情報分析でメダル獲得へ!情報分析システム「GOJIRA」が目指す0.3%とは?

情報分析でメダル獲得へ!情報分析システム「GOJIRA」が目指す0.3%とは?

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全日本柔道連盟で情報分析を担っている石井孝法が、11月16日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20〜)にゲスト出演。スポーツにおける情報分析の重要性と活用術について語った。

現役時代、重量級のトップクラスで活躍し、鈴木桂治や井上康生らとしのぎを削った石井。代表チームで情報分析を統括するようになったのは、2012年のロンドンオリンピックがきっかけで、この大会で日本男子柔道は史上初の金メダルゼロという屈辱を味わった。その要因の一つに挙げられたのが情報分析の少なさ。新監督に就任した井上は、その穴を埋めるべく石井に白羽の矢を立てた。

すると石井は、映像を使った情報分析システム「GOJIRA(GOLD JUDO IPPON REVOLUTION ACCORDANCE)」を開発。味の素ナショナルトレーニングセンターの柔道場にタッチパネル式のモニターが設置され、この中に2013年から約2万試合4千人以上のデータを蓄積。有力外国人選手の通算戦績や対日本人に絞った戦績、一本や技ありなど勝敗パターンの傾向、得点した時間帯、繰り出した技や決まった回数の割合、技をかけた際に握っていた部位などを瞬時に確認、映像で試合の模様を見ることもできる。

これらのデータを駆使することで「まずは相手のいいところを消していく」という石井。それを象徴するシーンが、リオオリンピックの柔道男子90s級準決勝でベイカー茉秋が中国のダークホース程訓サと対戦した際に見られた。まったくのノーマークだったため事前に情報がほとんどなく、石井は大会中の映像を分析。すると、程は技をかける直前に必ず左手を空け、次の瞬間大外刈りを仕掛けてくることを突き止めた。そこでベイカーは間合いを詰め相手の左手を封殺。見事に一本勝ちを収め、そのまま決勝も制して金メダルを獲得した。

そして石井は、選手だけではなく審判の分析もすると明かし「最後の1分間で反則を取る審判と取らない審判がいるので、それがわかっているだけで対応はまったく変わってくる」と解説。「サッカーでも、笛を早く吹く審判なら注意しなくてはいけないとか、相手に吹かせるように進めるなどすると思う」と審判の傾向を知ることの重要性を訴えた。

さらに石井は、オリンピックで日本柔道がメダルを獲れるか否かは、わずか0.3%のパフォーマンスの違いだと分析。リオでは情報によって0.1%のパフォーマンス向上を目指したが、東京に向けて目指すのは、メダル獲得を左右する0.3%。それを成し遂げるために重要視しているのが「情報の知性化」で、例えば天気の場合、降水確率100%、風速12m/秒、気温28度、湿度80%という情報があると、降水確率100%なので傘を持って行こうと考えがちだが、実のところ風速12m/秒は傘をさしていられない強風。この場合、レインコートにするか自宅待機にするか別の対応が求められる。「選手が必要とする情報を予測して、その対策をしていく。単純に生データを出しても意味がない」と話した。

そのほかにも石井は、選手への情報の伝え方を整理した。それまではコーチやトレーナー、家族や仲間、栄養士などから、あらゆる情報が選手に集中して混乱を招いていた。そこで情報は石井のもとに集約され、その内容を石井が精査してコーチへ。コーチから選手へは本当に必要なものだけが伝わるようにした。こうした組織作りが今の日本代表の大きな強みになっている。「井上監督もオリンピックの金メダリストなので、感覚的・直感的な部分は世界一のモノを持っています。僕たちが客観的なデータを合わせていくことで、より良い意思決定をしていける」と狙いを明かした。

そして石井は「ただ勝つだけではなくて、その先に日本が何を世界に発信できるのか。このポロシャツの背中にはそのメッセージが入っている」と言って東京オリンピックへの思いを吐露。ポロシャツには1964年の東京オリンピックの無差別級決勝でアントン・ヘーシンクが神永昭夫から一本勝ちを収め、喜ぶチームスタッフが土足で畳に上がろうとした際に、ヘーシンクが「土足で上がるな」と制止した瞬間が描かれている。「僕たちがあのシーンを見た時、2度負けた感があった。柔道も負けたし、人間性もあそこで見せつけられた。これを取り戻すためには、次の東京で試合も勝って、選手やコーチが何を示せるかが大事。アスリートは今後そういうところが求められるのかなと思います」と、その在り方についても考えを明かしていた。

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