしかった。『BOSS』(フジテレビ系)の医者版みたいな天海を見たかったな。

■上田 期待していただけに、がっかりです。

■折原 『病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜』(テレビ東京系)は、ビジネスもので面白い。

■上田 (病院が)倒産するとかどうでもいいです。

■折原 地域の人にとっては、どうでもよくない! 主演の小泉孝太郎もいい。安心できる俳優。

■なかはら 弟の進次郎が“お兄ィ”って呼ぶところが好き(笑)。優しい役もメチャ怖い役もなんでもできる。

■上田 去年の日曜劇場『グッドワイフ』(TBS系)で演じた弁護士役が印象的でした。

■あのスキャンダルで壊れないドラマでよかった (なかはら)

■折原 ■沢村一樹主演のシリーズドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』(フジテレビ系)は、妻子を殺された主人公のトラウマシーンが毎回、出てくるのがうっとうしい。時間軸が行き来するよりも、チームで事件解決していく1話完結ドラマにしてほしい。沢村扮する警部は、仲間を撃っていたのに、どうして懲戒免職にならないの?

■なかはら 最近の刑事モノは、無茶をやりすぎの人がいっぱい出てくるのが多い。

■折原 去年の賀来賢人主演『ニッポンノワール─刑事Yの反乱─』(日本テレビ系)みたいに突き抜けちゃえば、ファンタジーとして見られるけど、そこまでいっていなくて、中途半端かな。

■なかはら 『10の秘密』(フジテレビ系)は、(内容が)脳に入らないです。

■折原・上田 あーッ。

■上田 娘が誘拐されるというのが暗くて、率先して見てないです。

■折原 主役は向井理よりも、もっとアクの強い俳優のほうがよかったかも。娘を誘拐されて最終回まで追い続けるのかと思ったら、あっさり戻ってきたし、いろいろ中途半端。元妻役の仲間由紀恵に、もっとボコボコにされて、とことんついてない男のほうが面白いのに。

■なかはら ■最近の仲間は普通の奥さん役を演じない。だから、仲間が奥さんというだけでヤバイと思っちゃう。なんで普通の男が結婚したのか。結婚したほうが悪い(笑)。

■折原 サスペンスだけど緊迫感がなくて惜しい。普通の親子ドラマでよかったのでは?

■上田 ■吉高由里子主演の『知らなくていいコト』(日本テレビ系)は、柄本佑のエロさと素敵さ、重岡大毅のダメさが見逃せないです。

■折原 『心の傷を癒すということ』(NHK)で精神科医を演じた柄本もよかった。いつの間にかイケメン俳優になっている気がするけど、演技がとにかく上手。

■なかはら 重岡は、NHK(『これは経費で落ちません!』)に出ていたときは、可愛かったのに。

■折原 あのダメさ加減や、小者でクズっぷりが好き!

■なかはら 暗い話(ヒロインの実父が殺人犯)だとは思うけど、吉高ちゃんが明るいから救われる。

週刊誌記者役で主演の吉高由里子(中)、カメラマン役の柄本佑(右)、同僚で元カレ役の重岡大毅(左)

■折原 (実父の真相を探る)縦糸もあるけど1話完結で痛快感がある。最終的に暗くはならない予感がしています。

■なかはら 『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』(テレビ朝日系)は?

■折原・上田 好き!

■上田 ■2話直前の(桐谷健太とダブル主演する)東出昌大の不倫スキャンダルに“ろくでなし東出!”と。いままで演技力ではなくビジュアルや役柄で、やり過ごせていたのに、何をやっているんだ!

■なかはら こんなに(イメージが)全部壊れちゃう人がいるんだと思った。

■折原 ■いままでは杏ちゃんの旦那とか、好意的なフィルターを通して見ていたのね。

■上田 日にちがたつうちに、叩かれすぎてかわいそうかなと。ドラマの共演者やスタッフは悪くないし、刑事と検事が一緒になって仕事しているのがわかる設定も新鮮。刑事(桐谷)、検事(東出)、刑事の妹で検察事務官(比嘉愛未)のコンビネーションもいい。妹がふたりに関西弁でタンカを切るシーンは、水戸黄門の印籠に見えてテンション上がりまくりです。

■なかはら あのスキャンダルで壊れないドラマで本当によかった。

■折原 東出の役が、おバカキャラなのも合ってるよね。純愛ドラマだったら、見てられないけど。でも、シリーズ化するとしたら、検事役は代えるのかな……。

■なかはら ■“でっくん”の恋愛ドラマだったら、継続がヤバかったかも。

■大河は画面が明るかったけど、10分で慣れました (上田)

■上田 『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(日本テレビ系)は、3話まで一生懸命見たけど(悪者退治の)ワンパターンになるのかと思ってしんどくなってきました。でも、ミスパンダ(清野菜名)のアクションはすごい。

■折原 ■身体能力はすごいよね! 扮装が、ヤッターマンにしか見えないけど。

■なかはら 声色を変えているからギャグっぽいのでは。

■上田 これからどうなるのかは気になるし、メンタリスト(横浜流星)って面白いなと思って見ています。

■折原 続きが気になるといえば、日曜劇場『テセウスの船』(TBS系)。展開がすごくて、真犯人が気になるけど、原作漫画は読まないでおこうと。

■上田 原作者が真犯人を変えてもいいという許可を出しているみたいですよ。

■折原 ■タイムスリップする主人公(竹内涼真)の要領の悪さにイライラする。もっとやりようがあると思うけど、竹内くんは、本当に泣いていて一生懸命、演じているのが伝わってくる。

(左から)清野菜名、横浜流星、竹内涼真、鈴木亮平

■上田 見るのに力が入る、ハイカロリーなドラマ。雪山が舞台のせいもあるけど。

■折原 病院内の狭いスペースのドラマが多いから、広々した雪山だけでも貴重です。

■なかはら 硬派の枠なのにギャグ? と思った。鈴木亮平が“未来から来た”という竹内を簡単に受け入れたみたいに信じちゃう人ばかり。『JIN─仁』(TBS系)みたいに誰もわからないなかで苦悩するのとは違うな、と。

■上田 ツッコみどころはあっても、主人公が父親の冤罪を晴らすために頑張れという気持ちで見ています。大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)は、画面が明るかったけど10分で慣れました。

■折原 畑の色がビビッド。■沢尻エリカの代役を務める川口春奈が思いのほかいい。

■上田 彼女が登場すると、ここを撮り直したんだ、とか思って見ちゃう。■一緒に見ている子どもが(主演の長谷川博己の)十兵衛シーンで朝ドラ『まんぷく』の萬平さんがしゃべっていると指摘し、確かに萬平さんと錯覚してしまう。

■なかはら (長谷川は)いつもはちょっとクレイジーな役が多いから。そこを求められているんだから、いいのでは。こんな可愛い感じの主人公なら見ようかなと思う。

■上田 序盤はドラクエ。病床の奥様のために旅に出て名医を探して、城主のために鉄砲を持ち帰る。

■なかはら ミッションはこなすけど困った人は助けない。鉄砲の買いつけで出会った松永弾正(吉田鋼太郎)がニヤッと笑うシーンは『おっさんずラブ』かと思った(笑)。

■上田 ■農民の菊丸(岡村隆史)が3番手になっているのは、よっぽど重要なのかな。最後に、明智光秀(長谷川)を刺すフリをして、天海僧正になると予想しています。

(左から)岡村隆史、川口春奈、長谷川博己

■折原 クライマックス予想が早すぎ(笑)。

■なかはら 現代風を醸し出したバラエティーに富んでいた最近の大河よりも見やすい。

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