テレビ界のリモート番組制作に限界か「1周回って飽きた」に苦戦の日々

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ界でもさまざまな番組でリモート出演が導入され、定着しつつある。

「ニュースやワイドショーばかりでなく、5月に入ってからは、ドラマやバラエティーのリピート放送をする際に、出演者が冒頭やエンディングなどでリモートで出演。そして、紹介や本編の“フリ”を入れてカットを導入する取り組みも多く見られるようになってきました」

 と、あるテレビ誌記者は言う。

■「特に民法の場合はスポンサーの関係で純粋な再放送ではなく、“特別編”とか“傑作選”と銘打って、新規の放送という形をとることも多いため、出演者のリモートカットを入れるということが手段のひとつになったのでしょう」(同前)

■リモートで生じる“ズレ”と視聴者の飽き

 このリモート出演が本格的に導入されるようになってから1か月以上が経過したが、日々、最新の情報が更新される報道番組やワイドショーはともかく、バラエティーなどでは、そこまで無理に出演しなくてもいいのではという向きもある。

「ロケに出られなかったり、ひな壇に座らせられないための苦肉の策でしょうが、■番組のレギュラータレントが、今、何をして過ごしているかを語られても、視聴者もそれほど興味を持てないのではないでしょうか」(同前)

 リモートであることを逆手に取ったドラマの制作をNHKが手がけるなど、さまざまな可能性を探っていることは確だが、やはり限界があるのだろうか。ある放送作家は、

■「手法に関しては、まだ試行錯誤の途中なので限界とまではいえませんが、今の番組づくりではソーシャル・ディスタンシングによるテンポなどの限界は感じます」

 と言う。

「■同じスタジオで距離を取って放送する場合はまだ大丈夫なのですが、自宅や楽屋などとつないで放送する場合には、どうしてもテンポにある程度の“ズレ”が生じてしまいます。その場の空気がどうなっているかわからないため、盛り上がりにくくなってしまうということはあります」

■■急には「ひな壇復活」とはならない

 こうなると、本来の力を発揮しにくいタレントも出てくる。MCとは別に、ひな壇にいながらひな壇タレントのトークを広げ、場の空気を盛り上げていく、「裏回し」と呼ばれる役割のタレントがそのひとつだ。

■「この人がいてくれればひな壇がは盛り上がる、という存在なのですが、今のリモート形態ではなかなかその役割の出番はありません。さらに、ツッコミのタレントさんは、話がどうしても途切れることになるので、けっこう難しいですね」(同放送作家)

 先ほどの、レギュラータレントが自宅で何をして過ごしているかという放送も、自宅でやれることにも限りはあるため、2周目以降になると、視聴者を飽きさせることになる。前出の放送作家は語る。

「リモート収録で最初に共演者とやり取りするときには、一般の人が会話するのと同じで、“今、世の中大変だけど、どうしてる?”という日常会話と同じで、“今こんなふうに過ごしている”というやり取りになるのが普通です。

 ■しかし、特に売れっ子のタレントは、いくつもの番組で同じような時期に同じようなことを語らなければならないため、どうしても“こないだも見たな”となってしまいす。まだしばらく、こういった収録スタイルが続く予定なので、各番組が飽きられないよう、考えているとこですね」

 5月14日、39県で緊急事態宣言が解除された。それにともない、名古屋や福岡のテレビ局が先陣を切って通常の収録スタイルで番組制作し、放送されるようになるのだろうか。

「■解除された県も、ソーシャル・ディスタンシングを保って、『新しい生活様式』にのっとった行動が必要とされているので、解除されたからといって、急にひな壇復活、街ロケ復活とはならないです。

■ しかし、東京や大阪でロケができなくても番組の収録は行います。空間を取るなどの対応をしながら、近況報告以外の形でリモートでのやり取りも模索しながら、今後は進んでいくと思います」(同)

 前出の放送作家は、新たな番組づくりに期待するという。

■「先日、放送された『有吉の壁』(日本テレビ系)では、芸人がリモートでそれぞれおもしろいことをやって、有吉さんがそれを見るといったスタイルで放送されていました。トークや屋内でやれるものを工夫して、リモートであることを面白く活用できる手法が、これからいろいろ出てくるはずです」

 新しい生活様式準拠の、新時代のヒット番組も、生まれるにちがいない。

<取材・文/渋谷恭太郎>

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