向かうところ敵なし! おばたのお兄さん、靴飛ばし大会でV2達成 強さの秘密に迫る

向かうところ敵なし! おばたのお兄さん、靴飛ばし大会でV2達成 強さの秘密に迫る

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大空に舞い上がった靴を目で追うのは、いつ以来だろうか。その靴を一番遠くまで飛ばしたヤツが一番偉いのは、何年ぶりのことだろうか??。

子供の頃に熱狂した「靴飛ばし」。先日放送された読売テレビ『ビッグ☆プレイ』で、世界唯一とも言える靴飛ばし大会「スーパースカイシュー」の第2回目が開催された。そして、その場で他を圧倒し、見事2連覇を達成した男が現れた。

キックボクサーの那須川天心、ラグビー日本代表の稲垣啓太、プロレスラーのオカダ・カズチカ、競輪選手の三谷竜生といった日本が誇るトップアスリートたちを制して、その偉業を成し遂げたのは「おばたのお兄さん」。お笑い芸人という本業の皮を被った、靴飛ばし界の“ビッグ☆プレイヤー”だ。なぜ彼はそこまで強いのか。ベールに包まれた謎の強さの秘密に迫る。

文:木下拓海 撮影:飯田協平 企画・構成:村上高明

唯一の60m超え、正真正銘の“ビッグ☆プレイ”
今年3月に放送された第1回大会の『ビッグ☆プレイ』で、50.04mという記録を残して優勝したおばたのお兄さん。ディフェンディングチャンピオンとなった彼は、第2回大会を迎えたその日をこう振り返る。

「怖かったですけど、“プロ靴飛ばしプレイヤー”としての自覚があったので、絶対に王座を譲りたくないという気持ちでした」

天気は快晴、絶好の靴飛ばし日和。前大会よりも高さが5m増しとなったクレーンは、地上高35mになる。そろりそろりとおばたは座席ごと吊り上げられ、固定フックが解放される。すると、それはたちまち獣のような振り子となって地面に向かって突進する。

「靴を蹴るタイミングと角度がとても重要です。振り子なので、当然一番奥まで振りきったときに蹴るほうが、その分、距離が稼げるのでいいのですが、どうしても身体が真上を向いてしまう。その姿勢で足をフルスイングすると、靴が野球のフライみたいに真上に行ってしまって、逆に距離が出なくなってしまうんです」

したがって、振りきる手前のポイントがいい。なるだけ足を前方にスイングできつつ、距離が稼げるギリギリの位置を狙う。

「そして、全身のバネを1カ所に集めるような感覚で、下半身だけでなく体幹を使って弓のように蹴りだします。同時に、靴底を掴むように曲げていた足の指先をピーンと伸ばして足先にも力を伝え、投球フォームみたいに靴を離すんです」

おばたの蹴り方は独特だ。一旦左足を上げてから、それを振り下げる勢いで利き足である右足を蹴り上げる。そして靴はおばたの足先を離れ、綺麗な放物線を描いて飛んでゆく。

「今回は100点の位置で飛ばせた気がしました」

その軌跡はまるで一筆書きのようにエネルギーに無駄がない。ちなみに靴は、前大会でも“相棒”を務めた革靴だ。

「何かを飛ばすには、ある程度の重さが必要だと思ったんです。それに若手芸人でお金もないし、ちゃんと履いてる靴は飛ばしたくなかったので、もう履かなくなったボロボロの擦り切れた革靴にしました。芸歴1年目のときに私服兼冠婚葬祭用として買ったやつなんで、もう6年くらい前の靴ですね」

そんな革靴が地面に転がり動きを止めた。その距離、60.02m。今大会で唯一かつ前人未到の60m超えである。キックボクシング世界王者の那須川天心の56.54m、ラグビー日本代表の稲垣啓太の55.2mという記録がそれに続く。

「今回はクレーンが高くなったとはいえ、最初に飛ばした稲垣選手は、前回の僕の優勝記録をいきなり5mも上回ってきましたからね。さらに、天心さんは気合の入り方からしてすごかったです。飛ばした瞬間『これは食われた』と思いました。しかも着地してから2回ぐらい地面を転がったんですよ。それを見て、『神様まで味方してるのか…』って」

