金メダルスケートボード西矢椛選手14歳の強さとは…取材した新人ディレクターも元強化選手だったから見えたもの

金メダルスケートボード西矢椛選手14歳の強さとは…取材した新人ディレクターも元強化選手だったから見えたもの

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東京五輪のスケートボート女子ストリートで初代王者に輝いた西矢椛(もみじ)選手。日本史上最年少の13歳(当時)で金メダルを獲得した偉業は、歴史にあざやかに刻まれた。そんな西矢選手を五輪前に取材したディレクターがいる。読売テレビ『あすリート』(毎週土曜 ひる11:35〜)の堀庭裕平ディレクター(24)だ。

彼は神戸大学時代に「2018 世界大学空手道選手権大会」の男子個人形で優勝。東京五輪の空手で有力候補と見られたが惜しくも代表落ち。ならば、魅力あるスポーツ選手を取材する仕事がしたいと読売テレビに入社。まだ五輪競技として認知の低かったスケートボードの西矢選手に注目し、企画書を書いた。それが通り、初取材となったのだ。

【スケートボード/ストリート】あすリート#356 西矢 椛【あすリートチャンネル】多くのメディアで取り上げられているニューヒロイン“もみじちゃん”だが、あどけなさの向こうに見える強さとは一体何か? 今春入社したばかりの堀庭ディレクターに聞いてみた。

【企画 : 藤生朋子 / 取材・文 : 鈴木しげき】

心から楽しむことが勝負強さにつながる

――西矢選手の素顔はどんな感じでしたか?

堀庭 : イタリアで行われた世界選手権が終わった6月に取材をさせていただきました。そこで公開練習を見せてもらい、その後にインタビューを行い、さらにオリンピックが終わった後にも東京で取材をさせていただきました。

取材の時はちょっと緊張されているのかなという印象でしたが、スケートボードを一緒にやっているみなさんと話している時は、無邪気な、あどけなさの残る、中学2年生の女の子でした。

ただ、いざ練習となるとすごく真剣で、失敗しても何度も挑戦し続けていて、技が決まった時はとてもうれしそう。心からスケートボードを楽しんでいる様子が印象的でした。

――アスリートとして西矢選手の強みはどんな部分に感じましたか?

堀庭 : 個人的な意見ですけど、勝負強さがスゴいと思いました。西矢選手はあまり緊張しないイメージが強かったんですが、それでも五輪の前半はミスが出て「思うようにいかなかった」と話されてました。

けど、切り替えてからは思いきった演技を見せることができる。本番でそういった技を決められる勝負強さ。改めてスゴい選手なんだと感じました。

――確かに遺憾なく発揮してる感じがありました。

堀庭 : どんなに好きな競技でも試合となったら緊張するものだと思うんです。不安もよぎりますよね。西矢選手はそういうのはあまり感じられなくて、自然体のよさがあると思いました。天真爛漫さと言いますか。金メダルをとるような選手はそこが違うのかなと思います。

――ちなみに堀庭ディレクターも空手の日本強化選手でしたが、試合では緊張しませんでしたか?

堀庭 : 僕はめちゃめちゃ緊張するタイプでした(笑)。ひとりで抱え込んでしまうので、家族や仲間に話すことで緊張を解いていました。

やはり緊張しない方がパフォーマンスは発揮できるかと思います。ほどよい緊張だと、身体の動きが上がるというのはあるかもしれませんが、基本は自然体で臨むのが一番かと。普段の練習のように本番でも演技をする。西矢選手はそこが素晴らしいですね。

――新世代だなと感じるところはありましたか?

堀庭 : 何度もお会いしているわけではないので詳しくは語れませんが、『自分の高め方』が新しいのかなと感じました。

空手と比べて競技性の違いでしょうか、スケートボードの場合、直接の指導者が教え込むというより、まわりの大人や先輩たちに教えてもらいながら、自分で練習して極めていく感じがありました。

技を知っている人たちから教えてもらい、吸収したら自分も教える。そんな練習スタイルに新しさを感じます。

マイナー競技にスポットを!挑戦を楽しむのが次世代

――堀庭ディレクターも学生世界一になったわけで。東京オリンピックには出たかったですか?

堀庭 : 出たかったです。ただ、空手の形では五輪初代王者になった喜友名諒(きゆなりょう)選手の実力が圧倒的ですから、自分が選考からもれたのは実力差だと思っています。

就職活動をはじめる前には出られないことが決まったので、そこからはメダルを目指す側ではなく、取材する側として新たなスタートを切りたいと考えました。

――目指す側から取材する側へ?

堀庭 : 僕自身、学生時代に取材を受けた経験があって、その時のまわりの反響が大きかったのは記憶としてしっかり残っています。空手の形は野球やサッカーに比べるとマイナー競技でしたが、注目してもらえて興味を持ってくれる人が現れた。さらに自分を知ってもらえた。これはすごく嬉しい経験でした。

そんな経験ができたので、同じように、まだ日の当たらない競技でも取り上げることでその魅力を知ってほしいという思いはあります。同時にそれは選手の励みにもなります。

――西矢選手を取材したいと思ったのもそんなきっかけから?

堀庭 : たまたま友人にスケートボードをする人がいて、「こんな選手がいるよ」と教えてもらったことがきっかけです。五輪の新競技に採用されましたし、調べてみたら「西矢選手から話を聞いてみたい!」と強く思って、企画書にまとめました。そしたら、たまたま公開練習があるというので、先輩に指導をもらいながらなんとか取材することができました。ラッキーでしたね。

――若いアスリートに共通する強さってなんだと思いますか?

堀庭 : まだいろんな選手を取材させてもらっているわけではありませんから、よくわかりませんが、西矢選手を見ていて、先輩に対して挑戦することを楽しんでいる印象は受けました。臆することなく勝ちたい、胸を借りて挑む。そんな姿勢はもしかしたら新しい世代のよさかもしれないなと思いました。

今回の取材で、僕自身すっかり西矢選手のファンになったので、これからもそのスタイルで貫く姿を見たいですし、追いかけたいです。応援しています!

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