あなたは亡くなりました。最愛の人にメッセージをどうぞ。『せみのこえ』

10月15日(木)〜18日(日)まで開催中の京都国際映画祭。今年はオンラインでの開催となりました!
ラフマガでは、公開映画にまつわる、芸人ライターコラムをお届けしています。
今回は芸人ライター・何者ナノカによる『せみのこえ』の映画談義をお楽しみください!

■冒頭シーンに釘付け

どうも〜!
芸人ライターをやらせてもらっています、何者ナノカです!
今回は愛知県の幸田町を舞台にしたハートフルなファンタジー映画『せみのこえ』を鑑賞させていただきました。
この映画の魅力をたっぷりと皆さんにお伝えられたらなと思いますので、是非最後までお読みくださいませ!

早速、僕がこの映画で印象的だったシーンを語りたいと思います。
そのシーンとはズバリ、オープニングシーンです!
やっぱり映画でもなんでもオープニングって重要ですよね。
この映画のオープニングシーンは「これからワクワクすることが起こりそうだぞ」と想像力を掻き立てられるような作りになっていて映画の期待値を上げてくれます。
以下にオープニングシーンを僕なりに描写してみましたので、雰囲気だけでも伝われ〜!

?2020地域発信型映画「せみのこえ」製作委員会

交通量の多い幹線道路。通行車から出る排ガスから、ようやく逃れられるかという場所にひっそりと佇む墓地。
そこに縁のないものにとっては気にも止めず素通りしてしまうような、そんななんでもない場所に袈裟姿の若い男がいた。
墓石の前に佇むその僧侶の目の前には、古くて大型のオープンリールタイプのレコーダー『ユニコーダー61』。
もしその場所に事情の知らないものがいれば、「どうしてこんな時代錯誤で場違いなものを、これまた機械とは縁の無さそうな男が持ち込んでいるのか?」と思うことだろう。
僧侶はヘッドホンを耳に掛け、マイクを墓石に近づけていく。
マイクはノイズを拾い出し、その奥からだんだんと「声」が染み出すように聞こえてくる。
ゆっくりと慎重に、まるでラジオの周波数を合わせるかのようにマイクを近づける。
しかしそんな日常的な例えとは裏腹に、僧侶の眼差しは真剣だった。

どうですかこの印象的なシーン。
お坊さんが墓石の前にいるのはなんて事ないんですが、その人が持ち込んだレコーダーの存在感たるや。
こういうレトロ感溢れる大袈裟な機械見るとわくわくしちゃうんですよね。
しかも死者の声を聞くってスピリチュアルなものじゃないですか。
だったら手をかざして「むむむ! 感じます!」ってやったって良いわけですよ。
それを「音を記録するんだからレコーダーでしょ?」ってな具合にバカ真面目に機械使ってるのが堪らないですね!
ハッタリが効いていて一気に掴まれてしまいました!

■死者のメッセージに感動

そして忘れてはならないのが、この映画の主題でもある死者の声。
タイトルで『せみのこえ』と例えられるように、映画のいたる場面で夏の蝉時雨かのように死者の声が聞こえてきます。
(こう書いてしまうと怖い話してるみたいだな。亡くなった方の言葉はどれも温かいものばかりなので、怖いとは全くの真逆ですよ! 感動しますよ!)
ちょっとここで具体的な言葉を抜き出してみましょうか。

「ずーっと結婚して46、7年。大変お世話になりました。ありがとうございました。幸せでしたよ。お父さんもいい人生を生きててくださいね。またこっちで会える時が、楽しみに待っていていたいと思います」

「死んじゃいましたけど。今まで育ててくれてありがとう。お父さんには。バイクと車は弟にあげてください。お父さんお母さん、今までありがとう」

いかがでしょうか。
言葉を聞くだけでその方の人生とそして残された方への想いが伝わってきて胸が熱くなります。
もし皆さんは自分が死んだら、誰に何を伝えますか?
もし僕だったら……ここではやめておきましょう。

■あなたはどんな言葉を残しますか?

?2020地域発信型映画「せみのこえ」製作委員会

人間いつかは死にます。
しかしそんなことを忘れて、考えないように生きている方がほとんどではないでしょうか。
僕はこの映画を観て、死について考えることは、周りの方々へ感謝することとイコールなのではと思いました。
『せみのこえ』を観て、あなたの心の中にどんな「声」が生まれてきますか。
是非映画を観て確かめてください。

京都国際映画祭では他にもいろいろな映画、ワークショップ、アートなどもオンラインで開催中!
公式サイトはこちらから!

■作品概要

■『せみのこえ』


出演:太田夢莉、小嶋修二、星田英利ほか
監督・脚本:北村潤伍
作品情報はこちらから。

関連記事(外部サイト)