他に、プロレスラーのオカダ・カズチカ、競輪選手の三谷竜生といったトップアスリートたちも参加した。加えて芸能界からは、サッカー強豪校で主将を務めた芸人・パンサーの尾形貴弘、オードリーの春日俊彰、なかやまきんに君、そしてGENETATIONS from EXILE TRIBEの関口メンディーや中務裕太と、並みいる脚力自慢たちが集まった。

「このメンバーの中で2連覇できたことが本当に冗談抜きで、今後の僕の芸能生活にすっごい響いてくると思うんです。だからとても感謝してます。でも靴飛ばしに関しては、あの中で僕が一番だなっていう自信がありました」

前大会は、自らの未知の才能に出会った瞬間だった

しかし、なぜこれほどまでにおばたは強いのか。2連覇という結果に「誤算でした」と番組プロデューサーも頭をひねる。意外な才能に「ビックリしましたよね。あれだけの人たちを抑えて優勝するなんて…」と驚きを隠せない様子だが、おばた本人もまた自らの才能に驚いている。

「自分でも靴飛ばしの才能があるなんて思ってもなかったです。最初は単純にサッカー的な、蹴る競技をしてる方が強いんだろうなって思っていました。だからいきなり優勝できた第1回目は、自分の才能に出会った瞬間だったんですよ」

靴飛ばしは、幼い頃によくやっていたそうだ。地元は、米どころで知られる新潟県の魚沼市。当時は山野を駆け巡る少年だったという。

「めちゃくちゃ野生児でした。小学校3年でテレビゲームに飽きて、近くの山の中に入って、落ち葉をかき集めてバク転の練習をしたりとか、星飛雄馬みたいに木にボールを壁当てして遊んでました。その後はずっと野球部だったんで、魚沼の山を駆け上がるようなトレーニングもしていました」

やがて水泳、剣道、アルペンスキー、ラクロスなど、様々なスポーツをやるようになったおばた。それゆえ全身を使ってピンポイントのタイミングを図る、靴飛ばしという競技に向いた“感覚”が磨かれたのかもしれない。

「だけど裏を返すと、全部中途半端だったんですよ。野球も高校のときは2回戦負けだし、日体大に行ってラクロスをやって一応、日本一にはなってますけど、でもその時はベンチにいたし…。ちゃんとしたタイトルを今まで獲ったことなかったので、『これだけは』っていう気持ちはありました」

そして本業であるお笑い。こちらもなかなか結果が出ずに焦りもあったようだ。

「芸人としてデビューして6年になるんですが、まだ結果が出ていないので、『これを逃すと何もないぞ』っていうプレッシャーが今回の結果につながったのかなと思います。普通のバラエティー番組と違って、この番組では僕は面白くなくていいので、本当にありがたいです」

そう微笑んで答えるおばた。崖っぷちを意識したハングリー精神こそが彼の強さの秘密なのだろうか。「この競技はぶっつけ本番なので、1発でキメられるその人のハートが試される」と言っていた、那須川のコメントを思い出す。

「天心さんや稲垣さんといった他の参加者の皆さんより僕は筋力がないわけで、本当にベストを出さないと優勝できないと思うんです。ベストな角度とタイミング。それを確実に引き出せる力ですね」

ちなみに、2連覇を達成したことを妻であるフジテレビ・アナウンサーの山ア夕貴に報告したところ、「さすが、そういうところ?」と褒められたのだそうだ。それに対して「多分、そういうところで結婚できたのかな」と言うおばた。夫婦間の“そういうところ”は何を指しているのか断定はできないが、おそらくそれは本番で力を発揮できる“決定力”のことなのだろう。
みんなヒーローになれる可能性がある、僕のように
向かうところ敵なし。誰よりも遠くまで靴を飛ばせるおばた。2連覇を達成した今、彼の元には1バラエティー番組の企画で優勝したのとは、ちょっと違う反応が周囲から返ってきている。

