羽生結弦選手の被災地に寄り添い続けた10年、コロナ禍でも貫く「共に、前へ」の思い

羽生結弦選手

 東日本大震災から10年。特別な思いで迎えているのがフィギュアスケートの羽生結弦選手だ。

■被災地や被災者に寄り添う羽生結弦選手

 ■当時、16歳の羽生選手は故郷・仙台市にあるアイスリンク仙台で練習中に被災、避難所生活を送った。練習リンクは大きな被害を受けた。「このままフィギュアスケートを続けられるのか」。不安を抱えていた。

 震災前年にジュニアのグランプリファイナルと世界選手権を優勝。次代のエースとして期待が集まるなか、羽生選手は練習環境と復興支援目的のために全国のアイスショーに出演して競技を続けた。

 17歳からは拠点をカナダに移したが、アイスリンクの復興支援キャラクター「アイリン」の手袋をはめて練習してPRにひと役。人気となり品切れになるほどだった。

 ■折々には被災地や被災者に寄り添う発言をしている。

 19歳で■ソチ五輪金メダルに輝いた際は■「希望であったり、みなさんの応援の象徴になったらうれしい」

 ■平昌五輪では66年ぶりの連覇を達成。快挙に仙台で凱旋パレードが行われ、国民栄誉賞を受賞した。■「まだまだ復興に課題があるなかで、手助けになるような行動をしていきたい」

羽生結弦選手 2018年2月13日、平昌冬季五輪フィギュアスケート(日本雑誌協会代表取材)

■“共に、前へ”の思いを伝える展覧会

 10年の節目に■『羽生結弦展 共に、前へ 東日本大震災 あの日、そして今』が仙台で26日から開催(事前予約制)されている。東京での開催はすでに終了し、仙台のほか今後は大阪、宮崎を巡回する予定だ。

 “共に、前へ”踏み出せるようにと願う羽生選手の思いを伝える展覧会で、■「羽生選手自身の避難所での体験や被災地で出会った人たちとの“あの日”と“今”を伝えるとともに、震災の風化が進むなかで、改めて震災について考え、防災への意識を高める機会になればと思います」と関係者。

 会場入り口には■「自分が持っているものを一生懸命やるっていうのが、僕の勇気の出し方かな」と羽生選手のコメントが紹介されている。

■4年ぶりに世界王者を奪還できるか

 3月22日からはスウェーデンのストックホルムで、新型コロナウイルスの影響で中止された世界選手権が2年ぶりに開催を予定している。

 昨年末の全日本フィギュアスケート選手権で合計319.36点をマークし、2位に35点近い差をつけて圧勝した羽生選手。

 全日本5年ぶり5回目の優勝に、特別な思いを口にした。

■「(コロナ禍での)医療従事者の献身ぶり、職を失ったり、お金が入らない生活で苦しい方々がいるなか、フィギュアスケートをやれることは恵まれている。少しでも自分の演技が、そのときだけ一瞬でも生きる活力になれたら」

羽生結弦選手 2018年2月16日、ピョンチャン冬季五輪フィギュアスケート(日本雑誌協会代表取材)

 世界選手権2連覇中のライバル、ネイサン・チェン(米国)との対戦に注目が集まり、4年ぶりに世界王者を奪還できるのか。

■「優勝するためには、ミスをしないのがいちばん大切。全日本での完璧な演技での優勝は、ミスをしてはいけないことを証明してみせました。難易度の高いジャンプを組み込むかどうか。(基礎点の高い)ツッルを入れるのか。4回転アクセルに挑戦するのか。どう作戦を練ってくるのか楽しみです」(解説者の佐野さん)

 震災、コロナ禍と悲しみや苦しみに直面した人々に寄り添う羽生選手が、氷上で持てる力を表現し頂点に立つことは、多くの人の癒しとなり“風化させない”手助けと活力につながっている。

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