ASKAがコロナが死滅するという“怪しい機械”を開発「僕に投資して」

ASKA

「■一刻も早くこの機械を世界にお届けしたい! その一心です。世界の投資家の皆さん、ぜひ僕に投資してください。世界が助かります」

 ソロ10枚目となるアルバムを発売した■ASKA(62)が、発売当日である3月20日にYouTubeに動画をアップし、こう叫んだ。

「■いま世界は新型コロナウイルスの脅威の前になす術がありません」

 そう。ASKAの言う通り、いま世界は大混乱中だ。日本の首都である東京も、封鎖が現実味を帯びている。そんななか彼は、“■コロナウイルスを死滅させることができる”機械を開発したというのだ。

「■すべての匂いを無臭化してしまう。すべての雑菌、ウイルスを死滅させてしまうという機械を思いつきまして、すでに7年前から開発に入っておりまして、2年前には開発に成功しました」

「■この地球上のすべてのバクテリア、雑菌、ウイルスはオゾンによって簡単に死滅します。1ppmのオゾン濃度があれば、死滅してしまいます」

「■われわれが今回開発した機械は、オゾン濃度5ppmまで達しました。これを全世界の皆さんのご家庭に早くお届けしたい」

 ASKAが開発したという機械は、水道水をオゾンが含まれた“オゾン水”に変換する機械だそうで、作ったオゾン水を対象物にかけることで一瞬で殺菌できるという。実際に大学の研究機関で検証してもらい、高い殺菌力を証明してもらったとも話していた。

 しかし、この機械は「■頑張って、頑張って、1万台作って3万6000円」と安くはない価格。そのため彼は投資家に向けて、力を込めて次のように叫んだ。

「■全世界に公開したい。全世界の投資家が、この機械に投資していただければ、みなさんのご家庭で、ほんと数千円の価格になる。決してコロナは怖くない。コロナは(殺菌できるという)検証したか? 検証できないんです! この国では! させてもらえないんです」

 ASKAの言うように、オゾン水は本当に殺菌効果があるのだろうか。

■専門家が話す“オゾン”とは

 酸素原子が3つついた『O3』がオゾン。殺菌や脱臭などの効果があるため、浄水場など幅広い分野で利用されているという。

「■高い殺菌力があるということは事実です。また、霧も含めた“オゾン水”が、コロナウイルスに対しても殺菌効果があることを示した学術論文も確かに存在します」

 そう話すのは、新潟大学名誉教授で、医療統計の第一人者と呼ばれる医学博士の■岡田正彦先生。しかし、ASKAのオゾン水スプレーについては「■きわめて危険」と警鐘を鳴らす。

 ppmというのは濃度の単位であり、ASKAの機械は5ppmの濃度のオゾン水を作ることができるのだが……。

「まず濃度が非常に高すぎますね。オゾンというのは自然界にも微量ですが存在しています。場所にもよりますが0.02ppmから0.05ppm程度。

 ■5ppmというのはものすごい高濃度。そのくらいの濃度のオゾンを人間に使うとどうなるかという厳密な検証データはありません。オゾンを使った治療に関しては、それ以上に効果があり、安全性も高い抗生物質がありますので、現在は行われていませんね」(岡田先生)

 またスプレー型という部分にも問題があるという。ASKAは動画で、「外から帰った方には、これでスプレーをかければ、一瞬で殺菌ができます」と語っていた。

「人間の肺の細胞を試験管の中で増やして、そこにオゾンを当てたらどうなるかという実験がありました。肺の細胞を死滅させてしまい、■極めて有害だという結論でしたね。オゾンが細胞を死滅させるのは、いろんな複雑なメカニズムがあって、まだ正確にはわかっていないけれど、毒物として肺の細胞を痛めつけるという証明です。スプレーだと身体にふきかけたときに、直接吸い込むことになります。■人体にとってきわめて有害だと思いますね」(岡田先生)

 オゾンを研究している特定非営利活動法人『日本オゾン協会』という組織がある。同協会が発刊している『オゾンハンドブック』の“ヒトに対する生体影響”という項目に、こんなデータがあった。