「パンサーの尾形貴弘さんが各所で、『あいつの身体能力は本物。もし何かの競技を突き詰めたら、絶対その道でプロになれる』って言ってくれてるみたいで、それがとてもうれしいです。尾形さんはもともと仙台育英のサッカー選手で大学もサッカー推薦で行ってますし、そんな“ほぼプロ”みたいな方にそう言ってもらえるなんて…」

さらに、前回今回と1位2位争いを繰り広げた好敵手・那須川からは、LINEの返信がすぐ来るようになったそうだ。

「1回目のときにLINEを交換したら、『僕、本当に返信遅いんで気にしないでください』って言われたんですけど、前回よりも既読がついてからの返信スピードが速くなってます。もし3連覇できたら、秒速で返信してくれるどころか、多分電話がかかってくるようになると思います」

そして、うれしそうにこう語る。

「今回、天心さんに『おばたさんが大会に参加するのは嫌だ』って言わせたんですよ。つまり、『もうこいつには勝てねえ』ってことですもんね。こんなにうれしいことはありません!」

また、気になるのは視聴者からの反応だが、おばたはいつもとは違う空気を今、感じているという。

「僕みたいに実力がない人間って、キッカケとなるときがわかるんですよ。僕、小栗旬さんのモノマネで世に出させてもらったときも、人生で初めて、水面に何かデカいものを投げ入れたぐらいバコーンって収録でウケたんです。もう波が立つぐらいでした」

収録後、次々と「面白かった」と声をかけてきた、プロデューサーを始め番組スタッフたち。

「それで『これは何かあるな』と思って、そのオンエアに備えていろいろツイートしたりとか準備をしてたんですよ。そしたら予感どおりオンエアで話題になって、そこからいろいろつながっていったんです。その時の感覚と似たものを今、感じています」

今大会のオンエアが待ち遠しくて仕方ない様子だ。そして今後の野望をこう話してくれた。

「もし第3回目があるなら、もちろん3連覇したいです。そして靴飛ばしを競技として広めたいので、自主企画として靴飛ばし大会も開いてみたいなと考えています。一般の方とかも入ってきたときに、それも丸々含めて、本当に日本一になってみたいんです。多分、僕が日本一になれるものって今のところ、これだけだと思うんで…だって『R-1ぐらんぷり』で1位は100パー無理ですもん!」

「靴飛ばしは、今の僕の総決算」と断言し、芸人としてのキャリア以上に靴飛ばしの未来に目を輝かせているおばた。最後に靴飛ばしの魅力を聞いてみた。

「誰が勝っても負けても楽しめる。そしてみんながヒーローになれる可能性がある、僕のように。本当に人生って何があるかわかりません」

人間誰しも、何らかの才能とチャンスが宿っている。彼の話を聞いていると、そんなふうに思えてくる。

「そもそもこの革靴だって、奥さんと出会った頃に履いていたんですけど、あまりにボロくて『前からちょっと気になってたんだよね。もうちょっと足元をちゃんとしたほうがいいと思う』って言われて、履かなくなった靴なんです。でも、まさかここで役に立つとは…」

そう、誰しも、そんな足元の宝にまだ気づいていないだけなのだ。

放送を見逃された方は、こちら!是非、雄姿をご覧ください。
https://www.ytv.co.jp/mydo/bigplay/

(プロフィール)
おばたのお兄さん

1988年生まれ、新潟県魚沼市出身。身長166cm、体重60kg。読売テレビ『ビッグ☆プレイ』の靴飛ばし大会「スーパースカイシュー」で現在2連覇中のお笑いピン芸人。小栗旬や清水翔太などのモノマネ芸で人気を博し、最近では日テレ『DRONE×鬼』で繰り広げられたドローンとの鬼ごっこをスライディングでかわすなど、その運動神経のよさに注目が集まっている。またアイドルユニット「吉本坂46」にも参加。12/25(水)に3rdシングル「不能ではいられない」が発売される。

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