野人・岡野雅行が営業に奔走!地域とWin-Winを築く資金調達術とは?

野人・岡野雅行が営業に奔走!地域とWin-Winを築く資金調達術とは?

記事画像

元サッカー日本代表で、現在はJ3ガイナーレ鳥取の代表取締役GMとして手腕を振るっている岡野雅行が、2月1日に放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20〜)にゲスト出演。逆転の発想で資金を集める野人・岡野の経営哲学に迫った。

浦和レッズなどで活躍し、トレードマークの長髪と爆発的なスピードから“野人”の愛称で親しまれた岡野。日本代表では後に「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれることになる世紀の一戦で、ワールドカップ初出場を決める決勝ゴールを奪ったことで一躍時の人となった。36歳でガイナーレ鳥取に移籍するとJFLからJ2昇格に貢献。2013年のJ3降格と共に現役を退いた。

そんな彼が、現役を退いたのと同時にガイナーレ鳥取のGMとなり営業に奔走している。GM就任に対して岡野は最初戸惑ったようだが、浦和レッズ時代にJ2降格を経験した時も、サポーターの「岡野、頼むから1年でJ1に上げてくれ!」という声を聞き、昇格するためには選手の残留が必須だと考えクラブに対して「全選手の給料を上げてくれ。それで昇格したら下げればいい」と交渉するなどして奔走。実際にJ1昇格を果たした際に給料が下がったというエピソードを交えながら、「降格したら出て行ってしまうのは自分らしくない」と鳥取でできることを考え始めたという。

しかし、47都道府県で最も人口が少ない鳥取の経済規模は大きくなく、資金集めは難航。実際、2018年のJ1上位クラブの営業収入がヴィッセル神戸の96.6億円、浦和レッズの75.4億円に対して、鳥取は4.7億円。その中でクラブ運営をするには、必要経費を考えるとどうしても強化費が最後になってしまう。「チームを強くしたい」という思いを持ちながらも、そこに使える資金はわずかなものになってしまうというジレンマがあった。

この逆境を乗り越えるために岡野は「野人プロジェクト」を発動。鳥取と言えば砂丘が有名だが日本屈指の漁獲量を誇る境港がある。中でもカニは水揚げ量日本一。2014年、岡野はスポンサー探しを行っている中で境港を訪れ、そこで「支援はできないけどお魚は捨てるほどある」と言われて閃いた。全国から一口5000円で寄付を募り、そのお礼に鳥取の海産物を贈り、この資金を選手の獲得資金に充てられるのでは? 海産物はクラブが仕入れるため境港にもお金が回るまさにWin-Winの関係を築き、時には自ら船に乗り野人プロジェクトをアピールした。

するとこの試みは大成功。初年度の2014年には約3000万円の資金が集まり、J1で実績のあるフェルナンジーニョを獲得。すると5試合7得点と大活躍し、J2昇格に迫る4位でシーズンを終えた。境港の関係者も「このプロジェクトを通じてガイナーレ鳥取が近い存在になった。私たちも助かっているし、地域のチームに貢献できるっていうのは非常に嬉しいこと」と話すなど、クラブと地域の良い関係を築くきっかけにもなった。現在は、海産物だけでなく、大山牛やジビエ、ワインなど品目を増やし、夏と冬の年2回プロジェクトを実施している。

そして、野人プロジェクトで獲得した選手で大きな注目を集めているのがレオナルド。2018シーズンに加入したブラジル人ストライカーは「J3だけど良いの?」と聞かれると「ボールがあればいい」と答え、この言葉に岡野は「これは何かするんじゃないか」と大きく期待を寄せた。するとその予感は見事的中。J3得点王になるなど大活躍し、2019年にはJ2のアルビレックス新潟へ移籍し、ここでも得点王となる大活躍。「本当はガイナーレに残って欲しかったのですが、彼は本当に勝負をしに来ていて“上から話が来たらとにかく行かせて欲しい”と言われていた」と明かした。そして2020シーズン。レオナルドは岡野の古巣でもある浦和レッズに移籍し、史上初となるJ1、J2、J3得点王を目指すことになった。岡野は「浦和レッズに入ったのが嬉しい。僕の息子みたいなものなので頑張ってほしい」とエールを送った。

様々な逆境を乗り越えてきた岡野だが、そのルーツは高校時代にあるという。岡野が通い始めた島根の高校はいわゆるヤンキー高校で、そこにはサッカー部がなかった。しかし、一人の先輩と出会いサッカー部を設立。初めての試合はキックオフと同時にチームメイトが飛び蹴りして大乱闘になるなど惨憺たるスタートとなったが、そのチームが県ベスト4に行くまでに成長。実はこのエピソードはドラマ化されており、その時の学校の先生役を演じたのが番組MCの勝村政信。「何もない高校をベスト4に持っていくまでに凄いことをやってきた。まさに今、同じことを鳥取でやっている」と述べ、岡野も「つらい時に逃げ出すのではなくて、そういう時こそ立ち向かっていくクセがある。今考えれば、高校時代もGMみたいなことをしていた」と話した。

さらに岡野は、鳥取県米子市にある畑を使って新たなプロジェクトを立ち上げた。実は鳥取は全国2位の芝生の産地。土壌が砂地で地下水が豊富に流れているなど最適な条件がそろっている。一方で、耕作放棄地と言われる荒れた土地が多かった。そこで岡野は、この土地で芝生を育て販売するプロジェクト「Shibafull」を2017年にスタート。これによってクラブの収入を上げるだけでなく、荒れた土地を美しい芝として蘇らせるなど地域の問題解決にも貢献。2018年には地元の保育園の芝生化を進めると、これまで土のグラウンドで遊んで真っ黒になっていた園児たちの汚れが減ったばかりでなくケガ予防にもなった。園長先生が涙ぐんでお礼を言ってくるほどに喜ばれるなど、ここでも地域との関係が築かれている。

最後に岡野は、ネット社会になったことで面白いことをやればクラウドファンディングなどで資金が集められるようになったと言い、「選手が育ってメダリストになったりプロになったりすると、本当にみんなで作っているような感覚になれる。そういうのが大事なのだと思う」と話した。話を聞いた勝村も「サッカー選手としても凄かったのにGMも天職。この先、鳥取は必ずJ1に上がってくるなと思いました」と期待を寄せていた。

関連記事(外部サイト)