●0.1ppm程度から鼻、のどの刺激
●0.2〜0.5ppmで視力の低下
●0.4〜0.5ppmで上部気道の刺激
●0.6〜0.8ppmで胸痛、せき
●1〜2ppmで疲労感、頭痛、頭重、呼吸機能の変化
●5〜10ppmで呼吸困難、脈拍増加
●50ppm以上で生命の危険が起こる
(特定非営利活動法人 日本オゾン協会発刊『オゾンハンドブック』より)

 ASKAは、「精製したオゾン水濃度を10分間2ppm以上で維持させることに成功しました。専門医師によれば、2ppmのオゾン水であれば、現在地球上のどんなウイルスをも死滅させることができるとのことです」と話している。

 2ppmのオゾンは、疲労感、頭痛、頭重、呼吸機能の変化が出てしまうという研究結果が出ているのだが……。

 そもそもオゾンやオゾン水を作ることのできる機械はすでに存在しており、国民生活センターの調査によると、'04年からの5年間において、『家庭用オゾン発生器』に関する相談が410件寄せられている。

 そのうち「利用したら気分が悪くなった」「オゾンガスが体によくないとの情報があり不安」など、安全性に関するものが67件だった。

 国民生活センターは、調査によって次のようなことを消費者へのアドバイスとしている。

《■使用方法によっては危険なオゾン濃度となるものがあり、また、オゾン発生量等の表示を見ても専門知識のない消費者が安全に使用することは難しいと考えられた。このような現状のもとでは、購入等は避けた方がよい》

■ASKAの機械の検証をした教授に話を聞くと

 ASKAは、オゾン水精製の機械の開発にあたって、静岡県立大学にて検証を行なったという。検証を担当した■内藤博敬助教授(当時は静岡県立大学、現・農林環境専門職大学)に経緯と検証内容について話を聞くと、

「数年前にオゾン水スプレーの評価法について論文を出しました。オゾンは壊れやすいので、オゾン水をボトルに詰めてスプレーしても効果はありません。ボトル内で作る必要があるため、開発中の機器を借りてスプレー噴霧後の除菌効果検証法を開発したのです。

 ■ASKAさんの会社から試験の話が来たのは、'18年度に入ってからだったと記憶しています。その時点での試作機では除菌効果は見られなかったので、その旨の結果を返し、気になる点を指摘しました。

 開発、改良を誰が行ったのかは知りませんが、本年度に再度試験依頼を受けた機種では、噴霧後に一定量のオゾンの存在が確認され、除菌効果もみられたというわけです。結果を返す際には、電解する電極、使用時間について機器そのものに改良の余地があることもお伝えしています」

 ASKAの機械の検証を行なった内藤教授は、次のように続ける。

「オゾン水の中には、“飲めるオゾン水”と謳うようなまがい物があることも事実ですし、スプレーだけでなく効果の疑わしい機器の販売も目にするようになりました。少し前には、“血液クレンジング”でオゾン療法が取りざたされたりもしましたし、怪しまれても仕方のないことだと思います。学会としても、こうした機器と区別するため、評価の公定法制定に取り組んでいるので、近いうちに、認定マークなどを付けられるように頑張ります」

 現在、ASKAは機械について語った動画を削除してしまっている。ブログでは、

《■「クラウドファンディング」も視野に入れて動こうと思います》

と、積極的に発信していたはずなのに、いったい何があったのか。

 開発の経緯や今後について、ASKAと共同開発したという企業に問い合わせてみたが、期日までに回答はなかった。

 ASKAは今年1月に急性咽頭炎により、大阪でのコンサートを延期している。急性咽頭炎はウイルスや細菌などの感染や声の使いすぎなどが原因だ。彼は歌手であるため、声を使いすぎることはあるだろう。

 しかし、もし原因がウイルスや細菌によるものだったら、2年前からすべてのウイルスや細菌を死滅できるオゾン水を使っているにもかかわらず、回避できなかったことになるのだが……。

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